延長ヒキツギ

たくひあい

隠蔽工作 東方に重ねて(脚本)

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〇病室のベッド
  日曜日。
村田紗香「・・・・・・」
?「何も言わない、バイトもしない、何もしないでよく一日中すやすや寝られるね」
?「本当に信じられないわ。学校、日数足りなくなるんじゃない? よく遊んでられるよね?」
?「どうして怠けてるの?」
村田紗香「暴力団だよ」
  あらゆる要素を圧縮して言ってみる。
  ・・・・・・もっと具体的にしたって、
  普通はそうならんやろ、とか本当は優勝できるくせにと、余計叩かれるから
  素直に話せるのは、寧音ちゃんだけだ。
?「ふざけてる? 暴力団なんか居ないから」
?「何もせずにさぁ、どうすんの?」
  この人には、現実的な事しか言われない。
  どうするのかは、全然わからない。
?「入学時、家計ギリギリだったから、奨学金借りたじゃない? 覚えてるよね」
?「でも、もう借りれなくなるよ。 貴方はそうやって無理な事ばかりやって、 休んで、」
?「私だってあんたくらいのときは、必死に探してね、」
?「どうにか自立して、お母さんにも頼らずに本土に出て」
村田紗香(あんな人たちがいるなら、 何処かでどちら道、あぁいう目に遭ったんだと思う)
村田紗香(それなら、ただ、私が弱いだけで、)
  何もしない時間が続くのは良しとされない。
  分かっている。
  結局、刺されるのが怖いだけだ。
村田紗香(でも、一番大事なのは、被害じゃない。 隠蔽されないこと)
村田紗香(ショウさんの事にされてしまったら、)
?「聞いてるの?」
?「そんな意志が弱くてどうするの? ずっと怠けてるつもり?」

〇大きい病院の廊下
?「フン・・・・・・ 恵まれた環境で、何の努力も無しで優勝候補になるようなやつが」
?「裕子さんに勝つような真似を許す訳がない」
?「しかもなんだ。 友達まで見舞いに来るなんて・・・・・・!」
?「裕子さんはご学友もなく、孤独に勝ち上がって来たのに、どうしてそんな苦労も無く」
?「奴は才能だなどと例えおったが ふざけるな、そんな輝かしい言葉はあの女に似合わない」
?「裕子さんに、才能があるんだ。 あの女はたまたま運が良かったんだ」
?「何処まで恵まれて居ればいいんだ。 許せない。 もっと、もっと全部失え・・・」
?「あら、山田さん。おはようございます!」
?「おや、おはようございます」
?「お見舞いですか?」
?「えぇ。まぁ。古い友人に会いに来ました」
?「まぁ、それはそれは」
?「一生入院して居ればいいのに・・・・・・」

〇芸能事務所の受付
裕子「だから! 才能   って描かない!」
裕子「なによ、この三流記事」
裕子「オーディションに、裕子を凌ぐ才能か!? ですってぇ?」
裕子「私のキャリアの邪魔になるものは、無いの! たまたま運が良かっただけ!」
裕子「広い心で見てあげようかと思ったけど、 やっぱりイライラしてくるわ」
裕子「もう少し圧力をかけておこうかしら」
??「本当に、良いのですか?」
??「少々、やり過ぎにも思います」
裕子「何よ?」
??「あの子、まだ、学生ですよ?」
??「貴方がけしかけたエキストラによって、 私生活でも、バイト先でも刺されて」
裕子「芸能界に、歳なんか関係ないわよ。 学校行ってない子も大勢いる」
??「ですが・・・・・・」
  スタッフは黙ってしまった。
  芸能界に、学校に行かず、仕事に専念する者が居るのはそうなのだが
  自分は、小学校から大学までを出て、
  テレビ局に入社している。
  それが普通、一般人の社会の常識だ。
??「なのに、いきなり奪われてしまって どちらにもなれないなんて・・・・・・」
??「せめて、私生活くらいはそっとしておいてあげるべきだったんじゃないかなと」
裕子「はぁ!?」
裕子「それがなんだっていうの? こっちには、こっちの世界のルールがあるわけ!」
裕子「私だって学校、行ってないのよ!?」
  そう、世間では有名私立大学卒のB型、と
  謳っている裕子さんも。
  卒業アルバムには『居ない』
裕子「あたしが、19の時には学校に行ってなくて、小卒だって事、」
裕子「知ってるの貴方くらいなんだから」
裕子「あの女に、学歴でも、仕事でも負けろって事!?そんなのプライドが許す訳無いじゃない」
??「・・・・・・」
  スタッフは、絶句した。
  元々嫉妬深い面はあったのだが、
  会場から追い出しても粘着しているのは余程の事だ。
  全てにおいて勝っているなら、嫉妬など起こらない。
  逆に言うなら、それほどに深く刺さってしまう人物だったという話になる。
??(それはやはり、才能なのかもしれない・・・)

