ハレの惡左府

山本律磨

畜生と番犬(脚本)

ハレの惡左府

山本律磨

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〇豪華な王宮
信西「身共が目指すはハレ無きケの世」
信西「分を弁えし秩序の世」
信西「即ち、天下すべからく ケに生きケに死するべし」
信西「ハレは帝ただひとり。 そのハレに照らされ、 臣民皆粛々と生涯を全うすべし」
信西「貴族も武者も僧俗も非人も。 誰も彼もケのみを全うせよ」
信西「まずはハレの残光、大魔縁」
信西「怪(ケ)とうそぶく不届無頼」
信西「烏辺野は惡左府の根城を焼き払え!」

〇古びた神社
義朝「魔王武者丸!生霊崇徳! 源氏が宝刀鬼切にて祓い清めてくれん!」
武者丸「一足遅かったな。 院は既に逃げおおせられた」
ムジナ「やれやれ。平氏の次は源氏かよ」
ミズチ「俺たちゃ足止め。適当な所でずらかるぜ」
武者丸「そういう訳だ検非違使ども。 しばし遊んで頂こう!」
義朝「ほう、これが魔性の剣。 清盛が手こずるわけだ」
武者丸「ふふふ・・・」
義朝「何が可笑しい?」
武者丸「鬼切とは名ばかりか? 白面もののふの足元にも及ばん」
武者丸「それとも生臭坊主の腰巾着に甘んじ、 坂東武者の意気を亡くしたか?」
義朝「非人畜生が人の言葉を喋るな!」
義朝「都を騒がし金品を盗む野盗ばらが、 魔王を名乗るは片腹痛し!」
武者丸「襲っているは貴族の舘のみ。 飼い犬風情に四の五の 言われる筋合いはない」
武者丸「人の言葉らしきものを喋る畜生は うぬらではないか!」
武者丸「我ら畜生とうぬら番犬、何が違う!」
義朝「何もかもだ!汚らわしいケダモノどもが!」
武者丸「ならばこれがケダモノの牙だあああッ!」
検非違使「義朝様!」
義朝「構わん・・・掠り傷だ」
義朝(クッ・・・『大事』の前に心乱れているか)
ミズチ「潮時だぜ武者丸」
ムジナ「十分時は稼げた」
武者丸「源氏よ・・・平氏よ・・・」
武者丸「ハレという名の戦は お前達だけのものではないぞ」
検非違使「おのれ!どこに消えた!」
検非違使「探せ探せえええ!」
義朝「もういい。大事の前の些事だ」
義朝「道化どもの処分は後回しでよい」
義朝「そうだろう・・・」

〇黒
  『清盛よ』
  CONTINUED

次のエピソード:高平太、高転び

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