ハレの惡左府

山本律磨

信西の平安(脚本)

ハレの惡左府

山本律磨

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〇華やかな広場
雅仁皇子「俺の勝ちだぜ!」
信西「むむむ。もうひと勝負」
信西「はっ!」
信西「ふふふ。これで確率的には私の・・・」
雅仁皇子「よっと!」
信西「ば、馬鹿な!」
雅仁皇子「俺の勝ちだぜ!」
信西「何故だ・・・何故伍で勝てぬ」
信西「伍の裏は弐、賽の比重からして わずかだが尤も出易い数は これが最適解のはず」
雅仁皇子「たかが遊びだろ」
雅仁皇子「そんなチマチマしたこと考えてるから、 勝てもしないし楽しめもしないんだよ」
信西「まさに凄まじき天運。 これが王族の本領か」
信西「されど王者たるものが 運否天賦に全てを委ねるとは。 これが戦だったら如何致します」
雅仁皇子「戦か・・・ だったら俺はアイツには勝てねえな」
信西「あいつ?」
雅仁皇子「兄貴だよ」
信西「まさか・・・」
雅仁皇子「おれは一度だって、 この遊びで兄貴に勝った試しがない」
雅仁皇子「いや一度もは、盛りすぎだけど。 それでもあらかた負けてる」
信西「・・・」
雅仁皇子「天に愛されてるハレの君は、 本当は兄貴の方なんだ」
雅仁皇子「なのにアイツはいじけて引籠ってばかり」
雅仁皇子「兄貴が本気で帝になるんだったら 俺は喜んで・・・」
信西「なりませぬ!」
信西「顕仁殿下の後ろ盾が天ならば、 この信西、全知全能を以て天に挑みます!」
信西「はっ!」
信西「ふふふ。これで拮抗です」
雅仁皇子「気をつけろ」
雅仁皇子「次はもう落ちるだけだ」
信西「何を弱気な。 雅仁様の運と私の才気があれば・・・」

〇豪華な王宮
信西「神をも凌駕できる」
信西「左府が竿墓に潜んでいたとは正に僥倖」
信西「魔王と廃帝も退けた」
信西「天よ照覧あれ。 これよりは私と後白河帝による 新たな平安が築かれるのだ」
  『猊下!信西猊下!』
信西「何ごとか。騒々しい」

〇華やかな広場
  数刻前。キノコ屋敷
和布禅尼「なにがキノコ屋敷よ!失礼ね!」
和布禅尼「こういう仕事も世の中には必要なの」
和布禅尼「さあさみんな!踊りの練習を続けなさい!」
  『違うわ!もっと淫靡に!』
和布禅尼「あ~もう!全然違うわよ!」
和布禅尼「もっとこう、ペロペロ~って! ペロペロ~って!」
綾若「やはり風紀の乱れは そなたの教育に問題があるのではないか?」
綾若「信西が取り締まりたがるのも道理だな」
和布禅尼「偉そうに。アンタの子飼いだった非人と 何が違うっていうのさ」
綾若「節度!品格!有難味!何もかもだ!」
和布禅尼「ふん。単に『男様』が女の浮ついた姿を 見たくないだけじゃないの?」
綾若「それを破廉恥という」
和布禅尼「破廉恥結構!」
和布禅尼「女だって自分のためだけに 乱れたくなる時があるのさ」
和布禅尼「これが私達の『お祭りごと』 神様仏様も許してくれるわ」
綾若「浅知恵女めが。神も仏も一緒くたとは」
和布禅尼「あら?神仏習合は祭りの大本。 有職故実に則るならば、 交わりこそが原初の教えよ」
綾若「チッ、付け焼刃の詭弁を弄しおって」

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