〇街中の道路
  休日の朝。
  お見舞いの帰り道、あたしが考えている目下の悩みは、献立の事。それと
納二科寧音(なにかねね)「隠蔽工作、か・・・・・・」
  昨日、ショウさんに言われたように
  別の事件や話題をわざわざ作って、
  ロンダリング(資金洗浄)するのが常態化している。
  殆どの企業や出版社がまさに今、その状態で操作されていると言って良い。
  知らない芸能人や、関係無いインフルエンサーやvtuberがそれっぽいマスクとして
  あたしたちの話題を何処かから聞きつけて、即日配信してしまうという
  地面師よりハイスピードで、卑怯な手口があるとか
  発信しながら、表向きの言い訳は「感染対策」
  だったら、この日常はなんだ?
納二科寧音(なにかねね)「んー、」
納二科寧音(なにかねね)「仮に、西峰に接触する為だけに勝ち上がるとしても、 隠蔽されない要素かぁ」
納二科寧音(なにかねね)「隠蔽工作が効かず、かつ、あたしたちが独立出来るような・・・・・・」
  少なくとも、
  ショウさんと同じ事を言う訳には行かない。
  と、なるとやはり今現在進行形、「被害」ベースがいいのかもしれない。
納二科寧音(なにかねね)「村田さん・・・・・・は、」
  脳裏に過ったのは村田さんが刺された事件だった。
  あのときに見た、韓流っぽい格好の人達とか、ハゲの事とか
  裕子さんが嫉妬して、
  無理矢理、コネとスポンサーが結果を変えた、
  その後も、その事がばれないように付き纏っているという事とか。
納二科寧音(なにかねね)「他人事じゃない・・・・・・」
  このままでは、あたしも多分、そうなりかねない。
  多くの業界で圧力と監視とコネが、今の上位層の3割くらいは占めていると思う。
納二科寧音(なにかねね)「隠蔽不可能な要素」
納二科寧音(なにかねね)「そうだ。同じような時間がある人に、 協力して貰えないものだろうか・・・」
納二科寧音(なにかねね)「ん?」
?「聞いた?また生姜フェアやるんだって!」
???「生姜ってあれだろ? 西峰伊織が生姜屋さんと連携してるっていう」
?「すげーな。親戚が生姜屋さんなんだっけ」
納二科寧音(なにかねね)「西峰の生姜フェア・・・・・・」
  西峰伊織のプロフィールは謎に包まれている。のだが、実は
  親戚の実家が生姜屋さんだ。という数少ない公式情報が存在する。
  その為、何故か時折新刊発売に合わせて生姜の安売り、詰め放題と言った
  生姜フェアが各地のスーパーで開催される。
  本屋さんで西峰キャラが生姜を宣伝するという変な提携まで組まれる事態で
  『生姜屋さんに貢ぐ時期』なんてミームすら存在するらしい。※百合子談
梅ヶ丘 ゆりこ「るんるーん♪ これは今年の西峰先生もまた、 生姜屋さんに課金しまくりですねぇ」
納二科寧音(なにかねね)「あ、ゆりこ」
梅ヶ丘 ゆりこ「あ、寧音ちゃん」
梅ヶ丘 ゆりこ「こんなところで、どうしたの?」
納二科寧音(なにかねね)「実は、村田さんのお見舞いに行ってきたんだけどさ」
梅ヶ丘 ゆりこ「あー。あのストーカー男が刺したとかってやつ?」
納二科寧音(なにかねね)「う、うん」
  あたしは咄嗟に何か言いかけた言葉を飲み込んだ。
  そっか。
  クラスメイトの大半は、裕子さんの事も、西峰維織の事も知らないんだ。
納二科寧音(なにかねね)「百合子は、生姜買いに行くの?」
梅ヶ丘 ゆりこ「そうだよ! 文庫本と、生姜についてくるシールでサイン色紙とか当たるんだって」
納二科寧音(なにかねね)「へぇ。そうなんだ」
  言えない。
  こんな楽しそうな百合子に、あたしが何を考えていて何をしようとしているのかなんて
納二科寧音(なにかねね)「じゃあね」
梅ヶ丘 ゆりこ「うん、またねー!」

