心を癒したガーベラ(脚本)
〇魔界
異界の魔王子「ええい、また失敗したか!」
「モ、モウシワケゴザイマセン・・・」
異界の魔王子「この役立たずが!貴様はもう用済みだ!」
「ゴンギャアアアアアア!!!」
「王子、王が亡くなられてから貴方がずっと支配なさっているのは承知の上。ここは落ち着いて分析なさってはどうです?」
異界の魔王子「そ、それはそうだが・・・策はあるのか?」
魔界侯爵「私があの世界での人に変装し、情報を探ってまいります。そして私たちの邪魔をするヒロイン共をこの手で始末しましょう」
そういうと魔界侯爵はさっさと行ってしまった。
異界の魔王子「ヒロイン共、今に見ているがよい・・・」
〇ハイテクな学校
ある朝、比奈が学校に行くと、ある話が聞こえた。
「ねえねえ、聞いた?野川旅館に出た化け物を撃退したヒロインの話」
「聞いた聞いた!すごいよね〜。3人組、なのかな?いいチームワークしているし」
「これでこの街も少しは平和になればいいね」
「そうよね・・・というかあの3人の正体って誰だろう?」
野川比奈(やばっ、もしかしてバレた!?)
「しーっ、それに関しては話すの厳禁でしょ?」
「ご、ごめん・・・行こうか」
野川比奈(セーフ・・・よ、良かった、バレなくて・・・)
野川比奈(変なことになる前に引いておこう・・・)
怪しまれるのを警戒し、比奈は急ぎその場を去った。
〇学校の屋上
野川比奈「というような会話が今朝聞こえたんだよ・・・」
神谷千夏「なかなかにヒヤリとする話だったわね・・・」
福南二奈「色々と話題になって来たからそういうこと気になっている人たちもたくさんいるだろうね・・・」
3人は絶対に正体をばらしてはならないということを心に決めるのであった。
「ここにいたのか、神谷。って、福南と野川も一緒か?」
神谷千夏「そうですけど、どうしたんですか?先生」
「実は急なことだが君たち3人に頼みたいことがあってな・・・」
〇説明会場
放課後、千夏と比奈と二奈は依頼の説明を受けた。その依頼内容はというと・・・
「結婚式の助っ人!?」
「そうだ。実は神谷のクラスの担任が来週の日曜日が挙式日だそうで、君ら3人にもその式の手伝いをしてもらいたい」
神谷千夏「あ~!言っていましたね、六谷先生が来週結婚式を行うって」
「そうなんだ。本当は神谷だけを考えていたが流石に1人で頑張らせるのは酷だと思って野川と福南にも協力をお願いした」
福南二奈「──それで私と比奈にも・・・手伝いの内容はどうなっているでしょうか?」
「福南、君の実家はパン屋だよな?君の作ったオリジナルのパンを結婚式のお客様に振舞いたいと先方から願いがあった。やれるか?」
福南二奈「自分の作ったパンを結婚式で振舞えるなんて光栄です!任せてください!」
「野川には受付の手伝いをお願いしたい」
野川比奈「了解しました」
神谷千夏(六谷先生の結婚式・・・絶対に最高の結婚としたいわ!)
「神谷、君には来賓客の誘導と先生への花束贈呈をお願いする。花束は事前に用意してくれるそうだ」
神谷千夏「分かりました!」
〇結婚式場の前
そして、当日・・・
神谷千夏「ここね、六谷先生の結婚式の会場・・・」
野川比奈「ぶるぶるぶる・・・」
福南二奈「うわ、比奈がすごい震えてる・・・」
野川比奈「うう、だ、だって・・・こういうところ初めてだし・・・」
福南二奈「いや、分かる。分かるよ、その気持ち・・・」
神谷千夏「でも、正直丁度いいかもしれないわ。異世界からの魔物たちがここに変装して入って暗躍しているかもしれないし・・・」
野川比奈「要するにこの結婚式の会場にお客さんとして参加して悪だくみしていると・・・」
神谷千夏「その可能性は高いわ。2人共仕事もそうだけれど、魔物たちの襲撃への警戒も忘れないでね」
福南二奈「──分かった!」
神谷千夏(絶対に先生の結婚式を大成功させたい!そして・・・)
(異世界からの魔物たちの好きにはさせない!)
