比奈の最も大変な日(脚本)
〇雑居ビルの一室
野川比奈「ちょっ、いきなりどうしたのよ!?」
「2週間後にさ、学校の交流会あるじゃん、新入生も交えてさ?」
野川比奈「あるよね。って、まさか!?」
「そう!その時さ、アンタの実家の旅館に泊まらせてもらうから。スケジュール等はあとでメールするからよろしくね!」
野川比奈「えっ!?い、いきなり!?待っ」
野川比奈「ど、どうしよう・・・」
〇近未来の開発室
神谷千夏「あ、野川さんが戻ってきた」
野川比奈「た、ただいま戻りました・・・」
六谷美麗「どうした?そのような顔をして」
野川比奈「2週間後、交流会あるじゃないですか?うちとよその学校との」
六谷美麗「ああ、あるな。今回はあたしが私立天宝学園高校の引率だったけど、問題あるか?」
野川比奈「いや、問題はですねそこではなく・・・」
福南二奈「交流相手の学校の参加生徒になんかあったの?」
野川比奈「そうなんですよ、実は・・・」
比奈は先ほどの電話の件を細かく話した。
六谷美麗「んな!?」
神谷千夏「い、いくらなんでも急すぎない!?」
福南二奈「一方的にそんな話をして切られた、と・・・千夏、色々と話があるかもしれないけど色々落ち着いてからにしない?」
神谷千夏「二奈の言う通りだわ、そうしましょう・・・」
〇木造の一人部屋
野川比奈「うげぇ~・・・ま、マジかぁ・・・しかも一方的に決められるなんて何のつもり?」
「比奈~、2週間後に姫薔薇女学院高校の生徒さんがうちの旅館に泊まりに来るみたいだから準備とかしといてよ~」
野川比奈「分かったよ、母さん」
すんなりと了承した比奈ではあったが内心はというと・・・
野川比奈(姫薔薇女学院高校というとじゃじゃ馬のあの子がいる高校だよね・・・トラブルがなければいいけど・・・)
〇ハイテクな学校
「今日の交流会、よろしくお願いいたします」
六谷美麗「こちらこそよろしくお願いします!」
野川比奈「私立天宝学園高校2年、野川比奈です。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
野川比奈(大丈夫、だよね?)
やや不安を感じている比奈であった。
〇おしゃれな食堂
野川比奈(平和に進んでいる、のかな?大丈夫、だよね?)
野川比奈「大丈夫そうだね・・・このままいって・・・」
「ひ~な~・・・」
風宮櫻子「おりゃ!」
突然1人の女子生徒が比奈のスカートを思い切りブワッとした。
野川比奈「──ひっ!?」
風宮櫻子「お、今日は水玉パンツか~」
〇空
「きゃあああああああ!!」
〇おしゃれな食堂
野川比奈「何するのよ、こんな交流会中に!」
風宮櫻子「にゃはは〜、比奈は相変わらずだな〜」
六谷美麗(こ、こういうことか・・・野川が言っていたのは。なかなか面倒なやつがいるものだな、姫薔薇女学院高校には)
六谷美麗(トラブルがなければいいのだが・・・)
「風宮さんが絡んでいるの、天宝の生徒だよね?」
「そうそう、野川旅館の女将さんの娘さんで風宮さんとは幼馴染だったんだっけ?」
「そうそう、面白い2人ね」
野川比奈「~~~~~~~!何してくれるのよ、本当!笑われているじゃない!」
風宮櫻子「良いじゃん、別に~!」
野川比奈「良くな~い!」
〇温泉旅館
ハチャメチャなところはあったものの、無事に学校間の交流会は終了。そして・・・
風宮櫻子「やっぱりきれいだね~、比奈の実家の旅館は。今晩、お世話になります」
野川比奈「あ、あのさ・・・お世話になるのはいいけど・・・」
野川比奈「いつまで私の胸を揉んでいるのよ!」
風宮櫻子「相変わらず成長中の真っ只中ですな~、比奈の胸は」
比奈にべったりくっついている彼女は姫薔薇(ひめばら)女学院高校2年、風宮櫻子(かぜみやさくらこ)16歳。
成績優秀な彼女だが、時々ハチャメチャなことをするじゃじゃ馬娘。野川比奈とは小学校時代の同級生。
〇旅館の受付
その夜
野川比奈「や、やっと終わった・・・」
「比奈ちゃん」
野川比奈「何ですか?」
「ごめんね、こんな時間まで手伝いをお願いしちゃって・・・団体様だしどうしても人手不足になりそうだったからね」
野川比奈「いえいえ、お気遣いありがとうございます・・・」
野川比奈(このまま何事もなく終わればいいけどな・・・)
不安はあるものの、仕事だけはきっちりこなしていく比奈であった。
〇林道
翌日は休日。朝食の時間帯の中、野川旅館から少し離れた林の中では・・・
デスプリンセス・サキュ「ふぅ、この静寂は心地よいな・・・」
人間界に降り立ったデスプリンセス・サキュが静寂に浸りながら人間界征服の計略を立てていた。
デスプリンセス・サキュ「装填完了・・・永遠の眠りに堕ちるがよい・・・」
デスプリンセス・サキュ「スリーパー・スナイプ・・・」
静寂を破る銃声が林の中に響いた。
〇温泉旅館
何も知らない比奈が旅館にやってきた。
野川比奈(今日は昨日からの団体客でいっぱいだし、しっかりと仕事しなきゃ!)
