Xヒーロー

語り部

第111話 暖かい夢と冷たい現(脚本)

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〇カウンター席
  2005年 神奈川県 伊吹町 喫茶フェイル 店内
雪月頼「はぁ···あのね···来るのはいいけど一瞬で満席にしないでくれない?」
キャプテン・ヘンリー・ワイズマン「細けェこと言うなよプレジデンテ!皆一緒の方が賑やかでいいじゃねェか!」
雪月頼「他のお客さん入れないって言ってるのよ!どうせ酒飲み目的ならギルド行って頂戴!」
斎王勇次郎「まぁいいだろ頼、ギルドの方もいいがたまにはこっちで飲みたいんだよ。『皆が出会ったきっかけの場所』だし」
雪月頼「あんた達のせいで買わなくてもいい酒買ってるんだけど!?ねぇ、ギルドの出費じゃなくてアンタらに請求してもいいかしら?」
斎王勇次郎「おいおいそういう事言うと··· ··· ···」
レオーネ・パンチョ「あ··· ··· ···すいません···す、直ぐにはその···用意は···も、持ち合わせはその···これしか···」
雪月頼「あぁぁ···もう!レオーネは酒飲んでないからノーカン!他の全員に言ったの私は!」
雪月頼「あぁもうー···未羽と未玖もなんとか言ってよ!」
天上院未羽「えー?でもこれがXヒーローって感じで私好きだなー?お姉ちゃんどう思う?」
天上院未玖「私も未羽と同意見かな。あ、頼。近い未来この店半壊する未来が見えたから備えといた方がいいよ」
雪月頼「半壊って事はワイズマンの空中海賊船の錨でしょ!?またこの店壊す気なの!?」
  あぁ··· ··· ···懐かしいな···皆でフェイルに集まって騒いでたな···
  皆··· ··· ···皆まだ居る···頼と勇次郎は殺し合いしてないし、未玖もワイズマンも未羽もレオーネも居る···
  あぁ···クソっ···どこで間違ったんだよ『俺達』。皆でずっとこうやって騒いでる日が続くと思ったのに···
斎王幽羅「入るねー···って、すごい騒ぎ···なんで皆ギルドの方いないの?」
雪月頼「知らないわよ!それより···買い出しどう?できた?」
雪月雪羅「バッチリよ!ねー?幽羅。卵とベーコンとソーセージとガソリンと釘とモップとチェンソーでしょ?」
雪月頼「ガソリンから先は頼んでないッ!もう、幽羅がついてながらなんでこうなるの!?」
斎王幽羅「ほら言ったじゃん···俺警告したからね?母さん」
  もし···グレーデイが起きなかったら···『こうなってた』かもしれなかったのに
  あぁ··· ··· ···俺達は幸せになっちゃいけないのか?俺達は···『普通に暮らしちゃダメ』なのか?
  あぁ···『覚める』···嫌だ、俺はここに居たい。頼む···覚めないでくれ、俺の『日常』を取り上げないでくれ

〇施設内の道
  2021年 アメリカ カリフォルニア州 デービス市 ナショナル・プロマート・センター
  静かに瞼を上げる。今の現実を受け入れたくない子供のようにそれはそれは『ゆっくりと』
  警備員が喚いていた。騒がしく、けたたましく、喧しく、まるで目覚まし時計のように
  ゆっくりその場から腰をあげる冷羅に警備員達は無力な発砲をするも
  弾丸は冷羅に届く前に凍結する。半ば発狂の様な形で続く発砲を前に片方の警備員は瞬間凍結される
  そしてもう1人を見つめ、近づくと冷羅は口を開く
鬼月冷羅「ひとつ聞きたい。俺達能力者がお前達に『何をした?』」
鬼月冷羅「親がいて子がいて友がいて愛する人がいる。俺達は変わらないはずだ」
警備員「だ···黙れ異常者め!能力者の犯罪で大勢が死んだ···グレーデイが良い例だ!」
警備員「お前も···お前もイリノイ州を支配していずれ第2のグレーデイを起こす気なんだろ!」
  ため息をつきながら冷羅は続ける
鬼月冷羅「能力者を抑えられないから殺せと?犯罪者が多いから殺せと?」
鬼月冷羅「『低脳が』···お前ら非能力者も同じだろ。そうやって犯罪を防ぐために法を作り、抑える道具を作り、抑えるやり方を作った」
鬼月冷羅「『発想の違いだ』、能力者だって無敵じゃない。お前達は喧嘩王の無源拳を研究し『無源弾』を作った」
鬼月冷羅「異種異能集会禁止法でギルド制の撤廃を進めた。特例変法で能力者の厳しい取り締まりを進めた」
鬼月冷羅「能力者非能力者どちらも同じ『人間』だ。既存の法で裁くことが出来る。なのに···なぜ過剰に怯える?」
鬼月冷羅「答えてやろう。お前たちは『未知』に怯えながらその未知を『見下している』からだ」
鬼月冷羅「叩いても心が痛まない社会的悪を作り、自分達のストレスのはけ口に俺達を選んでいるだけだ」
鬼月冷羅「異種族異能者は迫害の歴史があるからこそ、それに抵抗しない。それを良しとしお前達は更なる加虐に走る」
鬼月冷羅「お前達のくだらない加虐性に権力者は便乗し、結果が『これ』だ」
鬼月冷羅「お前達はピサロやコルテスと何ら変わらん、ただの『虐殺思想の文明人』だ」
  凍てつく空間が命を蝕む。生きとして生きる全ての生物が停止を余儀なくされるこの空間において
  ゆっくりと、だが確実に、末端から警備員は『凍らされ砕かれた』
  感覚が消える。痛いとか辛いとかではなくただただ『自分が消え始める』この異常を体感していた
  そして冷羅は独り言を話す。しかしその声は確かに冷羅であるのがまるで『中身が違う』様子であった
鬼月冷羅「人よ死になさい···ただ死になさい···人は減らさねばなりません」
警備員「おま···え··· ··· ···やっぱ···り···」
鬼月冷羅「憎いのではない。恨んでいるのではない。私は平等に私の『体の上もしくは中』にいる貴方達を愛している」
鬼月冷羅「でも増えすぎました。人間だけが増え、他の子供達は減る一方···悲しい事です」
鬼月冷羅「こうならないように子供達を産み、教育をし、支配種として働いてもらいたかったのに」
鬼月冷羅「ゼウス、なぜ神界へ戻ったのです?ラー、なぜ人を滅ぼそうとしたのです?アマテラス、なぜ人を導きかないのです?」
鬼月冷羅「私は言ったはずです···『大陸の支配種となり生物の均衡を保ちなさい』と」
鬼月冷羅「あぁ···でも良い事もある。私の声を聞いて『ナトルガ』を使おうとしているのは感心です。もう少しだけ様子を見ましょう」
  ハッ···と我に返る冷羅の前には『人型の氷』だけが残っていた。
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第112話 セントルイス

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