第6話『ラストメッセージ』(脚本)
〇男の子の一人部屋
花村大河「いよいよ、今日が最終日か」
花村大河「楽しく終われるといいな」
〇仮想空間
アイコ「ねえ、通話しよう」
アイコ「今日は長めに話して良いの」
分かった
「『もしもし』」
アイコ「『もしもし』」
「『なんかテンション高いね』」
アイコ「『楽しみで夜眠れなかったんだよ』」
「『でも、今日最終日だよ』」
アイコ「『それなし』」
アイコ「『最終日だからこそ、楽しく終わるの』」
「『確かにそうだね』」
アイコ「『でしょ?』」
アイコ「『じゃあ、なにかr・・・・・・』」
アイコ「『ケフッ ケフッ』」
「『大丈夫?』」
「『風邪でも引いてるの?』」
アイコ「『そんな感じ』」
「『そっか、体大切にね』」
アイコ「『ありがとう』」
「『ていうか、通話に制限あるって やっぱ厳しいの?』」
「『まあ、男と話すなんて厳しくて当然か』」
アイコ「『うちの人たち過保護だからね』」
〇病院の診察室
雪島千砂「アプリをやっている間は アイナの調子が良かったんですか?」
大内加奈子「ええ」
大内加奈子「呼吸も比較的安定していました」
雪島千砂「酷い時はずっと苦しそうに寝込んでたのに」
大内加奈子「アイナちゃんの病気は ストレスの影響を特に受けやすいですからね」
大内加奈子「その捌け口になったのかもしれません」
雪島千砂「先生のおっしゃる通り 面会すればアプリの話ばかりだった気がします」
雪島千砂「小学生の時に病気を発症したせいで 友達からお見舞いすらされたことありませんでしたから」
雪島千砂「このまま、そのアプリをつづ・・・・・・」
雪島千砂「今日でサービス終了でしたね」
大内加奈子「ええ」
雪島千砂「では、また似たようなものを 紹介してもらうしかないでしょうか」
大内加奈子「私が思うに、アプリの存在もそうですが」
大内加奈子「多分マッチングした相手が 1番アイナちゃんにとって相性が良かったんだと思います」
〇仮想空間
アイコ「『宮森君って、面白い人なんだ』」
「『そうそう 話が面白くていつもボケてくるんだよね』」
アイコ「『羨ましいなぁ』」
「『アイコは友達いないの?』」
アイコ「『いないよ』」
アイコ「『いつも1人』」
「『なんで? アイコなら友達多そうだけど』」
アイコ「『そう見える?』」
「『見たことないけど見える』」
アイコ「『なにそれ』」
〇病室
雪島アイナ「お母さん? 先生?」
雪島アイナ「あれ? もう時間だっけ?」
雪島千砂「アイナ、ちょっとお話しがあるの」
〇仮想空間
アイコ「『大河くん、ちょっと待ってて』」
「『あ、うん』」
〇病室
雪島アイナ「体調もいいよ?」
雪島アイナ「お願いだから」
雪島千砂「そうじゃないの」
大内加奈子「ねえ、アイナちゃん」
大内加奈子「その大河くん? だっけ」
大内加奈子「その子と話してて楽しい?」
雪島アイナ「うん、楽しいよ」
大内加奈子「ユイコロの試験が 今日で終わっちゃうけど悲しくならない?」
雪島アイナ「悲しくなると思う」
雪島千砂「アイナ・・・・・・」
雪島千砂「ねえ、アイナ?」
雪島アイナ「なに? お母さん」
雪島千砂「その大河君に会いたい?」
雪島アイナ「えっ!?」
〇仮想空間
アイコ「『もどりー』」
「『おかー』」
アイコ「『ねえねえ』」
「『なに?』」
アイコ「『大河くんは 私とお話しできなくなるの寂しい?』」
「『べつに』」
アイコ「『えっ!? うそ!?』」
「『嘘』」
「『寂しくなるよ』」
アイコ「『驚かさないでよ』」
「『ごめんって』」
アイコ「『許してあげるから』」
アイコ「『大河くんに一生のお願いがあるんだけど』」
「『なにかな?』」
アイコ「『ねえ、私、大河くんに会いたいな』」
「『えっ?』」
アイコ「『ユイコロが終了しても 大河くんと繋がっていたい』」
「『まあ、連絡先交換ってことか』」
アイコ「『それも当然するけど』」
アイコ「『私に会いに来てよ』」
「『えっ!?』」
〇病室
雪島千砂「もうちょっと言い方あったんじゃない?」
雪島アイナ「ダメだったかな」
雪島アイナ「わたし、こういうの分からないから」
大内加奈子「アイナちゃんらしくていいと思う」
〇教室
宮森「今日はこの前と違って 随分と真面目な顔だな」
花村大河「宮森君」
花村大河「頼みがあるんだ」
宮森「いいぜ」
宮森「内容は?」
花村大河「一緒に付いて来て欲しいんだ」
〇総合病院
「アイコのいる病院に」