漆黒のデュランダル伝説 ~ただの中二病の俺が勇者に祭りあげられてしまった件~

ウロジ太郎

第4章第4節 『恐怖の大王vs大邪龍』(脚本)

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〇学生の一人部屋
ヨルムンガンド「フギャアァアッ!!」
只野男志「・・・ヨルムンガンド。ありがとうな。 ラストチャンス、生き残るからなっ」
ヨルムンガンド「・・・にゃー?」
狩場玖珠絵「なに、1人で盛り上がってるのよ」
只野男志「というわけで玖珠絵様。 パーティーはお任せください」
只野男志「さ、お帰りを。時間ないんで。 最後のループなんで」
  そのとき、ゴロゴロと遠雷が響く。
狩場玖珠絵「え? ちょっと、ループってなに」
只野男志「まぁ、まぁ」
  そのまま玖珠絵を追い出すと「四騎士対策メモ 只野男志」を取りだす。
只野男志「こいつは鞄に突っ込んで、肌身離さない! これでミスティ対策は万全のはず」

〇生徒会室
  只野がヨルムンガンドの入ったキャリーバックを抱えてやってくる。
龍場夢來「おぉ、デュランダル殿!」
帝院令「お急ぎのご様子ですが」
只野男志「レーヴァテイン、バナナだ」
帝院令「はい? バナナ?」
只野男志「バナナを買いに行け」
龍場夢來「いえいえ。バナナでしたら吾輩が」
只野男志「バルムンクは残れ。 レーヴァテインはバナナだ」
只野男志「ゴー! はやく」
帝院令「は・・・はい。ただいま・・・」

〇生徒会室
龍場夢來「・・・なるほど。 ヨルムンガンド殿の封印を解くと?」
只野男志「危機が迫っている」
只野男志「龍と縁の深いお前ならば、その方法を知っているだろう?」
龍場夢來「はっはっはっ。知りませぬ!」
只野男志「ファッ!?」
ヨルムンガンド「にゃ、にゃにゃーん」
龍場夢來「ヨルムンガンド殿、何ですかな?」
龍場夢來「・・・なに、封印を解く呪文をご存じ?」
只野男志「! はやく聞き出すのだ!」
ヨルムンガンド「にゃーっ! にゃにゃ!」
龍場夢來「ただし、封印を解く際に、時空嵐が発生するですと?」
只野男志「なに無駄話をしている」
只野男志「お前の働きに、世界の命運がかかっているのだぞ」
龍場夢來「なんと、世界の命運が! 吾輩にお任せください」
龍場夢來「この命に代えても成し遂げましょうぞ! がはは。腕が鳴りますな!」
龍場夢來「ギュルルル~~ッ」
龍場夢來「がはは! 腹も鳴っておりますが! ヨルムンガンド殿、よろしいですかな?」
ヨルムンガンド「にゃっ、にゃーにゃにゃにゃ、にゃにゃんにゃん・・・」
龍場夢來「ふむふむ?」
龍場夢來「山塊(さんかい)よりも巨大なるもの、荒海(あらうみ)よりも獰猛(どうもう)なるもの・・・」
只野男志「バルムンク、この紙にメモせよ」
龍場夢來「了解ですぞ!」
只野男志「時間がない。急げ」

〇空き地
  上空には、禍々しい黒雲が浮かんでいる。
  ヨルムンガンドの入ったキャリーケースを持った只野が走ってくる。
只野男志「ハァ・・・、ハァ・・・」
只野男志「なんとか、なんとか間に合った。 ぎりっぎり!」
  ピシャーン!
  雷鳴が轟く。
只野男志「・・・来ちゃった。うぅ、逃げたい・・・」
只野男志「でも生き残るには、賭けるしかない。 このラストチャンスに・・・」
  直後黒雲が割れ、漆黒のオーラを黒い翼のように広げたデフレエルが悠然と降りてくる。
只野男志「お、お待ちしておりましたぁ! 恐怖の大王、デフレエル様ぁ!」
デフレエル「?」
デフレエル「・・・なにゆえ、ただの人間が余の名前を知っている?」
只野男志「や、やだなぁ。 恐怖の大王って言えば有名ですよ~~」
只野男志「20世紀末はもう、みんなガチで恐れおののいていたって」
デフレエル「ほぅ・・・そうか」
デフレエル「人間共はそれほどまでに余を畏れたか。 フフフッ」
只野男志「そこで偉大なるデフレエル様のお力になろうと、手土産を持参いたしました」
デフレエル「なるほど。命乞いか。・・・だが無駄よ」
デフレエル「余は闇の勢力(ダーク・パワーズ)。 この世界を滅ぼす者」
デフレエル「闇と化した世界では、人は絶滅する宿命(さだめ)」
只野男志「お力になれるだけで幸せなのです。 こちらをご覧ください」
只野男志「大邪龍ヨルムンガンドでございます」
ヨルムンガンド「にゃーっ」
デフレエル「なに。かの大邪龍か」
デフレエル「確かにこの小動物、強力な魔力を帯びているな」
只野男志「お目が高い! 今は封印されておりますが、今回は特別企画」
只野男志「封印解除の呪文をセットでおつけします!」
デフレエル「・・・ほぅ?」
只野男志「暴れさせて世界を破壊するもよし。 運命の戦士どもの相手をさせてもよし」
只野男志「貴方様の言うことを聞くように調教済みです」
只野男志「ささっ。お納めください」
  ケースに入ったヨルムンガンドとメモ用紙をデフレエルの足もとに置く。
デフレエル「・・・良い心がけだ。 お前は最後に殺すとしよう」
只野男志(結局殺すんかいっ!)
  デフレエルがメモ用紙を拾って眺める。
デフレエル「・・・これは何か」
只野男志「封印解除の呪文です」
只野男志「それを読めば、なんと誰でも封印を解けちゃうんです!」
只野男志(そして封印解除と同時にヨルムンガンドがコンニチワ)
只野男志(パクッと食われてハイ、それまでよ。 なんて完璧な作戦!)
デフレエル「ふむ・・・なるほど」
只野男志(さぁ読め。 読み終わった時が、お前の最期だ!)
デフレエル「・・・」
只野男志「さぁ、さぁさぁ」
デフレエル「うむ・・・」
只野男志「どうか、なさいましたか?」
デフレエル「・・・読めぬ」
只野男志「え?」
デフレエル「人間の文字は、読めぬ」
只野男志「あーーっ! ですよねーーっ!?」
只野男志「じゃあ・・・、僕のあとに続けて、呪文を言ってもらっていいですか?」
デフレエル「よかろう」
  デフレエルからメモ用紙を受け取った只野は、巻き込まれないように少し離れて封印解除の呪文を唱える。
只野男志「山塊よりも巨大なるもの。荒海よりも獰猛なるもの」
デフレエル「山塊よりも巨大なるもの。荒海よりも獰猛なるもの」
只野男志「時空のバナナに封じられし」
デフレエル「時空のバナナに封じられし」
只野男志(バナナって! 絶対違うじゃん! どんだけバナナ喰いたかったんだよ!?)
只野男志「すいません。バナナは間違いです」

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