第二話 企画コンペ(脚本)
〇事務所
それから3か月後・・・
寺崎飛馬「ただいま帰りました氷室先輩」
氷室冴子(社内)「お帰りなさい!」
そう言って氷室先輩は息を弾ませて近づいてきた
氷室冴子(社内)「遅かったじゃないの心配したわ」
寺崎飛馬「氷室先輩こそまだいらしたんですか?」
そう言って、氷室先輩は眉をひそめた
氷室冴子(社内)「ええ、待ってたわ」
寺崎飛馬「でも、そこまでしてくれなくても・・・」
氷室冴子(社内)「何言ってるの、こんな遅くまで働いている飛馬君をほっとける訳ないでしょ」
寺崎飛馬「有難うございます」
僕がそう言うと氷室先輩は優しく微笑んでコーヒーを差し出してくれた
氷室冴子(社内)「ほら、一息つきなさい・・・頑張り過ぎちゃダメよ」
寺崎飛馬「有難うございます」
氷室冴子(社内)「それでプレゼンはうまく行った?」
寺崎飛馬「氷室さんのお陰でバッチリです」
氷室冴子(社内)「そう、良かったわね」
寺崎飛馬「それで、お礼と言っては何ですが今度食事でも・・・」
氷室冴子(社内)「御免なさい。私、夜に海外留学の勉強をしてるの」
寺崎飛馬「す、すごいですね。どちらへ?」
氷室冴子(社内)「フランスなんだけど」
寺崎飛馬「フランスですか・・・」
氷室さんに比べ僕は、そんな氷室さんをものにできるか賭けをした自分を恥ずかしかった
氷室冴子(社内)「じゃぁ、お先に・・・」
寺崎飛馬「あっ、待って。送りますよ先輩」
氷室冴子(社内)「えっ、本当に?でも・・・迷惑かけちゃうわ」
寺崎飛馬「迷惑だなんて・・・」
氷室冴子(社内)「有難う・・・実はチョット寂しかったの。でも息子も待ってるだろうし、また明日ね」
そう言って冴子は部屋を急いで出て行った
寺崎飛馬(そうだ僕も何か勉強しなくては)
〇個別オフィス
そんなある日、僕は米田常務に呼ばれた
寺崎飛馬「お呼びでしょうか米田常務」
米田健「おめでとう、今度の新規プロジェクトコンペに君を推薦する事になった」
寺崎飛馬「えっ・・・」
米田健「そうそう、君の指導役の氷室は海外プロジェクト部に引き抜かれたから」
寺崎飛馬「判りました常務」
米田健「良かったな、これで君も氷の女から解放される」
僕は、氷室先輩と離れ離れになる事がわかり寂しさがこみ上げた
〇エレベーターの前
寺崎飛馬「あっ、氷室先輩」
輝いている氷室先輩の姿を見て、僕は賭けをした自分が恥ずかしかった
小野寺将太「よっ、元気か・・・」
寺崎飛馬「あっ、小野寺さん・・・」
小野寺将太「紹介するよ、君の部下になる佐伯智子さん」
佐伯智子「佐伯智子です。不束者ですがよろしくご指導ご鞭撻宜しくお願いします」
そう言うと智子はペコリと頭を下げた
寺崎飛馬「こちらこそ、宜しくね佐伯さん」
佐伯智子「智子って呼んでくださいね」
小野寺将太「ははは、これで今度の新規プロジェクト企画はウチが貰ったな」
寺崎飛馬(全く、今の娘は何を・・・)
小野寺将太「そうだ、今回はあの氷の女も企画を出すそうだ」
寺崎飛馬「えっ、氷室先輩も・・・」
小野寺将太「まぁ、がんばれよ」
〇綺麗な会議室
寺崎飛馬「ハイ、これで街に出て企画のネタを考えて来て」
佐伯智子「一人でですか?」
寺崎飛馬「あぁそうだ。いい企画のヒントを見つけてそれを企画書にまとめ上げてね」
佐伯智子「ハイ」
〇エレベーターの前
???「あっ、氷室先輩・・・」
氷室冴子(社内)「まぁどうしたの?寺崎君」