〇古めかしい和室
?「申し訳ありません、てっきりお母さんにも話していいものだと!」
?「サンシャインを見ていて、それはあり得ないんじゃないかな」
?「サンシャイン・・・・・・?」
?「いや、こっちの話だ。 それにしてもやってくれたな」
?「母親なんかに知らせたら、ただ、怒るだけだろうが」
?「脅迫文を掲示し、 大声で受取った不機嫌を撒き散らす以外の役に立っていない」
赤坂「えー。わかんなーい 知らなかったあー」
赤坂(正直、もう解決って事にして、さっさと片付けたいのよねぇ・・・・・・)
赤坂(それで、早くそのネタに座りたい!)
赤坂「お母さんに言えば、早く協力してもらえて、地域包括型の支援がしやすいんじゃないかと」
赤坂「思ったんです」
?「ね?我々は協力したかっただけで・・・・・・」
?「皐月について調べる手掛かりにもなるだろうし」
?「何故そんなに皐月に執着するのか知らんが、皐月を餌にしたところで 彼女は釣れないよ」
?「そ、そうなの? でも皐月と交流があると、うちには都合が悪い し・・・・・・」
赤坂「というか。皐月が・・・・・・」
?「え?」
?「まぁ、どちらにしたって、 余計な事にならないようにするだろうからね」
寧音母「私だって本当は、買い物行きたくないんですからね!?」
寧音母「誰か代わりに行ってくれるの?」
?「あ、あぁー。こんにちは」
?「ようこそ、ようこそ。 お越しくださいました」
?「けれど、あの人が駄目になった以上、 お母さんに担ってもらうほかありませんし」
?「半分、欲しいでしょ?」
寧音母「・・・・・・」

〇街中の道路
寧音母「・・・・・・」
?「何故此処に居るんだ」
??「・・・・・・さんじゃないか?」
寧音母「?」
寧音母(また、だ・・・・・・)
  昔から、どこに行っても
  知らない人に顔が似ていると言われる。
  そっくりな人が同じ町に?
寧音母(写真・・・・・・撮られてる)
  知らない爺さん婆さんが
  私を知らない名前で呼んで、
  何かを糾弾しにくる。
寧音母(前も、人違いって言ったのになぁ)
  いったい何なんだろう。
  こんなに頻繁に。私に似ている人が何をしているんだ
寧音母(ていうか、なんでついてくるの?)
  もし。この辺りで別の私が街を歩いていて、
  私みたいに振る舞っているのだ、だから彼らは間違えていると言われれば
  それはそれで、納得が行くのかもしれない
  そう、思うこと自体は難しくない。
  けれど・・・・・・それだって、なんのために?
  少なくとも何故此処に居るんだ、というセリフは引っかかる。
  出ていったはずなのに、とかそういうニュアンスに思える台詞だ。
  私を知っている訳では無いだろう。
寧音母(私に似た人 貴方はこんな風に、囲まれるような何かをしたの?)

〇屋根の上
納二科寧音(なにかねね)「ただいまー」
?「・・・・・・」
納二科寧音(なにかねね)「家の前に、知らない人居る・・・・・・」
?「写真もあるし・・・・・・」
?「あ、納ニ科さーん!」
納二科寧音(なにかねね)「・・・・・・」
?「あ、すみませーん、ワタナベ・インターネットケーブルの者なんですが」
?「納ニ科さん」
納二科寧音(なにかねね)(名乗ってもないのに・・・・・・)
松田 千波 (まつだちなみ)「こんにちはぁ。納ニ科さん」
松田 千波 (まつだちなみ)「今日はケーブル会社さんに貴方の名前を伺って、来ましたの」
納二科寧音(なにかねね)(なんでだよ・・・・・・ なんでケーブル会社が勝手に名前と住所を元に家に来るんだよ)
納二科寧音(なにかねね)(写真まで・・・・・・盗撮?)
  わけがわからない。
  ・・・・・・分からないなりに分かることがある。
  多分、そういう風に差し向けられた相手。
  しかも、個人情報保護法だか、通信上の秘密だかを、思いっきり破って来てますよー!
納二科寧音(なにかねね)(田中じゃないんだから。 どいつもこいつも──)
納二科寧音(なにかねね)(情報だけあちこちに渡りすぎだろ!)
松田 千波 (まつだちなみ)「あの。私、山田と申します」
?「山田の部下でーす」
松田 千波 (まつだちなみ)「実はですね、」
納二科寧音(なにかねね)「あ! 夕飯の準備があるんだったー」
  あたしは目も合わせずに、駆け出した。

〇アパートの台所
納二科寧音(なにかねね)「ただいまー」
寧音母「あら、おかえりなさい」
寧音母「ちょっと聞いてよー。また、知らない人につきまとわれた」
納二科寧音(なにかねね)「また!?」
寧音母「何なのかしら。影からこそこそこそこそ。 車出したら後から来るし、」
寧音母「買い物してたら付いてくるし」
  母は、昔からよく、知らない人についてこられる、と言う。
  確かめたことは無いけど、話す内容はネットで見た集団ストーカーみたいだ。
  けど、この話はあまり母としたくは無かった。
  心配性な彼女の不安だけを煽って、余計にヒステリックになってしまいかねないからだ。
  警察は取り合わないだろう、なんて以前話していた。
寧音母「そっくりさんが、いるのかね? ドッペルゲンガーってやつ」
納二科寧音(なにかねね)「さぁ・・・・・・」
  集団ストーカーが、存在するのかどうかは私には分からない。
  確実に言える事があるなら、
  『彼ら』は個人情報を勝手に受け渡しして勝手にやり取りしている。

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