バイト探しは慎重に!

そよかぜフィリップ

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そよかぜフィリップ

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〇商店街
樋口二葉「はあ・・」
樋口二葉「あ~あ」
  やってしまった・・
  さっき私は
  嫌な上司にキレて
  勢いでバイトを辞めてしまった
樋口二葉「あのオヤジ、 セクハラし放題だったからなぁ」
樋口二葉「でも私に成敗されて、泣いてたな・・」
樋口二葉「まあ、これで」
樋口二葉「あの店も良くなるかもね・・」
樋口二葉「もう関係ないけどさ」
樋口二葉「・・はぁ」
樋口二葉「新しいアルバイト探さなきゃ」

〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
  私は女優
  いや・・
  売れない舞台役者だ
  まだ役者だけじゃ、食べていけないから
  アルバイトは欠かせない
樋口二葉「はあ・・」
樋口二葉「バイト探しって、面倒なんだよなぁ」
樋口二葉「でも」
樋口二葉「バイトしなきゃ、 家賃も払えないからなぁ」
樋口二葉「せっかくだから」
樋口二葉「役者の勉強になりそうな、仕事を探してみるか」
樋口二葉「なんかアルバイトの募集記事って」
樋口二葉「全部似たような文言なんだよね」
樋口二葉「例えばコレとかね・・」
  空いた時間に、サクッと・・・
  探偵してみませんか?
樋口二葉「サクッと、探偵?!」
  私は好奇心で、その求人に飛びついた!
  そして翌日
  面接の為、その探偵事務所へと向かった

〇森の中の小屋
樋口二葉「凄いとこだな」

〇小さな小屋
野口英1世「こんにちは」
樋口二葉「あ、はじめまして!」
樋口二葉「樋口二葉です」
野口英1世「私は【野口英1世】だ」
野口英1世「よろしく」
樋口二葉「ノグチヒデ1世、さん・・ですか」
樋口二葉「宜しくお願い致します!」
野口英1世「では、早速面接を始めようか」
樋口二葉「はい!」
樋口二葉「お願いします」
野口英1世「どうしてこのアルバイトを選んだのかね?」
樋口二葉「あ、私」
樋口二葉「役者をしてまして」
樋口二葉「勉強になりそうな、仕事をしたいと思いまして」
野口英1世「なにぃ!」
野口英1世「役者だと!」
野口英1世「そんな軽い気持ちで探偵を!」
樋口二葉「え・・ まずかった?」
野口英1世「合格だ!」
野口英1世「感動した!」
樋口二葉「・・・え?」
樋口二葉「泣いてる!」
野口英1世「キミィ!」
野口英1世「この重苦しい今の時代、」
野口英1世「探偵にもその軽さが必要なんだよ!」
樋口二葉「あ・・はい」
樋口二葉「ありがとうございます・・」
樋口二葉「そんなに感動する事言ったっけ?」
野口英1世「では、早速仕事に移ろう」
樋口二葉「はやっ!」
樋口二葉「もう涙、乾いてるし」

〇ラーメン屋
野口英1世「今日は某組織からの依頼で」
野口英1世「このラーメン屋に潜入する」
樋口二葉「え?」
樋口二葉「潜入して、何を調べるんですか?」
野口英1世「この極悪非道なラーメン屋の裏側を」
野口英1世「徹底的に暴くのだ!」
樋口二葉「極悪非道・・」
野口英1世「心の準備はいいか?」
樋口二葉「・・あ、はい」
樋口二葉「ホントは嫌だけど・・」