寺崎飛馬「はぁはぁ・・・」
寺崎飛馬「お久しぶりです氷室先輩」
氷室冴子(社内)「どう元気にしてた?」
寺崎飛馬「ハイ、先輩こそ海外事業部でご活躍との事で・・・」
氷室冴子(社内)「えぇ、これからどちらへ?」
寺崎飛馬「企画を考えに街を・・・」
氷室冴子(社内)「私もよ」
寺崎飛馬「よかったらご一緒しませんか」
氷室冴子(社内)「じゃぁ、着替えるから玄関で待っててくれない?」
寺崎飛馬「ハイ」
〇高層ビルの出入口
氷室冴子(社外)「お待たせ~」
玄関で待っていると、そこに社内での姿とは、別人の華やいだ美人が現れた・・・氷室先輩だった
寺崎飛馬「だ、誰かと思いましたよ氷室先輩」
氷室冴子(社外)「先輩、って止めてくれない寺崎君」
寺崎飛馬「じゃぁ何と・・・」
氷室冴子(社外)「冴子・・・でいいわ特別」
寺崎飛馬「ハイ、冴子行こうか?」
氷室冴子(社外)「そうね行きましょう飛馬」
冴子は僕の手を握りしめ歩き始めた
〇海辺
氷室冴子(社外)「癒されるわねぇ・・・」
寺崎飛馬「本当に、そうだline交換しませんか?」
氷室冴子(社外)「いいわよ飛馬」
そう言って近づいてきた冴子の甘い香りが俺の鼻をくすぐった
氷室冴子(社外)「これでいいかしら?」
僕は我慢できなくなり唐突に交際を申し込んだ
寺崎飛馬「付き合って下さい冴子さん」
俺は佐恵子の腰に手を廻したい衝動にかられた
氷室冴子(社外)「ダメよ、おばさんをからかっちゃ・・・」
そう言うと冴子は少し俺と距離を置いてきた
寺崎飛馬「ゴメンなさい」
氷室冴子(社外)「ウフフ・・・まるで子供みたい」
氷室冴子(社外)「帰りましょ」
寺崎飛馬「ハイ」
〇コンサート会場
氷室冴子(社内)「以上、海外事業部の企画を終わります」
氷室先輩のプレゼンは素晴らしかった
氷室冴子(社内)「どう?私のプレゼンは・・・」
寺崎飛馬「素晴らしかったです・・・よかったら無事に終わった祝杯を挙げませんか?」
氷室冴子(社内)「えぇ・・・」
〇ジャズバー
「乾杯・・・」
冴子は心地よい音楽と酒にいい気分になってるみたいだった
氷室冴子(社内)「素敵・・・」
寺崎飛馬「よかった、氷室さんはジャズがお好きなんですね」
氷室冴子(社内)「えぇ、これでも学生時代はサックスを吹いていたのよ」
寺崎飛馬「凄いですね」
氷室冴子(社内)「飛馬は学生時代何を?」
寺崎飛馬「もっぱらキャンプ生活です」
氷室冴子(社内)「へぇー」
寺崎飛馬「今度ディキャンプでもしませんか?」
氷室冴子(社内)「いいわね・・・息子も連れて行こうかしら?」
寺崎飛馬「息子さんは今おいくつですか?」
氷室冴子(社内)「小学生よ、やんちゃ盛りなの」
寺崎飛馬「ご主人は?」
氷室冴子(社内)「シングルマザーなの」
寺崎飛馬「そうでしたか・・・ぜひご一緒に」
氷室冴子(社内)「飛馬も彼女連れて来るんでしょ・・・」
寺崎飛馬「は、ハイ・・・」
ピエール「ハ~イ、冴子」
氷室冴子(社内)「あら、ピエール。奇遇ね」
氷室冴子(社内)「こちら飛馬君・・・海外事業部の同僚のピエール」
寺崎飛馬「始めまして、今晩わ・・・」
ピエール「私、ピエールと申します」
ピエール「さぁ、踊りに行きましょう冴子」
氷室冴子(社内)「いいわね・・・飛馬もどう?」
寺崎飛馬「僕は、これで・・・」
ピエール「そうですか、残念です・・・行きましょ冴子」


