漆黒のデュランダル伝説 ~ただの中二病の俺が勇者に祭りあげられてしまった件~

ウロジ太郎

第2章第2節 『俺はただ幼女の笑顔を護りたい』(脚本)

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〇黒
  沈黙の掟──
  それは社会の混乱を避けるため、終わりなき聖戦を秘匿するという掟である。
  このため運命の戦士たちは人払いの結界を駆使し、破壊された構造物を修復し・・・時に、人の記憶を消去するのだ。
  ──『デュランダル 漆黒の書』 第5章 第5節──

〇生徒会室
帝院令「ではその少女の記憶を消去するまで、監視はデュランダル様にお任せいたします」
帝院令「僕がしても良いのですが・・・」
  令がじろりと夢來を睨みつける。
龍場夢來「いやっ! この人こわい!  デュランダル様がいいっ!」
只野男志(ですよねー)
只野男志「よかろう。監視は任せよ」
帝院令「お願いします。・・・いいか。場龍夢來」
帝院令「デュランダル様のお手を煩わせるなよ。 余計なことをしたら、容赦はしない」
龍場夢來「・・・はぁい・・・」
帝院令「デュランダル様。 学園の許可は、僕のほうから取っておきます」
只野男志(・・・? 学園の許可?)

〇教室
  只野の席に横並びで夢來が座っている。
只野男志(こういうことかァ~~ッ!!)
女子生徒「なんで小学生が高等部に・・・」
男子生徒「ロリコン? 中二病のうえにロリコンなのか?」
龍場夢來「・・・ろりこん?」
只野男志「ロンリーコンプレックス!」
只野男志「一匹狼という意味だ。我のような、な」
龍場夢來「デュランダル様、かっこいい!」
女子生徒「デュランダル様とか呼ばせてる! きもっ!」
只野男志(罰ゲームすぎる!)
只野男志(くっそー! レーヴァテイン ・・・いや、令?)
只野男志(どっちでもいいや! あいつのせいで!)

〇教室
帝院令「・・・」
  令は相変わらず鋭い眼光で夢來を睨んでいる。

〇教室
只野男志(めっちゃ夢來ちゃん見てる ・・・! あいつ絶対、隙あらば殺る気だ!)
龍場夢來「デュランダル様、これなぁに? デュランダル ・・・くろのしょ?」
  夢來が焦げた漆黒の書を取り出す。
只野男志(ちょ、おま・・・っ!)
龍場夢來「見ていい? 見ちゃお!」
只野男志「ま、まて!」

〇教室
  ガタッ
  令が立ちあがる。
  その眼光には明確な殺意が宿っている。
帝院令「・・・・・・」

〇教室
只野男志(やっべぇ!)
只野男志「そ、それは、禁じられた知識の書。 表の世界の住人が見て良いものでは・・・」
龍場夢來「あっ。けんぞくさんがのってる!」
只野男志(ねぇ、話聞いて!? お願い!)
  令の掌の上に、小さな炎が浮かんでいる。
龍場夢來「けんぞくさん、かわいそうだったな」
只野男志(いや、君もかわいそうなことになっちゃうからね!? やばいからね!?)
只野男志「それを、今すぐしまうのだ」
龍場夢來「いやぁ~~~っ!」
只野男志(なんでっ!?)
  夢來が漆黒の書を開くと、只野の下手な絵でデュランダルと4人の騎士が描かれたページが開かれる。
  夢來の視線が、それに釘付けになった。
龍場夢來「デュランダルの、よん ・・・し? ふしぎ。 どこかで見たこと、あるような ・・・」
  夢來が頭を押さえる。
龍場夢來「うっ、なに!? 急に頭が・・・!」
只野男志「しまえと言っている!」
龍場夢來「あっ」
  夢來の手から強引に漆黒の書を奪いとり、鞄にしまう。
  令を確認すると、掌の上の炎は消えている。
只野男志(セーフ! 炎、消えてる。たぶん、セーフ!)
龍場夢來「ねぇ、デュランダル様」
只野男志「今度はなんだ」
  夢來が無垢な笑顔を浮かべた。
龍場夢來「さっきの本、よくわかんなかったけど・・・すごく、かっこよかった気がする」
只野男志「! ・・・そうか」
只野男志(・・・トゥンク! 護りたい! この笑顔!)

〇通学路
グラトニー「はらすかせてるやつは、いねーかー。 オラと合体して ・・・ん?」
  針金のように痩せた女性が、ふらふらと歩いてくる。
ダイエッター「あと3。いやあと4キロ ・・・。 甘い物は、甘え・・・甘えは捨てろ・・・」
グラトニー「おまえ、はらへってるな。 はらいっぱいくいたい、おもってるな」
グラトニー「その欲望、オラが利用させてもらうぞ」
ダイエッター「ひっ! デブ! 醜い!」
グラトニー「おまえ、ひどいな」
ダイエッター「今日の幻覚はよくしゃべるわ。 食い気一秒デブ一生! 食欲よ去れ!」
  ギュウゥウ~~!
  ダイエッターの腹が大きく鳴った。
グラトニー「おまえ、喰わないと死ぬぞ。 オラと合体して、いっぱい喰え。そうしろ」
ダイエッター「腹の虫は脂肪の悲鳴! 脂肪よ死ね! 死ね! 脂肪! 死亡しろ!」
  ダイエッターはふらふらと去っていく。
グラトニー「ちゃんとめし喰えよ~~。・・・うーん。 あんなにはら、すかしてたのにな」
グラトニー「・・・お。あいつもいいかんじだぞ」
  サラリーマンが歩いてくる。
サラリーマン「腹が・・・ペコペコのペコだ」
グラトニー「オラもだ」
  サラリーマンはグラトニーに気付かない。
サラリーマン(何を食う。身体は何を求めている? 肉か? ビーフか? チキンか?)
グラトニー「おまえの食欲と、オラの暴食。 合体すれば最強だぞ。なんでも喰えるぞ」
サラリーマン(む。全部肉だ。ただ肉が食いたいだけか)
サラリーマン(英語で言うとジャストミート(ただの肉)。そうか、そういうことか)
グラトニー「おーい」

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