エピソード2(脚本)
〇本棚のある部屋
・・・急がないと。
探すならこの時間しかない。
・・・このパソコンに、たぶんチャット記録が残っている。
ゆうべは必死だった。かなこの怒りをなだめるのに。
LINEのパスワードはこれのはずだ。
かなこの手元を長いこと観察した。間違いない。
・・・チャットログが現れた。パスワードはあっていた。
・・・yuki あいつの友達
かいじ 確か同僚
tuki 高校時代の知り合い
・・・・・・
最近のやりとりは、この3人のみ。
・・・ない。
怪しいLINEのやりとりは、ない。
かなこは夜遅く帰って来て、帰ってからも仕事ばかりしている。
かなこに嫉妬している。
アイツの、何に?
奏は、そんな自分が認められないでいた。
・・・朝7時。
いつもならもうかなこは出かけている時間だ。
さっきまで降っていた雨は止んでいた。
アイツは、どうにかしてあの部屋から抜け出して、もう仕事に行っているかもしれない。
・・・あっ。
もうひとつ、やりとりがあった。
奏の母とのやりとりだった。
奏夫婦は母とLINEグループを作っていて、そこでのやり取りだった。
・・・当日の昼の急な連絡。「今晩、食事でもどう?」
・・・奏は基本的に、この手の誘いは断らない。
妻も必ず連れて行くことにしている。
昨日は、かなこは終始不満げだった。
繁忙期で、仕事が全く終わらない。家に持って帰っていると言っていた。
ゆうべ7時頃。
帰ってからずっと、スマホがないないと探し回っていた。
そんな矢先に母との食事会に行くことになった。
仕事上の重要なデータがそこにも入っている、あれがないと進まない。
かなこは喚いていた。
・・・当然だ。奏は、かなこのスマホを隠した。
15分後、かなこは、奏のかばんの中から自分のスマホを見つけた。
かなこ「どうしてあなたが持っ・・・うっ!」
・・・響き渡るビンタの音。
「・・・さあ、早く行くぞ」
かなこ「・・・どうして? もういい加減にしてくれない!?」
かなこ「お義母さんの言うことなら何でも聞くの? あなた、お義母さんの恋人なの?!」
〇車内
・・・勝手に喚かせておけ。
奏は、かなこを無理矢理車へ連れ込んだ。
〇本棚のある部屋
・・・妻の仕事は家を守ることだ。
奏は、tukiという男の知り合いとのチャットログを見つめていた。
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