……(脚本)
〇アパートの台所
納二科寧音(なにかねね)「こんな献立、やめようよ」
寧音母「あら。良かったじゃない。考えずにすんで」
納二科寧音(なにかねね)「キモい。呪われてるみたい」
寧音母「呪い? なんてことを言うの?」
納二科寧音(なにかねね)「だって・・・・・・ いつも、何も言わない癖に、コソコソと 見張ってるみたいなのばっかり」
納二科寧音(なにかねね)「嫌なものが、身体に入ってくるみたいで 全然美味しくないよ」
寧音母「・・・・・・。何故? 貴方は、助けが必要じゃないの?」
寧音母「忙しくて、何も作る気しないでしょう?」
寧音母「せっかくテレビで見た、良さそうなレシピも逐一壁や冷蔵庫に貼ってあげてるのに」
納二科寧音(なにかねね)「食べたくないことがあるの」
納二科寧音(なにかねね)「それだけ動くのが辛い、料理すら手が震えるって、 その事を知って欲しかっただけ。 貴方にまで戦えとか言ってない」
納二科寧音(なにかねね)「あんな気持ち悪いものばかり作らせるのが、怖いって」
寧音母「ふーん」
寧音母「貴方のためではないわ」
納二科寧音(なにかねね)「え?」
寧音母「私まで巻き込まれるかもしれないじゃない」
納二科寧音(なにかねね)「え・・・・・・」
寧音母「そうだ! 指示を見ている、シジミ、ということで夕飯はシジミの味噌汁にしましょう!」
寧音母「それに、ほうれん草と・・・・・・オクラもあるし。あ、残った厚揚げを焼きましょう。最高だわ」
納二科寧音(なにかねね)「そういう事じゃ無いってば!」
〇街中の道路
納二科寧音(なにかねね)「家なのに、どうも馴染めないな・・・」
母はどうしてあぁなったのだろう。
私はまだ学生で、構成員じゃないのに。
だから今のところ、暴力団よりも
目先の進路や学費の方が気にしている。
これまでの経験上、
『彼ら』は母と同じ。
人前に目立つこと・・・・・・あたしの社会進出そのものを邪魔に考えている可能性は多いに高い。
西峰のように『先生』を立ててまで、
卒業後にあたしが目立てそうな進路は全て潰そうとしているかもしれない。
何があったら、真っ先に工作に乗り出すだろう。
納二科寧音(なにかねね)(村田さんのように・・・ 待ち伏せされたりずるのかな)
だからこそ、日常が何よりも重要な意味を持つのに。
田中の変わりようや馬田の失踪もまだ不気味に影を残している。
正直、卒業も危うい。進路だって・・・・・・
納二科寧音(なにかねね)「夕飯を指定してくるよりも、先に学費と進路だっつーの」
ショウ「また、ふられた・・・・・・」
納二科寧音(なにかねね)「ショウさんだ・・・・・・」
納二科寧音(なにかねね)(またダメ女に引っかかってるのかな)
ショウ「あ! 今、またダメ女に引っかかってるのかなって顔をしたな」
納二科寧音(なにかねね)「・・・・・・アハハハ。こんにちは」
ショウ「いい子だったんだぞ」
ショウ「・・・・・・でも、やはり俺の悲しみを癒せる女は、居ないのかもしれない」
納二科寧音(なにかねね)「そうですか」
納二科寧音(なにかねね)「風俗とかどうです?」
ショウ「バカにしているのか?」
納二科寧音(なにかねね)「いやー、なんか、 文豪に居たような」
納二科寧音(なにかねね)「寂しさを埋めるために風俗に嵌って、しばらく放浪して・・・・・・飽きたらふと普通に出会いを探す方になったやつ」
納二科寧音(なにかねね)「そのくらいしないと直らないのでは・・・」
ショウ「知らん、誰それ・・・・・・」
納二科寧音(なにかねね)「・・・・・・今日休みですか?」