6 親父の幼馴染(脚本)
〇通学路
田中太郎「すまないな光太郎・・・態々買い物に付き合って貰ってさ・・・」
田中光太郎「良いよ親父、偶には親父とも出掛けたいと思ってたからさ・・・」
遊園地に行ってから暫く。光太郎は実の父と一緒に買い出しをしていた。
田中太郎「さ!早く戻って仕事再開しないとな!」
田中光太郎「あぁ!親父も頑張ってくれよ!」
汀楓「あ、あれ!?あなた、太郎じゃない!?」
田中太郎「ん?あなたは?」
田中光太郎「親父、この人知り合い?」
汀楓「え?忘れちゃったの!?あたしよ!汀楓よ!!」
田中太郎「汀楓・・・って!」
田中太郎「えぇ!?楓!?お前この辺帰って来てたのかよ!?」
汀楓「やっぱり!学生じゃ無くなってから音沙汰無いから心配してたんだよ!」
田中太郎「お、おう・・・それはすまなかったな・・・」
田中光太郎「お、親父?この人は一体・・・」
田中太郎「あぁ、そう言えば光太郎に話した事無かったな・・・こいつは俺の幼馴染の汀楓だ・・・」
汀楓「初めまして、汀楓って言います・・・太郎とは子供の頃良く遊んでた仲なのよ・・・」
田中光太郎「あ、そうなんですね・・・俺は息子の光太郎です・・・ロボットですけどね・・・」
汀楓「あぁ、噂は本当だったのね・・・太郎がロボットの息子を作ったって・・・」
田中太郎「え?噂になってたのか?」
汀楓「そりゃそうよ・・・この辺人間の姿して無い人が生活してるの珍しく無いでしょ?」
汀楓「武装した銀行員だっているし・・・」
田中太郎「確かにそうだな・・・」
汀楓「ねぇ太郎!折角会ったんだからさ、どこかで一緒に飲みに行かない?色々と話したい事とかあるからさ!」
田中太郎「賛成!って言いたい所だけど、今光太郎と一緒だから・・・」
田中光太郎「あ、親父、俺の事は気にせず行って来てくれよ・・・」
田中太郎「え?良いのか?」
田中光太郎「昔のダチと折角会えたんだからさ、楽しんで来なよ・・・荷物は全部俺が持ってくからさ!」
田中太郎「・・・そっか、ならお言葉に甘えて行って来るよ・・・荷物は任せた・・・」
田中光太郎「んじゃあ汀さん、親父の事頼みます!」
汀楓「えぇ!でもごめんね、お父さん借りちゃって・・・今度は3人で話しましょう!」
田中光太郎「大丈夫です!んじゃあな親父!」
汀楓「さて、あたし達も行きますか・・・」
田中太郎「・・・だな!」
〇シックなバー
汀楓「ごめんください!」
マスター「いらっしゃいませ!本日は何名様で・・・って、」
マスター「お客様、申し訳ございません・・・当店は、20未満の方はご遠慮しておりまして・・・」
田中太郎「あ、大丈夫です・・・これ見て下さい・・・」
マスター「・・・・・・」
マスター「え!?30代の方なのですか!?」
田中太郎「あ、はい・・・これは事故の後遺症と言うか・・・」
マスター「た、大変失礼致しました!どうぞこちらへ!」
身分証明を見せて2人は席へと案内され、注文を済ませて一息付いた。
汀楓「あっはは!やっぱその格好で大人ですなんて言われたら驚くわよね!」
田中太郎「勝手に言ってろ・・・これのせいで本当苦労してたんだからさ・・・」
汀楓「・・・それもこれもあたしのせいよね・・・あたしが夢中になって道路に飛び出したりしなければ・・・」
田中太郎「おい、その話は聞き飽きたぞ・・・今更俺らにどうにか出来る問題じゃねぇし・・・」
汀楓「そうは言うけどさ・・・あたしのせいでこうなったって思うと本当・・・」
田中太郎「止めろって・・・俺はこれのお陰で光太郎って息子が出来たし、投資家としても確りやれてる・・・」
田中太郎「俺は今、これで良かったと思ってるからさ・・・」
汀楓「・・・そっか、そんな風に思ってるのね・・・」
田中太郎「そう言うお前はどうなんだ?結婚したりしたのか?」
汀楓「あ、そうね・・・今ではもう共働きで毎日充実してるわ!将来どうするかはまだハッキリしないけど・・・」
田中太郎「・・・それを聞いて安心したよ・・・もう俺の事忘れたのかと思ってたけど・・・」
汀楓「誰がそんな薄情な事するの?忘れる訳無いでしょ?」
田中太郎「あはは!愚問だったな!」
田中太郎「所で、楓は今どんな仕事してるの?」
汀楓「あたし?あたしは今夏目工房に勤務してるの・・・後1週間したら最新型のアンドロイドが完成しそうでね・・・」
田中太郎「え!?お前エンジニアになったのか!?」
汀楓「そうなのよ!旦那の趣味が物作りでね!見ていく内にあたしがドハマリしちゃってね!」
汀楓「気付いた頃には旦那以上の役職で夏目工房に勤務する事になったのよ!」
田中太郎「お、恐ろしいな・・・」
マスター「お客様、お待たせ致しました・・・ご注文のお品物です・・・」
汀楓「ありがとうございます!」
マスター「では、ごゆっくり・・・」
田中太郎「さて、久々に飲むか!」
汀楓「そうね!久々の再会を祝して乾杯!」
それから2人は飲みながらお互いの事を話し合った。
田中太郎「なぁ!夏目工房の新作ってどんな感じなんだ?」
汀楓「新作?そうね・・・今回のコンセプトは人間のメンタルヘルスカウンセリングを行う為に」
汀楓「人間の思考や行動を読み込む事を目的としているのよ・・・」
田中太郎「おぉ!それはまた大きく出たな!」
汀楓「それでね、人間の思考や行動を読ませる為にね・・・」
田中太郎「・・・え!?」