〇結婚式場の廊下
魔界侯爵(ここで結婚式を挙げる2人がいるらしいからな。かなりの客もいるし、魔物を出すには丁度いい・・・)
魔界侯爵「おのれ、ヒロイン共・・・後悔させてやる・・・」
〇教会の控室
「や、やっと休憩だぁ・・・」
神谷千夏「思った以上に大変ね・・・」
福南二奈「流石は六谷先生の結婚式・・・相当なお客さんね・・・」
野川比奈「でも、こんなにたくさんだと逆に怪しいかもしれない。1人か2人は魔物が扮したやつが紛れ込んでそうだし・・・」
神谷千夏「確かにその可能性は高いわね。もしかしたらお客さんじゃなくて式場のスタッフに扮していることも考えられるわ」
そんな中、二奈は窓の外を見ていた。
福南二奈「!!比奈、千夏、ちょっと来て!」
神谷千夏「どうしたの?二奈!」
野川比奈「まさか、魔界の魔物がいたの!?」
〇結婚式場のテラス
魔界侯爵「フフフ・・・いいものが出来たぞ・・・」
ゾンビイヴィル「ウアアアアアアア!」
魔界侯爵「さあ、ゾンビイヴィルよ!行くぞ!」
ゾンビイヴィル「オオオオオオ!ゾンビイヴィル、ニンゲンクラウ!」
〇教会の控室
神谷千夏「い、今のは!?」
福南二奈「明らかに魔物を生みだしていたよね、あの男の人!」
野川比奈「しかもなんかゾンビみたいなのを作り出してここで暴れさせようとしていたわ!」
神谷千夏「2人共、引き続き警戒をよろしくね。私は、先生の結婚式のスピーチ等のため会場に行くわ」
「了解!」
神谷千夏(六谷先生、大丈夫かな?結婚式に影響がなきゃいいけど・・・)
〇結婚式場のレストラン
その後も六谷先生の結婚式は滞りなく進んだ。
教え子の代表としてスピーチをした千夏も手ごたえを感じていた。
3人は周囲を警戒していたが魔物の気配はなかった。
〇教会の控室
いよいよ結婚式も最後の方になって来た。記念撮影等も控えている。
六谷美麗(まさか、28にもなって結婚できるとはな・・・お相手は同い年で高校の同級生。陸上自衛隊所属でしょ?すごいわ・・・)
「新婦様、教え子さんが来ていますよ」
六谷美麗「!?」
神谷千夏「失礼します」
六谷美麗「神谷・・・」
神谷千夏「六谷先生、まずはご結婚おめでとうございます」
六谷美麗「ありがとうな。しかしまさか福南と野川も協力していたとは・・・」
神谷千夏「お気持ちは分かります。でも、正直助かりましたよ。私1人だけでは出来ないことも色々ありますからありがたいですね」
六谷美麗「だな。正直私も不安だった・・・こんな素敵なウェディングドレスを着たことがなかったからな・・・」
六谷美麗「これからもよろしく頼むぞ、神谷!」
神谷千夏「了解しました!」
〇結婚式場の廊下
福南二奈「先生、少し緊張していたの?」
神谷千夏「ええ、そうね」
野川比奈「こんな機会、今日限りになるかもしれないからね」
神谷千夏(このブレスレットに念を送りたいわ・・・)
(六谷先生の結婚式、絶対大成功で終わらせる!)
千夏たちに気合が入ったその時!
神谷千夏「この声は!」
福南二奈「控室にいる六谷先生じゃない!?」
野川比奈「──!あいつ、やってくれたようね!」
〇教会の控室
六谷美麗「な、なんだこいつは!?」
ゾンビイヴィル「グガガガガ!」
控室にいた六谷美麗先生がゾンビイヴィルに襲われていた。
ゾンビイヴィル「ソノウツクシイモノ、オレガブッコワシテクレル!!」
六谷美麗「ぐっ・・・わ、私の・・・」
ゾンビイヴィル「ヲ・・・?」
六谷美麗「私の愛したガーベラに手を出すな!」
六谷先生がゾンビイヴィルに大喝一声を入れた瞬間!
「おらあああああ!!」
ゾンビイヴィル「ウヲッ!?」
ゾンビイヴィルは突き飛ばされ、壁に激突した。
野川比奈「大丈夫ですか!?六谷先生!」
六谷美麗「野川!」
野川比奈「ここは私が引き受けます!先生はすぐに逃げてください!」
六谷美麗「頼む!あいつ、私の辛さを和らげたガーベラを折ろうとしたんだ、とっちめてくれ!」
野川比奈「分かりました!」
ゾンビイヴィル「オレノジャマヲスルナ!アバレタリネエゾ!」
野川比奈「逃がさないわ!」
比奈は教会のテラスに向かった。
〇結婚式場のテラス
魔界侯爵「くっ、行けると思ったのだが・・・」
ゾンビイヴィル「グヌヌ、モウシワケゴザイマセン、コウシャクサマ・・・」
魔界侯爵「構わぬ、こうなるのは予測済みだ。体制を立て直す」
「待ちなさい!」
野川比奈「あんた、どうやらそいつを送り込んだ張本人のようね・・・」
魔界侯爵「ふん、貴様のような小娘が魔界侯爵の私に何の用だ?」
野川比奈「あんたを・・・ここで倒すためよ!」
ゾンビイヴィル「コウシャクサマ、オレガコイツ、ヤル!」
魔界侯爵「ふん、よかろう」
そこへ
「野川さん!」
野川比奈「神谷さん!福南さんも!」
神谷千夏「良かった、間に合って・・・」
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3人の次に誰がチームに加入するのかなと考えていたら……まさかの六谷先生!?
結婚したばかりの先生はヒロインになれるのか?
楽しみにしてますよ。🤭