【3期】ゾンビ男子青春疾走事件(脚本)
〇白い校舎
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここが通報のあった高校か・・・」
???「うわあああ!!」
碇(いかり)「た、助けて〜!!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ちょ、ちょっと君!」
ゾンビ「うーあー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うわあああ!!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ちょ、ちょっとお兄ちゃん!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「野郎!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ま、待って!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「チッ、しゃーねえな!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「大人しくしやがれ!」
〇白い校舎
ゾンビ「・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ようやく、落ち着きやがったか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん、助かりました」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そ、その・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「──ありがと」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「礼を言われる筋合いはねえ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺は職務をまっとうしただけだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「碇君だったかな?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼とは知り合いなのかい?」
碇(いかり)「ゾンビの知り合いなんているわけないっしょ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「追いかけられる前、何か特別なことはしてなかった?」
碇(いかり)「何にも。友達と話してただけだし」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビは、人間だった頃の強い思いに従って行動することがあるんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何かがトリガーになったと思うんだけど・・・」
碇(いかり)「もしかして・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「心当たりがあるのかい?」
碇(いかり)「俺、結構モテるんすよ」
碇(いかり)「俺みたいになりたくて、追いかけてきたんじゃないっすか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「──なるほど」
樺島 一心(かばしま いっしん)「昔、彼には憧れていた女性がいて・・・ブツブツ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「冗談を真に受けるな」
〇白い校舎
樺島 一心(かばしま いっしん)「コホン」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね、頼めるか?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「任せて」
ゾンビ「うーあー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あーうーあー?」
ゾンビ「うーあー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ずっと『ダメ』って言ってる」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも、何がダメなのかはさっぱり」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・彼の正体を調べるしかないか」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「コイツの制服、この学校のものじゃねえのか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「たしかに」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ボタンの校章──碇君の制服と同じです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「聞き込みに行く場所、決まりましたね」
樺島 ここね(かばしま ここね)「えっと・・・どこに行くの?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここねにとっては、少し緊張する場所かな」
〇散らかった職員室
ベテラン教師「申し訳ないけど、その子のことは知らないな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうですか・・・」
ベテラン教師「私も含め、最近赴任してきた方ばかりなんですよ」
ベテラン教師「パンデミックで、転勤や行方知れずになった職員が多かったみたいでね」
〇散らかった職員室
〇散らかった職員室
〇散らかった職員室
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼のこと、誰も知らないみたいですね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「チッ、振り出しか」
???「正木・・・君?」
鹿目(しかめ)「や、やっぱり! 正木君だ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・少し、お話を伺っても?」
〇学園内のベンチ
樺島 一心(かばしま いっしん)「鹿目さんは、母校で体育教師をされてるんですね」
鹿目(しかめ)「はい。思い出深い・・・この学校で働きたくて」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それで、正木さんのことですが・・・」
鹿目(しかめ)「正木君とは3年生の時、同じクラスだったんです」
鹿目(しかめ)「彼はクラスで、一番目立つ存在でした」
〇グラウンドのトラック
正木(まさき)「みんな、もっともっとアゲてくぜ!!」
体育祭では応援団長をしたり──
〇体育館の舞台
正木(まさき)「か、母さん!」
正木(まさき)「どうして俺なんかのために・・・!」
学祭では、劇の主役を務めたりしていました
〇グラウンドのトラック
けど、軽はずみって言うのかな
誰かをいじって、周囲の笑いを取ることも多かったんです
体育教師「それじゃあ、次の組! 位置について、よーい・・・」
体育教師「スタート!」
男子生徒「はあ・・・はあ・・・」
正木(まさき)「100メートル・・・18秒!?」
正木(まさき)「小学生より──いや、亀より遅いんじゃね?」
正木(まさき)「今日からお前、『ドン亀』な」
〇教室
いつもなら、いじるターゲットはすぐ変わるんですが──
正木(まさき)「ドン亀、さっさと次の教室へ行った方がいいんじゃねえの」
正木(まさき)「お前の足じゃ間に合わねえだろ」
〇理科室
正木(まさき)「よお、ドン亀」
〇渡り廊下
正木(まさき)「ド・ン・亀」
フレーズが気に入ったのか、その子に対してはなぜか執拗で
〇教室
次第に、その子は学校に来なくなりました
男子生徒「あいつが学校に来ないのって、そういうことだよな」
女子生徒「うん。正木君、ちょとやりすぎだったし」
『その子が来ないのは正木君がいじめたせい』
そんな噂が広まっていきました
それが、先生方の耳にも届いたんでしょう
〇散らかった職員室
いじめと認定され、彼に処分が下されることになったんです
そんな時でした
〇黒背景
──あのパンデミックが起こったのは
〇学園内のベンチ
鹿目(しかめ)「正木君の行方が分からないと聞きましたが」
鹿目(しかめ)「まさか、ゾンビになっていたなんて・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「──今の話、彼の異常行動に関係しているかもしれません」
正木(まさき)「うーあー!」
「わっ!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「また『ダメ』って言ってる!」
