AIのアイコ

ぽんたろう

第5話『通話』(脚本)

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〇教室
花村大河「はあ」
宮森「どうしたんだよ、ため息吐いて」
宮森「最近元気ないよな」
花村大河「実はさ」
花村大河「AIだと思ってた相手が 本物の人間だったんだよ」
宮森「マジかよ」
宮森「そんなことあるんだ」
花村大河「実験だったらしい」
花村大河「それでさ、騙されてたと思うと きつくなってさ」
宮森「まあ、そうだよな」
花村大河「アプリ消そうかな」
宮森「終了まで、あと何日なんだ?」
花村大河「明日が最終日かな」
宮森「でも、楽しかったんだろ?」
花村大河「まあね」
宮森「だったら、一応お別れぐらいは 言った方がいいんじゃね?」
花村大河「えっ?」
宮森「だってさ、騙されていたとはいえ 1ヶ月も仲良くしてくれたんだろ?」
宮森「せめて、お別れするのが筋じゃね?」
宮森「俺はさ、それが花村らしいと思うぜ」
花村大河「・・・・・・俺らしいか」
花村大河「確かに」
花村大河「例え、騙されていたとしても 楽しかったのは事実だし」
花村大河「お礼とお別れはしっかりしないと」
宮森「そうそう」
宮森「辛いかもしれないけど頑張れよ」
花村大河「宮森君、ありがとう」

〇男の子の一人部屋
花村大河「家なら落ち着いてチャットが出来る」
花村大河「2、3日ぐらいアプリ開かなかっただけなのに随分と久しぶりな気がする」
花村大河「めっちゃ、アイコからメッセージきてる」

〇仮想空間
「ヤマダくん、本当にごめんなさい」
「こんなことになるなら 本当のことを言わなければ良かったと 思って反省してます」
「出来れば、最終日ギリギリまで 一緒にチャットしてください」

〇男の子の一人部屋
花村大河「すごいこんなに未読のメッセージ」

〇仮想空間
「怒らせたかもしれないし 悲しませたかもしれません」
「そうであったら、本当にすみません」
「私、あまり同年代の子と 関わったことないから接し方が分からなくて」
「言い訳みたいでごめんなさい」
「少しでいいから 数回のやりとりでいいから 戻ってきてくれませんか?」
「私の小さい世界にとって ヤマダくんから聞ける話は大きく広がる世界だったんです」

〇男の子の一人部屋
花村大河「ここまで言われて 騙されてたとかウジウジしてたら 男じゃないよな」

〇仮想空間
  アイコ 戻ってきたよ!

〇病室
大内加奈子「ごめんね、アイナちゃん」
大内加奈子「私がこんなアプリを紹介しなければ 辛い思いしなくて済んだのにね」
雪島アイナ「いいの。この1ヶ月すごく楽しかったから」
雪島アイナ「えっ!? ヤマダくん!?」
大内加奈子「えっ?」

〇仮想空間
  アイコ おーい
アイコ「ヤマダくん」
アイコ「どうして、戻ってきたの?」
  お別れの挨拶ぐらいしようと思って
  チャットを覗いたけど
  やっぱり、サービスの最後まで
  アイコと一緒にいようって思い直したよ
アイコ「ありがとう」
アイコ「ヤマダくん、本当にごめんなさい」
アイコ「騙すつもりはなかったの」
アイコ「いや、AIのフリしてるから 騙してるってことは自覚してたんだけど」
アイコ「それが与えられた役割っていうか」
アイコ「あれ? 私は何を言いたかったんだ?」
  wwwwww
  もういいよ、アイコってやっぱり面白いよね
アイコ「人が真剣に話してるのに!」
  やっとこれで本音で話せるね
  俺の名前は花村大河
アイコ「ちょ、本名名乗っちゃダメだよ」
  アイコがルール破って
  人間だってバラしてくれたんだ
  俺だってルール破るよ
アイコ「ダメじゃん」
アイコ「これじゃ、実験にならないよ」
  そうだね
アイコ「ねえ、このアプリにチャット以外に 通話機能あるの知ってる?」
  一応

〇病室
雪島アイナ「先生、あ、あのぉぉ」
大内加奈子「5分だけならいいよ」
雪島アイナ「ありがとう」
大内加奈子(こんなに嬉しそうにするアイナちゃん 初めて見たかも)

〇仮想空間
アイコ「『もしもーし』」
アイコ「『私の声、聞こえますか?』」
「『もしもし?』」
「『聞こえるよ』」
アイコ「『うわー、本当に男子だ』」
「『本当に女の子だったんだ』」
アイコ「『えっ? 男だと思ってたの?』」
「『大体こういう可愛いキャラ使うのって  おっさんとかだと思ってた』」
アイコ「『酷いなぁ』」
「『ごめんって』」
アイコ「『全然良いよ』」
アイコ「『こうして話すと不思議だね』」
「『そうだね』」
アイコ「『大河くん、想像してた通り  優しい声してる』」
「『声だけは褒められる』」
アイコ「『ははははは』」
「『笑うなよ』」
アイコ「『だって・・・・・・』」
アイコ「『ケフッ ケフッ』」
「『咳? 大丈夫?』」
アイコ「『うん。よくむせるの』」
アイコ「『体弱くてね』」

〇病室
雪島アイナ「ケフッ ケフッ」
大内加奈子「アイナちゃん、今日はこれぐらいにしようか」
雪島アイナ「はい」
大内加奈子(でも、ストレスによるものじゃないから まだいいか)

〇仮想空間
アイコ「『ごめんね、今日はこれで落ちるね』」
アイコ「『あとはチャットでお話ししよ』」
「『了解。話せて楽しかったよ』」
アイコ「『私も』」

〇病室
大内加奈子「すぐに治ったみたいね」
大内加奈子「嬉しくて興奮しちゃっただけかな?」
雪島アイナ「そうかも」
雪島アイナ「明日はもっと話したいな」

〇男の子の一人部屋
花村大河「まさか、女の子だと思わなかったな」
花村大河「でも、いよいよ明日が最終日か」

次のエピソード:第6話『ラストメッセージ』

コメント

  • たくさんの未読メッセージを残すアイコさんの心情が…🥲
    と、心揺さぶられたところでの作者コメント「通話をしても相手を信用できねえ」が面白いくらい台無しにしてくれますねꉂ🤣
    それにしても、大内先生のキャラビジュアルが……多くの作品で不穏・不審な役回りを宛てられることが多いので(たぶん半分は私のせいかも…😰)、献身的な彼女を見るとなんだか楽しくなってしまいます😇

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