AIのアイコ

ぽんたろう

第10話『アルバム』(脚本)

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〇総合病院
花村大河「通い始めて、もう3ヶ月か」
花村大河「面会できない日も増えてきたな」

〇病室
雪島アイナ「ねえ、散歩いかない?」
花村大河「秋だけどまだ少し暑いよ?」
雪島アイナ「ちょっとぐらいなら平気だよ」
雪島アイナ「それにまだ午前中だし」
花村大河「それならいいけど」

〇中庭
花村大河「大丈夫?」
雪島アイナ「うん」
雪島アイナ「やっぱり、外は気持ちいいなぁ」
花村大河「秋だしね」
雪島アイナ「元気だったら、旅行とか行けたんだろうなぁ」
花村大河「うん」
雪島アイナ「そうだ、花火も見逃しちゃった」
雪島アイナ「あと登山とか海水浴とか行きたかったなぁ」
雪島アイナ「多分、もう行けないんだろうけど」
花村大河「行けるかもしれないだろ?」
雪島アイナ「分かってるの」
雪島アイナ「もう無理だって」
雪島アイナ「大河くんも薄々気づいてるでしょ?」
花村大河「・・・・・・」
雪島アイナ「私が長くないって」
花村大河「お願いだから、そんなこと言わないでよ」
雪島アイナ「本当のことだから」
雪島アイナ「いつ死ぬか分からない」
雪島アイナ「だから、旅行にも行けない おうちにも帰れない」
雪島アイナ「弱音ぐらい吐かせてよ」
花村大河「うん」
花村大河「そうだよね、ごめん」
雪島アイナ「ご、ごめんね」
雪島アイナ「嫌な気持ちにさせたよね」
花村大河「あ、いや」
花村大河「あ、そうだ」
花村大河「何かお願いがあったら聞くよ」
雪島アイナ「お願い?」
雪島アイナ「なんでも?」
花村大河「俺に出来ることなら」
雪島アイナ「だったら、2つお願い聞いてもらっていいかな」
花村大河「何かな」
雪島アイナ「一つ目は大河くんの中学生時代の 卒業アルバムが見たいな」
花村大河「そんなことでいいの?」
雪島アイナ「うん」
雪島アイナ「気になる男の子のアルバムとか見たいじゃん」
花村大河「なんか言った?」
雪島アイナ「何でもない! こっちの話!」
雪島アイナ「そんなことより!」
雪島アイナ「もう一つのお願いいいかな?」
花村大河「いいよ」
雪島アイナ「これは大河くんにだけ話す秘密なんだけどね」

〇病室
雪島千砂「今日も、大河君に会えて楽しかった?」
雪島アイナ「うん」
雪島千砂「なら、よかったわ」
雪島千砂「話が変わるんだけど」
雪島千砂「加奈子先生からお話があってね」
雪島アイナ「うん」
雪島千砂「病状が芳しくないって」
雪島アイナ「自分のことだから1番分かってるよ」
雪島アイナ「そっか、やっぱり悪化してるのか」

〇総合病院

〇病室
花村大河「頼まれたから持ってきたけど」
花村大河「俺の中学生時代のアルバムなんて 見てて楽しい?」
雪島アイナ「楽しいよ」
雪島アイナ「だって、自分のいないアルバム見てるより 知ってる人のアルバム見てる方が楽しいでしょ?」
花村大河「うん」
雪島アイナ「私、一度も登校できなかったから 中学生時代のアルバムなんて ほとんど知らない子ばかりだったし」
雪島アイナ「それに、今通ってる高校まで通信制だし 一回も登校することもなく終わりそう」
花村大河「・・・・・・」
雪島アイナ「へえ、大河くんって、柔道部だったんだ」
雪島アイナ「意外」
雪島アイナ「強かったの?」
花村大河「一応初段だし県大会ぐらいには出てたよ」
雪島アイナ「すごいね」
花村大河「いや、別に大したことじゃないよ」
雪島アイナ「いいなぁ、私も卒業アルバムに ちゃんと載ってみたかったなぁ」
雪島アイナ「あとできれば卒業式にも出たかったよ」
花村大河「出れるよ」

〇病室
雪島アイナ「いつ死んでもおかしくないのかな」
雪島千砂「・・・・・・」

〇病室
雪島アイナ「なんで、そんなこと言えるの?」
花村大河「えっ?」
雪島アイナ「私、いつ死ぬのか分からないって 知ってるよね?」
雪島アイナ「なんで、そんな人間にそんなことが 言えるのかな?」
雪島アイナ(何、言ってるんだろ、私)
花村大河「ごめん、俺そんなつもりで言ったんじゃ」
雪島アイナ「いいよね、自分なんか 卒業式に出ることが出来てさ」
雪島アイナ「出れない人間の気持ち考えたことある?」
花村大河「ごめん」
雪島アイナ(ダメ、これ以上言ったら)
雪島アイナ「私だって好きでここにいるんじゃない」
雪島アイナ「普通に学校通って 普通に卒業したいだけなのに」
雪島アイナ「何で、こんな目に遭わないといけないの」
雪島アイナ「君に、私の気持ちわかる?」
花村大河「・・・・・・」
雪島アイナ「コホっ ゴホッ」
花村大河「アイナちゃん!」
雪島アイナ「こ、これ、、ぐらい、だいじょうぶ」
雪島アイナ「お、おねがいだから出てって」
花村大河「うん」
「本当にごめんね」
雪島アイナ「・・・・・・」
雪島アイナ「最低なことしちゃった」

〇総合病院
  それからアイナちゃんとは
  連絡も、面会も・・・・・・途絶えたままになった
  あの日、彼女の言葉が胸に突き刺さったまま、何も返せないまま──

次のエピソード:第11話『突然』

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