しかし、旅館の違和感にすぐに気づいた。
野川比奈「あれ?変に静かね、今日は」
〇宿泊旅館
中に入り、恐る恐る客室を覗くと・・・
野川比奈「ど、どういうこと!?旅館スタッフもお客さんも皆眠っているなんて・・・」
なんと比奈以外のスタッフ、宿泊客が揃いもそろって眠っているのだ。
〇風流な庭園
比奈は庭に行くと、ある物を発見した。
野川比奈「!?あれは・・・」
庭の隅には銃弾が1発あった。比奈は慎重に処理した。そして、あることを考えた。
野川比奈(これはもしかしたら魔界から来た奴らのものかもしれないわ。というか客室を見たけど、誰か1人いないような・・・)
野川比奈「櫻子がいなくなっていたわ!」
野川比奈「ま、まさか・・・」
〇田舎の空き地
旅館の近くの空き地にて
デスプリンセス・サキュ「この女を魔物召喚儀式のいけにえとする」
「ははっ、早速準備いたしましょう」
野川比奈(櫻子を魔物召喚のためのいけにえにするなんて・・・)
比奈はデスプリンセスに気づかれないようにして状況を探っていた。そこへ
「野川か?」
六谷美麗「何しているんだ?こんなところで・・・」
野川比奈「しー!六谷先生、声が大きいです!あれを見てください!」
六谷美麗「す、すまない・・・って、あれは姫薔薇の風宮櫻子さんか!?」
野川比奈「あいつらに捕まってとんでもないことをされそうなんです!」
六谷美麗「──!!あ、あいつら・・・突撃するか?」
野川比奈「これはもう行くしかないですね、行きましょう!」
デスプリンセス・サキュ「準備できたようだな・・・やるぞ」
「では・・・」
儀式を行おうとした時!
「待ちなさい!!」
デスプリンセス・サキュ「!?誰だ!」
野川比奈「あんた、魔界王子の手下ね!私の友達をいけにえにはさせないわ!」
「姫、どうやら見つかってしまったようですね」
デスプリンセス・サキュ「面倒なことになったな・・・」
六谷美麗「それはこちらのセリフだ。また人間界征服に乗り出したんだろうな。そうやすやすとやらせないぞ!」
六谷美麗「貴様、その感じは魔界から来た奴だな?」
デスプリンセス・サキュ「いかにも。私は魔界軍のデスプリンセス・サキュ。魔界王子様の命に従い貴様らを抹殺する!」
六谷美麗「させるか!野川、変身だ!」
デスプリンセス・サキュ「させぬ!」
サキュは懐から取り出した鞭を振り、美麗と比奈に先制攻撃した。
「くっ!」
六谷美麗(くそっ、まずは風宮櫻子を救出するのを最優先にするべきか・・・)
野川比奈(あのスピードで鞭を振られたら・・・何とかしないと!)
デスプリンセス・サキュ「どうした!?先ほどまでの威勢は何だったのか?」
一瞬のスキをついて比奈がサキュに体当たりをかました。
野川比奈「人間を・・・舐めるなあああああ!!」
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