Haru wo nozomu

Yharum

エピソード6(脚本)

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〇本棚のある部屋
  ・・・帰ってくると、いつものように義母がいた。
  結局、カギもかけずに義実家を出て来た。
  まだ朝だが、10時になっていた。
  あの状況をどうにか抜け出した、そんなねぎらいもなく、義母はずけずけと言った。
義母「いつも以上に散らかってるわね。 ったく、それでもうちに来た嫁なの? だらしないったらありゃしない」
  合鍵を取り返してと言っても、「別にいいだろ」と悪びれない夫。
  ・・・かなこはうんざりしていた。
「お義母さん、ひどいです」
「この頭の怪我。見て下さい。 ・・・傷害事件ですよ。警察へ行きますよ」
義母「あら。なんのこと? あなた自分でどこかに打ち付けたんでしょう」
  ・・・そうだ。ゆうべは、かなこ自身が死体として発見されてもおかしくなかった。
義母「働いてばっかりで。 嫁としての仕事もうっちゃって」
義母「楽になるチャンスだったのに、残念ね」
「どういう意味ですか?」
  ・・・でも現実はちがった。
「私は生きてますから」
「今はそんな話してる場合じゃないんです。 恵の姿、見たんでしょう?」
義母「恵って誰? ・・・ああ、ゆうべ遅くに、奏が外で誰か女の子としゃべってたのを見たわ」
義母「私、あの子知ってるわよ。 奏とずっとつき合ってた子。うちにも何回か来たから覚えてるわ」
義母「あの子みたいな子が奏の相手だったらよかったのに・・・」
「ちくちく嫌味言ってる場合じゃないんですよ。 死んでたんです」
  義母は、眉をひそめて驚いたような表情になった。
  ・・・何も知らないのか?
「ご実家のリビングで倒れてました。 ごらんになったんでしょう」
義母「・・・どういうこと?知らない」

〇車内
  ・・・どうして? 知らない?
  かなこは、半ば強引に義母を車へ連れ込み、義実家へ向かった。

〇空っぽの部屋(ガムテープあり)
義母「・・・えっ」
  かなこは、どうしてまたここへ戻ろうと思ったのか。
  せっかく抜け出してきたというのに。
  ・・・わからなかった。ただどうしてもここにこんな物がなかったことにしたい、自分が疑われたくないという気持ちだった。

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