碇(いかり)「『チビ山』よー、そんなちっこい弁当でどうすんだよ」
碇(いかり)「さらに背が縮んじゃうっしょ!」
桧山(ひやま)「はは・・・そうかもね」
正木(まさき)「うーあー!」
碇(いかり)「コイツ、また!?」
碇(いかり)「チビ山なんとかしろ!」
桧山(ひやま)「そ、そう言われても・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、もしかして・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ああ。彼の心残りが分かったよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ひとまず、正木君を止めないと」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「樺島、お前はここで見てろ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「えっ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「──ったく、嫌なことを思い出しちまったぜ」
〇学園内のベンチ
正木(まさき)「あーうー!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「大人しくしろってんだ!」
碇(いかり)「あんたたち、ゾンビ課なんだろ!?」
碇(いかり)「さっさとコイツを連れてってくれよ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「まだ分かってねえのか」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「お前が襲われるのは──」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「いじめなんて、つまんねえことをしてるからだ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そこのお前!」
桧山(ひやま)「は、はいっ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「悔しくねえのか! 男ならやり返せ!」
桧山(ひやま)「えっと・・・その・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「少なくとも──昔、俺はそうしたぜ」
碇(いかり)「ま、待ってくれよ!」
碇(いかり)「俺が桧山をいじめてるだって?」
碇(いかり)「あんなの、ボケとツッコミみたいなもんっしょ!」
碇(いかり)「桧山もそう思うだろ?」
桧山(ひやま)「・・・」
碇(いかり)「おい、何とか言えよ!」
正木(まさき)「うーあーうーあー!!」
碇(いかり)「くそっ! 俺に近づくんじゃねえ!」
桧山(ひやま)「ちょ、ちょっと! 危ないよ!」
碇(いかり)「・・・あ」
碇(いかり)「はは、わざとじゃねえからな」
桧山(ひやま)「ふ、ふざ・・・」
桧山(ひやま)「ふざけんなっ!!」
碇(いかり)「イテッ!」
碇(いかり)「いきなり何すんだよ!」
桧山(ひやま)「ボケとツッコミ? 笑わせないでよ!」
桧山(ひやま)「おかしなあだ名で、僕を笑い者にしてさ!」
桧山(ひやま)「そんなの・・・傷つくに決まってるでしょ!!」
碇(いかり)「い、今さら何言ってんだよ!」
碇(いかり)「嫌なら最初からそう言えってんだ!」
桧山(ひやま)「言われなきゃ分からないって、お子様か!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ふ、二人とも! 落ち着いて!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ガキの喧嘩だ。放っておけ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「しかし・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「今、多少傷ついたって問題ねえさ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そうすりゃ──この先、大怪我することも、させたりすることもなくなる」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「誰かさんみたいに、ゆがんだ大人になってほしいのか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん・・・」
鹿目(しかめ)「──樺島さん、私からもお願いします」
鹿目(しかめ)「彼らを信じてみましょう」
〇学園内のベンチ
「はあ・・・はあ・・・」
桧山(ひやま)「も、もう限界・・・」
碇(いかり)「お、俺も・・・」
〇空
碇(いかり)「あのさ、桧山」
桧山(ひやま)「何だよ」
碇(いかり)「──ごめん。俺が悪かった」
桧山(ひやま)「いいよ」
桧山(ひやま)「僕の方こそ、ハッキリ嫌って言うべきだっだ」
碇(いかり)「ははっ」
桧山(ひやま)「ふふっ」
正木(まさき)「あーうー!」
碇(いかり)「おい! ひっつくなよ!」
桧山(ひやま)「ありがとう・・・」
桧山(ひやま)「僕の背中を押してくれて」
〇学園内のベンチ
「・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう、正木君が暴れることはなさそうですね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「けど・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、どうかした?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼の後悔を、昔いじめられていた子に伝えられたらと思ってね」
鹿目(しかめ)「・・・ねえ、樺島さん」
鹿目(しかめ)「こう見えて私、とても足が遅くて」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それって・・・」
鹿目(しかめ)「そんな自分を変えようと・・・体育教師を目指したんです」
鹿目(しかめ)「だから、正木君の後悔はきっと──」
〇空
鹿目(しかめ)「その子にも伝わったんじゃないかな」
〇白い校舎
〇学園内のベンチ
碇(いかり)「その唐揚げ、もーらい!」
桧山(ひやま)「あっ! また勝手に!」
桧山(ひやま)「代わりにその卵サンド、頂戴」
正木(まさき)「あーうー!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「チッ、今日も問題なしか」
樺島 一心(かばしま いっしん)「正木君とも、友達になったみたいですね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「次暴れ出したら、即処分してやるのに」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・」
〇白い校舎
〇渡り廊下
「・・・」
〇白い校舎
〇学校脇の道
碇(いかり)「桧山、向こうでも頑張れよ」
桧山(ひやま)「・・・碇も。あまり調子に乗らないようにね」
正木(まさき)「うう・・・あ・・・!」
碇(いかり)「正木、何泣いてたんだよ!」
碇(いかり)「そんな顔されたら、俺・・・」
桧山(ひやま)「ま、まったくもう! 2人とも子供みたい」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう彼──いや、彼らは大丈夫そうですね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「別に、あいつらの心配なんてしてねえよ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺はゾンビの見回りに来てただけだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そういうことにしておきます」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・チッ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん。あの人、今泣いてたような・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「さあ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕にはよく見えなかったけど」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「樺島、ゾンビ娘! さっさと行くぞ!!」
〇空
樺島 一心(かばしま いっしん)「はいっ!」



今回の事件、いじめを受けていた男の子に対してのルイの叱責が効いたようですね。
男子3人仲良くなれて良かったです。