Xヒーロー

語り部

第110話 空虚的な関係(脚本)

Xヒーロー

語り部

今すぐ読む

Xヒーロー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇手術室
  2021年 オレゴン州 ポートランド 国立霊長類研究センター A棟 地下室
  男が軽快な音を鳴らしながら階段を降りる。やがて無機質で無垢な鉄の扉を開けると
  右こめかみにアザがあり、胸に大きな刺し傷がある『セルゲイ』の遺体と
  似たような体格の男が拘束されていた
油谷 葉月「さて···始めよう。『イジェクト』」
  男はセルゲイの頭に手をかざすとセルゲイの頭に『見知った穴』が開き
  穴から出現したディスクトレイから『DVDディスク』を取り出すと、DVDディスクは姿を変え『VHSテープ』に変化した
  男は手に持ったVHSを拘束されている男の頭に押し当てながら『インサート』と発する。
  『懐かしき穴』にVHSは挿入されガチャガチャという音を立てながら拘束された男は身震いを始める
  やがて拘束された男はその身体を静まらせると『プレイ』という男の声とともに、むくりと体を起こした
セルゲイ・ライノヴィッチ「··· ··· ···あぁ···俺はまた死んだのですね代表」
油谷 葉月「あぁ。残りの残機は『1個』、どうか慎重に行動しなさい」
セルゲイ・ライノヴィッチ「了解いたしました代表。お心に感謝します」
  男は携帯を片手にその場を後にした。男は『セルゲイだった遺体』の処理を電話の向こう側の者に話した
  男は話した。記憶を再生すると数時間は記憶が混濁し精神不安定になる。故にメンタルケアを行なえと
  男は話した。セルゲイは『浮気』され失恋したと。故に彼を愛せる者を当てらせろと
油谷 葉月「奥手な心が招いた『臆病な失恋』、相手を信じる心が招いた『信頼の失恋』、相手を思う心が招いた『依存の失恋』」
油谷 葉月「私の恋が叶ったら···次は君達だ。それまで待っていてくれ」
油谷 葉月「『恋はいつだって独占的だからね』」

〇スーパーの店内
  イリノイ州 ケーン郡 エルジン市 複合施設 メインイベント 食品エリア
凪園無頼「ねー···なんでわざわざこんなクソつまんねぇ場所来たわけ?俺フェードの方行きたかったんだけど」
斎王幽羅「まぁまぁ慌てずに···こっちでございますよ凪園様、へへっ」
鸞「なんだその腰巾着キャラは···ん?あれは···」

〇ゲームセンター
  同所 ゲームコーナー
鸞「ゲームコーナー···?特段変な場所では無さそうだが···」
斎王幽羅「それがそうでもなくてね···」
凪園無頼「すげー!KOF97あんじゃーん!」
鸞「は?おい、マジか···なんでこんな古いのがあるんだ?」
斎王幽羅「日本製のアーケードを置きたかったけど、高くて買えなかったんじゃないかな?輸送費もあれだし」
斎王幽羅「元々kofが人気あったし、最新のヤツより古いヤツの方が好まれる傾向あるしそれで置いたのかも」
凪園無頼「つーかそれより誰やるー!?あ、俺二階堂紅丸ねー」
斎王幽羅「じゃあ俺は大門五郎ね。鸞どうする?」
鸞「はぁ··· ··· ···」
鸞「山崎竜二で。オロチ編秒で終わらせてやる」
凪園無頼「お、じゃあ鸞先頭にしようぜー!お手並み拝見ー♪」

〇ファミリーレストランの店内
  同時刻 エルジン市内 ファミレス
クロノス「ぐぬぬ···やっぱり箸難しい···!ねぇ、もう1回持ち方見せて!」
キング「こうだ。指をこうして···そうそう、合ってるぞ。そっから···ゆっくり動かしてみろ」
クロノス「あぁぁぁーっ!うまく掴めない!イライラする···!」
キング「こりゃ時間かかるかもな···持ち方は合ってるが、動かそうとするとぐちゃぐちゃになっちまう」
  するとフェードはため息をつきながら立ち上がり、クロノスの背後にまわると
  クロノスの手に自身の手を重ねて『力を抜け』と呟きながら、箸の動かし方を教えて見せた
フェード「箸は指の全部じゃなく末端での操作だ。だから余計に力入れずに···そう、上手いぞ」
クロノス「ズルズル···わ、食べれた!食べれたよクイーン!」
フェード「今度はひとりでやってみろ、見てやるから」
  そう言うとフェードは元の席に戻り、クロノスがウキウキで箸を使ってる様子を見ながら
  キングに話し始めた
フェード「キングも初めての箸はこんなだったか?」
キング「いや、炉郷荘に居た全員は最初『補助箸』スタートなんだよ」
フェード「へぇ···早いとどれくらいで覚えられるんだ?」
キング「確かいちばん早かったのが··· ··· ···あ、孔明だったな。三日で補助箸卒業だったはず」
キング「んでいちばん遅いのがエル・シッドと俺とペリノアで、半年かかった記憶あるわ」
フェード「ははっ、お前らしいな。そういえば···クロノスって前の姿だと好きな食べ物ってなんだったんだ?」
  それを聞いたキングは椅子に深く腰掛けながら話した
キング「前話したかもしんねェけど、こいつ前の姿だと時間操作能力でよ」
キング「本人曰く『滅茶苦茶体力使う』らしいんだわ。それでいっつも『ジャンクフード』ばっか食ってたぜ」
フェード「よし、聞かなかったことにしよう。お前も添加物と肉と油にまみれた物より私の手料理食べたいよな?クロノス」
  その問いにクロノスは『もちろん!』と返しながら、いつのまにかラーメンを完食していた