〇ラーメン屋のカウンター
マスター「いらっしゃい!」
樋口二葉「げっ!・・ヘンタイ!」
野口英1世「いつもの頼む」
樋口二葉「え、常連?」
マスター「はい!」
マスター「お姉さんはどうしましょう?」
樋口二葉「え・・」
樋口二葉「えっと、同じので」
マスター「はい!かしこまりました!」
野口英1世「キミ?」
野口英1世「あのマスターを どう思う?」
樋口二葉「え?」
樋口二葉「ユニークな格好されてるな、 と思いますけど・・」
野口英1世「甘いな」
野口英1世「あれはカモフラージュだ」
樋口二葉「え?」
樋口二葉「何のカモフラージュなんですか?」
野口英1世「あれはだな」
野口英1世「真面目な自分を隠す為のアイテムだ」
樋口二葉「ど、どういう事ですか?」
野口英1世「判りやすく言うと」
野口英1世「犯罪に手を染めた自分と、 本来のマジメな自分との」
野口英1世「統合性が取れなくなった結果、」
野口英1世「それが、あの衣装なのだ!」
樋口二葉「・・そうなんですか」
樋口二葉「悲しいな」
樋口二葉「悪い人じゃなさそうなのに」
樋口二葉「取り返しのつかない事をしてしまったんですね・・」
野口英1世「ああ!」
野口英1世「その通りだ!」
野口英1世「実はこの店」
野口英1世「秘密裏に」
野口英1世「違法なテレホンカードを販売してるんだ!」
樋口二葉「は?」
樋口二葉「なんですか?」
樋口二葉「テレホンカードって?」
野口英1世「テレホンカードというのはだな・・」
野口英1世「極悪非道な集団の為の・・」
マスター「おい!アンタ!」
マスター「我々の秘密を知ってしまったようだな!」
マスター「生きては帰れないぜ!」
樋口二葉「え・・」
樋口二葉「ど、どうしましょう?」
野口英1世「私はこう見えて」
野口英1世「若い頃プロボクサーだったんだ」
野口英1世「キミは下がってなさい!」
樋口二葉「は、はい!」
樋口二葉「・・・今のちょっとカッコ良かった!」
樋口二葉「ちょっと、ドキッとした!」
マスター「何がプロボクサーだ!」
マスター「喰らえ!」
野口英1世「ぐえええ!!」
樋口二葉「ぐえええ!! って、弱いじゃないですか!」
野口英1世「ホントはジムに通ってただけで」
野口英1世「プロボクサーじゃないんだ!」
樋口二葉「それ、 敵の前で言っちゃダメ!」
マスター「喰らえ!」
野口英1世「ぐえええ!!」
野口英1世「実はジムにも通ってなくて」
野口英1世「ジムの隣のコンビニに通ってたんだ!」
樋口二葉「嘘つき!」
樋口二葉「だいたい」
樋口二葉「ぐえええ!! って、悪者が吐くセリフですよ!」
マスター「喰らえ!」
野口英1世「ぐえええ!!」
野口英1世「そのコンビニには」
野口英1世「女性バイトを目当てに通っていたんだ!」
野口英1世「シフトを入念に調べてね」
樋口二葉「あなたもヘンタイじゃないですか!」
樋口二葉「それ今、カミングアウトする事じゃないでしょ!」
樋口二葉「それより」
樋口二葉「出血多量の割には余裕あるじゃないですか!」
樋口二葉「反撃して下さいよ!」
謎の青年「フフッ・・」
謎の青年「まったく、酷い展開だな」
樋口二葉「ホントよ!って・・誰?」
謎の青年「フフッ」
謎の青年「僕はこの作品の作者」
謎の青年「『そよかぜフィリップ』だよ」
樋口二葉「えっ・・ カッコいい!」
樋口二葉「あ、あの、でも・・」
樋口二葉「作者さんに、こんな事言うのは」
樋口二葉「失礼かと思うんですが」
謎の青年「なんだい?」
樋口二葉「これ」
樋口二葉「プロットとか考えてるんですか?」
樋口二葉「なんか、 行き当たりばったりじゃないですか?」
謎のオヤジ「はぁ?」
謎のオヤジ「プロットって、なんだっぺ?」
樋口二葉「うわっ!」
樋口二葉「これが作者のホントの姿か・・」
樋口二葉「いかにも、創作を舐めてるって感じね」
樋口二葉「おい!オメエ!」
樋口二葉「ちゃんと次の展開考えてんだろうな!」
謎の青年「ねえちゃん」
謎の青年「そんなに怒らなくても、よかっぺよ!」
謎の青年「ワシの創ったキャラが」
謎の青年「勝手に暴走してんだっぺよ!」
樋口二葉「ちょっと!」
樋口二葉「キャラとセリフが合ってないわよ!」
樋口二葉「もう!」
樋口二葉「付き合いきれないわ!」

