〇学生の一人部屋
ヨルムンガンド「フギャアァアッ！！」
只野男志「痛ぁあぁああああ～～～っ！？」
狩場玖珠絵「な、なによ？ その悲鳴。 猫に引っかかれたくらいで、オーバーな」
只野男志「・・・あ。い、生きてる・・・。 さっきは、本気で死ぬかと思った」
只野男志「ヤバかった・・・」
狩場玖珠絵「ハァ？」
　　そのとき、ゴロゴロと遠雷が響く。
狩場玖珠絵「・・・雷？ いや。何か気配が・・・」
只野男志「！」
只野男志「玖珠絵様！ パーティーはうまくやっとくんで、ささっ。お引き取りを」
狩場玖珠絵「あっ。えっ。ちょっと？」
只野男志「彼女が来ちゃうんで」
　　強引に玖珠絵を部屋から追い出す。
只野男志「・・・よし。まずは証拠隠滅」
　　机を探り「四騎士対策メモ 只野男志」を引っ張りだす。
只野男志「こいつを！ こうして！ 破いて！ 丸めて！ ゴミ箱にスラムダーンク！」
　　ガシャーン！
　　割れた窓から霧乃が侵入してくる。
只野男志「・・・来たなっ」
帝院霧乃「・・・あ、はい。来ちゃいました」
　　焼けた漆黒の書を霧乃の鼻先につきつける。
只野男志「ミスティ、これを直せ。窓もだ」
帝院霧乃「・・・え？」
只野男志「やるのだ！」
帝院霧乃「あ、はい」
帝院霧乃「アース・リカバリー！」
　　漆黒の書が光と共に元に戻る。
只野男志「よし。これでやることはやった、と」
帝院霧乃「あの、デュランダル様？ それは」
只野男志「もう帰っていいぞ。我は忙しい」
帝院霧乃「・・・はい」
　　霧乃は悲しげに、窓から出て行く。
　　それを見送った只野、漆黒の書を見る。
只野男志「さてと。 ・・・デフレエルの力と拮抗する力は・・・」
只野男志「デュランダルのもつ呪われし力のみ・・・」
只野男志「って馬鹿ぁ！」
　　漆黒の書を床に叩きつける。
只野男志「それがありゃ苦労しないんだって！ 俺のアホぉ！ 雑な設定にしやがってっ！」
只野男志「ハァハァ ・・・くそっ。他に何か無いか」
　　漆黒の書を拾いあげて、じっくり読む。
只野男志「なになに。 ・・・だが、直接対決をせずとも、退ける方法がある？」
只野男志「・・・そうそう。 そういうのだよ。グッジョブ俺」
只野男志「・・・デュランダルの身近な存在がその鍵を握っているが、今はまだ記すべき時ではない」
只野男志「・・・って、まだ設定してねーじゃねーか！」
　　漆黒の書を床に叩きつける。
只野男志「でも、身近な存在か・・・となると？」

〇生徒会室
　　只野はキャリーケースを持っている。
　　その中にはヨルムンガンドが入っている。
只野男志（消去法で、こいつらだよなぁ）
帝院令「デュランダル様、どうかされましたか？ お顔色が、すこし悪いように見えますが」
龍場夢來「なにか腹に入れたほうがよろしいかと！ バナナ、食べますかな？」
ヨルムンガンド「にゃーっ」
龍場夢來「おぉ、ヨルムンガンド殿！ バナナをご所望ですか！ どうぞどうぞ！」
只野男志「猫は、バナナを喰わぬだろう」
龍場夢來「がはは！ ご冗談を！」
龍場夢來「封印を施されているとはいえ、ヨルムンガンド殿は大地の化身にして大邪龍！」
龍場夢來「バナナどころか、灼熱の溶岩ですら喰らいましょうぞ！」
ヨルムンガンド「にーにゃ、にーにゃ」
龍場夢來「ヨルムンガンド殿も、そうだそうだと申しております！」
只野男志（俺の猫が本物の邪龍だった件！）
帝院令「さすがデュランダル様です！」
帝院令「すでに、かの大邪龍を味方につけていたとは！」
龍場夢來「がはは！ まさに、まさに！ さて、吾輩はバナナを ・・・」
　　夢來が部屋から出て行く。
只野男志「そうか。バルムンクの剣は龍殺し」
帝院令「はい。バルムンク殿の剣は龍の血を吸い、龍の加護を受けた魔剣です」
帝院令「龍との深い因縁が力の源になっているのでしょう」
只野男志（そういえば大邪龍ヨルムンガンドって、超でっかい龍って設定だよな）
只野男志（・・・デフレエルに対抗できるんじゃね？）
只野男志「封印を解くには、どうすればいい」
帝院令「残念ながら、存じ上げません。 バルムンクどのならば、あるいは」
只野男志「そのバルムンクはどこへ行った？」
帝院令「本日はバナナの特売があるとのことで、先ほど買いに向かわれましたが」
只野男志（この大事なときに！）
只野男志「どこへ行った？ 駅前のスーパーか？ 郊外のジャ○コか？」
帝院令「申し訳ありません。生憎・・・」
　　令が何かに気づき、はっとする。
帝院令「・・・！」
帝院令「デュランダル様。 強力な闇の勢力の気配がします！」
只野男志（あ。もしかして、時間切れ？）
　　そのとき、轟音が響く。
只野男志「か、壁が吹っ飛んだ！？」
　　その場に、デフレエルが現れる。
　　掌の上には黒いエネルギー波が浮かんでいる。
デフレエル「見つけたぞ。 運命の戦士（ドゥーム・チャンピオン）よ」
デフレエル「死ぬがよい」
帝院令「恐怖の大王、デフレエル・・・」
只野男志（うん。俺このループでは頑張った）
只野男志（次のループの俺は、もっとうまくやってくれるはず！）
只野男志（また来世！）

〇学生の一人部屋
ヨルムンガンド「フギャアァアッ！！」
只野男志「玖珠絵様！ パーティーはお任せください！ さ、お帰りを。時間ないんで」
狩場玖珠絵「あっ。えっ。ちょっと？」
　　無理やり玖珠絵を追い返す。
　　そのとき、ゴロゴロと遠雷が響く。
只野男志「そしてぇ！」