1-3.冴夜と碓氷の心の整理(6/4③)(脚本)
〇女の子の一人部屋
冴夜の部屋──
王滝 冴夜「・・・♡♡♡♡」
まさか!!!!
まさか!!!!
まさか!!!!
あの碓氷先輩に・・・
生徒会長の、碓氷先輩に・・・
推しである碓氷先輩に告白されるなんて・・・・・・!!!
胸の奥が、ぎゅっと掴まれたみたいに苦しい。
なのに、息を吸うたびに甘くて、熱い。
冴夜は布団を握りしめ、足をばたばたと動かした。
王滝 冴夜「む、無理・・・。 心臓・・・もたない・・・」
王滝 冴夜「アプローチ、って・・・・・・ あれ、夢じゃないよね・・・・・・?」
思い出すだけで、碓氷の低い声が耳に蘇る。
〇生徒会室
碓氷 淳「僕はキミのことが好きだ」
〇女の子の一人部屋
王滝 冴夜「~~~っっ!!!///」
その言葉が、何度も何度も脳内で再生される。
冴夜は落ち着こうと、ゆっくりと深呼吸をした。
吸って、吐いて──
そして──
これまでの記憶を、改めて辿ることにした。
〇水玉2
冴夜と竜也は、家が隣同士の幼なじみ。
物心ついた頃から一緒で、
学校も、帰り道も、休日も、当たり前のように隣にいた。
そして冴夜は──
ずっと竜也に恋をしていた・・・・・・はずだった。
竜也が他の女の子と話していれば胸がざわついて、
笑顔を向けられれば、それだけで嬉しかった。
・・・・・・でも。
前世の記憶が蘇ってから、
竜也に向けていたはずの感情は、すっと消えてしまった。
嫌いになったわけじゃない。
大切な幼なじみであることも変わらない。
ただ──
「好き」という感情だけが、
最初から無かったみたいに抜け落ちていた。
王滝 冴夜「・・・・・・もしかして」
「竜也のことが好き」
その気持ちは──
『物語』によって与えられていた設定だったのではないだろうか?
前世を思い出したことで、
その設定が解除された・・・
そう考えるとしっくりくる気がする・・・
じゃあ、瑠花や玲奈の想いも。
竜也を中心に集まるあの関係も──
全部、『物語』によって与えられた設定だったのだろうか・・・・・・?
〇女の子の一人部屋
王滝 冴夜「・・・じゃ、碓氷先輩は?」
きっと・・・
碓氷も『物語』に与えられた設定に沿っているのだろう。
王滝 冴夜「・・・だけど」
それでも──
彼の想いだけは、本物だと感じる。
理由は分からないが、
碓氷の気持ちが本物だと信じられる。
『王滝冴夜』が死ぬ事で世界を滅ぼそうとするくらい、私のことを思ってくれた人だから
王滝 冴夜「碓氷先輩・・・ 私のこと、ずっと好きだった、んだよね・・・」
胸が、きゅっと締め付けられる。
王滝 冴夜「~~~っっ!!!///」
王滝 冴夜「・・・碓氷先輩は私が守る!」
誰にも邪魔させない。
誰にも奪わせない。
誰にも・・・殺させない。
『物語』なんかに、
碓氷の未来と、私の未来を決めさせたりなんてしない。
碓氷と、生き残る未来のために──
王滝 冴夜「私は頑張る!!!」
〇シンプルな一人暮らしの部屋
◆碓氷視点◆
碓氷 淳「・・・・・・やってしまった」
碓氷は自室で一人、天井を見上げながら今日の出来事を反芻していた。
〇生徒会室
同じ生徒会役員。
庶務補佐の一年生――王滝冴夜。
彼女が生徒会室に足を踏み入れた瞬間、
全身を駆け抜けた、あの異常な感覚。
痺れるような熱。
魔力が、勝手に反応する。
碓氷 淳(・・・・・・”番”だ)
本能が、そう断言していた。
だが──
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