無力な勇者候補は名付け親になる。(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
蒼汰「はぁ〜...」
俺はスピガが隣で笑っているのを横目に、手の甲を見つめていた。よく見ると、赤い魔法陣のようなものが薄っすら刻まれている。
それを見て俺はぼそっと呟く。
蒼汰「なんだよ、これ...」
よく見るとスピカの手にも同じような魔法陣が刻まれていた。
スピカ「それは契約の証の魔法陣。お互いが契約を許した証拠」
蒼汰「だから俺、了承して無いってば!!」
???「解。貴方様が心の何処かでこのお方を許したため契約が結ばれました」
蒼汰「心の何処か...ねぇ...」
スピカ「...!!」
蒼汰「あ、やっば...。あ、すまんスピカ...これは...」
スピカ「かぁっわいい〜っ!!」
蒼汰「スピカ、お前見えるのか...?」
蒼汰(てっきり見え無いものだと...)
???「我が...、『可愛い』ですか?」
スピカ「あ、ごめんなさい、気に触っちゃた?」
蒼汰「あ、照れた」
???「いえ、我は生まれて一度も「可愛い」とい事を言われたことが無かったので、混乱しただけでございます、」
蒼汰(こいつ意外と表情豊かなんだな...)
スピカ「そういえば、貴方は名前何ていうの?」
???「我の...名前ですか?」
蒼汰「...椎名、とかはどうだ」
「シイナ?(ですか?)」
蒼汰「あぁ、お前が俺の妹にそっくりでな、」
???「我が...貴方様の妹様にそっくりでございますか?」
蒼汰「あぁ、話し方とかは似て無いんだが、見た目がそっくりでな」
???「何んだか...。複雑でございます」
蒼汰「おいどういう事だ?」
???「でも、シイナ...。悪くありません」
蒼汰「うぉっ?!何んだこれ?」
シイナ「...。解。名付けの契約でございます」
シイナはふわりと笑い、言った。彼女が笑ったのは初めてだった。
蒼汰「はぁぁ?!名付けにも契約するのかよ...」
こうして、2つの契約を持つ”伝説の勇者候補”が誕生したのだった。