〇開けた交差点
樋口二葉「まったく!」
樋口二葉「無駄な時間を過ごしたわ!」
樋口二葉「早く、次のバイト探さなきゃ!」
「ちょ、待てよ!」
謎の青年「ちょ、待てよ!」
樋口二葉「なによ、アンタ!」
樋口二葉「ホントは」
樋口二葉「そんなカッコいい男の子じゃないんでしょ!」
樋口二葉「自分を偽って生きてるなんて、最低よ!」
謎のオヤジ「そんな悲しい事言わないでけろ」
謎のオヤジ「ワシだって、一生懸命に生きてるばい!」
樋口二葉「え?・・」
樋口二葉「あ、あぁ」
樋口二葉「そうね・・」
樋口二葉「言い過ぎたわ」
樋口二葉「ごめんなさい・・」
樋口二葉「でも、アンタ!」
樋口二葉「ちゃんと考えて、作品作りなさいよ!」
樋口二葉「真剣に創作に取り組んでる、 作家さん達に失礼よ!」
謎のオヤジ「それは、スマンかったでごわす!」
謎のオヤジ「でも、ワシは今回」
謎のオヤジ「大切な事を学んだでごわす」
樋口二葉「え?・・何よ」
樋口二葉「大切な事って」
謎のオヤジ「・・・」
謎のオヤジ「それはだすな・・」
謎のオヤジ「イケメンに変身するのは、 最高ってことだす!」
樋口二葉「・・・・・・」
樋口二葉「最低ね・・」
樋口二葉「アナタ何も学んでないわ!」
謎の青年「そんな事ないだす!」
謎の青年「ワシ」
謎の青年「SNSで属性を盛る人達の気持ちが、 痛い程わかっただす!」
樋口二葉「・・・話にならないわ」
樋口二葉「ついてこないで」
謎の青年「ちょ、待てよ!」
謎の青年「待てって!」
謎の青年「僕は!」
謎の青年「前からキミの事がスキだったんだ!」
樋口二葉「前からって、 5分前に会ったばっかりでしょうが!」
謎の青年「じゃあ、 5分前からキミの事がスキだったんだ!」
樋口二葉「ストーカーか!」
樋口二葉「いい加減にしないと、本気で怒るわよ!」
謎のオヤジ「怒らないでけろ、怒らないでけろ」
樋口二葉「え・・」
樋口二葉「ちょ、ちょっと!何よ、今の!」
謎のオヤジ「今のは」
謎のオヤジ「【突然、木が生えてくる】っていう エフェクトだす」
謎のオヤジ「使ってみたかったんだすけど、 チャンスが無かったんだす」
謎のオヤジ「だから今使っただす!」
謎のオヤジ「これは分身の術だす」
謎のオヤジ「忍者の話に使えるだすよ」
謎のオヤジ「大手古本屋ごっこもできるだす!」
謎のオヤジ「ぜひお売りくださーい!」
謎のオヤジ「お売りくださーい!」
謎のオヤジ「お売りくださーい!」
謎のオヤジ「お売りくださーい!」
謎のオヤジ「はい、一緒に!」
樋口二葉「お売りくだ...って、なんで私がやるのよ!」
樋口二葉「い、今のハートなんなのよ!」
樋口二葉「私がときめいたと思われるでしょ!」
謎のオヤジ「ラブラブだす」
謎のオヤジ「ラブラブだす」
謎のオヤジ「グフグフだす!」
謎のオヤジ「グフグフだす!」
樋口二葉「・・・」
樋口二葉「・・・もう怒る気力も無いわ」
樋口二葉「私はアナタから忍耐というものを学んだわ」
樋口二葉「え? なに、この歓声」
野口英1世「素晴らしいポテンシャルだ!」
樋口二葉「え?・・」
野口英1世「実は、私が本物の」
野口英1世「『そよかぜフィリップ』なのだ!」
樋口二葉「ウソ?」
樋口二葉「一発逆転クイズみたいな展開・・」
樋口二葉「適当すぎるわ、この人・・」
野口英1世「申し訳ないが」
野口英1世「キミを私の作品に出演させるか否か、試してみたのだ!」
野口英1世「いわゆるオーディションだね」
樋口二葉「・・・・・・」
野口英1世「キミは合格だ! おめでとう!」
野口英1世「ミス二葉」
野口英1世「私のミューズになってくれるね?」
樋口二葉「イヤです!」
野口英1世「ウソ・・」
野口英1世「ぐえええ!!」
樋口二葉「そういう事で みなさん!」
樋口二葉「バイト探しは慎重に!」
  バイト探しは慎重に!
  
  劇終
  
  バイト探しは慎重に!製作委員会

コメント

  • なんだかすごく賑やかでおもしろかったです。
    作者が出てくる作品はめずらしいですが、普通に作中に馴染んでて、それも作者さんの手腕なんでしょうね。

  • 作者が登場するなんてアンビリーバボーです。作者の言いたいことをキャラクターを通じて表現できるなんて斬新すぎます。作者の作戦勝ち!

  • 普段考えたことのなかった作者側の操作を学べておもしろかったです。新しいファンクションとかがあると使ってみたくなる気持ち、それを使いたいがために内容を考えるって気持ち、よくわかります。

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