エピソード8(脚本)
〇アパートのダイニング
・・・職場に電話がかかってきて、警察に事情をきかれることになった。
警察の人は、家の者だと名乗ったので、幸い職場の人にはバレていない。
かなこは、家に帰っていなかった。
奏と住んでいる家のほかに、こっそり借りているアパート。
当面、ここにいれば、安全だ。
・・・と、思っていた。
・・・かなこは、胸の高鳴りを抑えきれなかった。
夕方に、警察に行くことになっていた。
かなこは、画面を見つめていた。
・・・大騒ぎになっていた。
義母はいつの間にか恵の死体の写真を撮り、ツイートしていた。
「誰か助けて」というメッセージとともに。
・・・何てことするんだ。
こんなものを見せられたとき、ネット民はどうするか。
「死んでるのか?」
「殺したの?」
「誰かこの場所、特定しろよ」
「お前がやったのか」
「逃げ切れると思うなよ、オバサン」
「だれか通報しろよ。さっさと逮捕だろこんなもの」
・・・疑われることは覚悟していた。
恵は自分の知り合いである。
しかし、この状況では疑いの目は、おそらく義母にいく。
・・・そうよ。お義母さん。あなたが殺したのよ。
・・・動機がない?
じゃあ、あなたが溺愛する息子のやったことを隠そうとしたんじゃないの?
かなこは都合よく理屈をこねた。
〇警察署の入口
・・・そんなかなこの都合のいい理屈は、当たり前だがすぐに見破られてしまう。
刑事によると、調べの結果、死亡推定時刻は、あの会食の日が明けた午前中だということだった。
死体を動かした形跡を見破られる可能性くらいは考慮していた。
食らっても死体遺棄の罪だけだ。
かなこはどこかで高をくくっていた。
検死の結果、恵は、義母の家の庭で絶命したようだ。
・・・ということは、あの動かした瞬間まで、恵は生きていたということになる。
・・・そんなわけで、かなこはあの晩から朝にかけて、どこにいたのかを聞かれた。
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