〇路面電車の車内
  エルジン市 フォックス川 トロリーミュージアム構内 トロリーバス
  静かな時間だった。ミュージアムの敷地内でのみ走るトロリーバスに体験乗車をし、展示を見ていた
  エンチャントは時折乗車する女性に『相変わらず』な態度を見せながら楽しんでいた。
  ふと気づくと隣に男が座っていた。イギリス系で特に変なところはなかったとこの時は感じていた
ベリル・ノエル「はぁ··· ··· ···」
ベリル・ノエル「··· ··· ···はぁ···虚しい···」
  ため息とエンジン音が混じる空間にエンチャントは『異変』を感じ、立ち上がった。すると向こうから『見覚えのある』人物が現れた
イヴァン司教「ごきげんようエンチャント魔導法士。お久しぶりですね?」
エンチャント魔導法士「何の用だ?観光目的なら今すぐこの空間魔術を解きなさい。他の方々に迷惑だ」
イヴァン司教「いえいえ、今日はご紹介したい人がおりまして···」
  そしてエンチャントを呼ぶ声に振り向くと、エンチャントは驚きとともに瞳孔を揺らし
  親指と人差し指をくっつけ輪っかを作り、イヴァンに向けると指の輪っかは『鎖』へ変化し
  鎖をイヴァンの『心臓』に繋ぎ力いっぱい引っ張った。
エンチャント魔導法士「お前···なぜ『娘』がここにいるかはこの際いい。なぜお前の『味方』のような状態になってる?」
エンチャント魔導法士「『支配魔術』で従わせてるなんて言ってみろ?お前の心臓引きずり出してやるからな、イヴァン!」
  鎖を掴み両膝をつきながらイヴァンはただ『笑んだ』。煽りではない、まるで『こうなって当然』と言わんばかりの笑み
  するとアンナが話した
アークエンジェル魔導天士「エンチャント魔導法士。私が自分で『イヴァンの下につきたい』って志願したの」
アークエンジェル魔導天士「イヴァンは何も悪くないわ。それに··· ··· ···」
アークエンジェル魔導天士「家族だった私を捨てて『権力』を求めたのは貴方でしょ?捨てられた私を拾ってくれたイヴァンに私感謝してるの」
エンチャント魔導法士「違う··· ··· ···ワシは···お前を捨てたなんて···時が来たら戻るつもりで···」
アークエンジェル魔導天士「何が時が来たらよ!大事な一人娘放ったらかして、ここに居るのは誰なの!?アンタに文句言う資格なんて無いんだよっ!!」
  言葉が出なかった。返す言葉が見つからなかった。力無く消失した鎖と共にエンチャントはその場に膝をついた
イヴァン司教「まぁ···そういう事です。当然ですよね?私にならまだしも」
イヴァン司教「アンナさんにも冠位魔術を2つ使えることを『隠してた』んですもので」
イヴァン司教「6世紀から続く魔術教会の最高権威『魔術法王』のみが使用を許された『冠位魔術』」
イヴァン司教「貴方は造形魔術の冠位を自力で到達して、魔術法王から星の巨人アトラスを『冠位指定』された」
イヴァン司教「しかし···まさか炎冠位魔術『セラフィムの愛』も覚えているなんて···許せません。皆冠位に憧れ腕を磨くのに」
イヴァン司教「貴方は···その冠位魔術の1つを何の苦労も無く習得していたなんて···」
アークエンジェル魔導天士「『裏切り者』。高見から私たちを笑ってたんでしょ?だから冠位十階第五位なんて半端な地位に居続けたんだ」
  何も反論できなかった。ただそこに居る他なかった。血の気が引き顔が青ざめ始める頃エンチャントは囁かれた
ベリル・ノエル「『恋はいつだって空虚的だ』。実感してくれた?エンチャント魔導法士」
ベリル・ノエル「2人とも貴方を信じていた。でも裏切られたんだ···『カトリック系への虐殺』で既に疑心を抱いていた」
ベリル・ノエル「そこに来て炎冠位魔術『セラフィムの愛』が使えるという事実。こうなって当然だ···貴方は」
ベリル・ノエル「『過去を捨てた』。そんな人に過去の存在に関わる事は許されない、だから警告するよ」
ベリル・ノエル「『WoOSの邪魔をしないことだね』それじゃ···」
  3人は異常に伸びたバスの向こう側に歩を進めた。そしてバスの異常性が無くなった時、3人の姿は消えていた
  感情が混ざる。行き場のないそれはエンチャントの奥から外へ外へと体の中から叩く
  言葉では表せないそれをエンチャントは抱えながら、トロリーバスを降りた。ぐちゃぐちゃな思考と感情に陥りながら
  エンチャントは確かな事実を受け止め、そして自身の知る情報を整理し始めた
  To Be Continued··· ··· ···

成分キーワード

ページTOPへ