〇黒
　　12000年前のムー大陸の英雄、漆黒のデュランダル。
　　彼はごく普通の高校生に転生した。
　　そして同じく現代に転生した運命の戦士（ドーゥム・チャンピオンズ）たちと共に、闇の勢力と戦うことになる！

〇通学路
只野男志（というのは『デュランダル漆黒の書』に俺が書き殴った設定）
只野男志（つまり妄想！ そのはずなのに！ あぁ、それなのに！）
闇の眷属「ギギ！ 待ッテイタゾ！ デュランダル、レーヴァテイン！ カクゴ！」
只野男志（どうしてこうなった！？）
帝院令「人払いの結界、展開！」
　　令の前に一瞬、魔法陣が浮かぶ。
帝院令「行くぞ！ 我に宿りし破壊と創世の炎（ラグナロク・パワー）よ！」
帝院令「メギド・ブレイズ！」
　　令の剣から無数の火球が発生し、闇の眷属に命中。炸裂する。
闇の眷属「グワァアアァ～～ッ！？」
帝院令「とどめ！ フレイム・スラッシュ・・・」
闇の眷属「ツ、ツヨイ！ ギ、ギギッ！」
　　闇の眷属が一目散に逃げだす。
帝院令「逃すか！ 追いましょう！」
只野男志「う・・・うむ！」

〇ビルの裏
　　只野と令が追いつくと、闇の眷属が小学生らしき女の子を羽交い絞めにしていた。
只野男志「・・・！？」
闇の眷属「ウ、ウゴクナ！ コイツが死ヌゾ！ ソレデモイイノカ！」
女の子「ひっ！ いやぁ！ たすけてぇ！」
帝院令「ち！ 人払いの結界の範囲外か！」
闇の眷属「攻撃デキマイ！」
帝院令「大義のための犠牲だ！ 許せ、少女よ！」
帝院令「我に宿りし、破壊と創世の炎（ラグナロク・パワー）よ・・・！」
　　令の剣が激しく燃えあがる。
只野男志（えっ！？ ちょ！ えぇっ！？）
闇の眷属「エェェェエエェ～～ッ！？」
女の子「やだぁ！ しにたくないよぅ！」
帝院令「葬送の炎と共に逝け！ レクイエム・バースト・・・」
只野男志「ま、待て！ レーヴァテイン！」
帝院令「・・・はい？」
闇の眷属「タ・・・タスカッタ・・・？」
只野男志「や、闇の眷属よ！ わかったであろう！ 我らに人質は無意味だ」
闇の眷属「コノ、ヒトデナシ！」
只野男志（ごもっとも！）
只野男志「お前の生き残る道は、ただひとつ。 その娘を解放し、全力で逃げ切るのだ」
闇の眷属「ギ・・・ギギ・・・ワ、ワカッタ」
　　闇の眷属が女の子を解放する。
闇の眷属「巻キコンデ悪カッタ。オ前ハ、生キ残レ」
女の子「けんぞくさん・・・。死んじゃうの？」
闇の眷属「ソノ気ハナイ」
闇の眷属「ココヲ逃ゲノビテ必ズ、コノ先生キノコッテミセ・・・」
帝院令「レクイエム・バースト！」
　　令の爆炎が闇の眷属に炸裂する。
闇の眷属「グワァアアアァ～～ッ！？」
女の子「けんぞくさーん！」
　　闇の眷属は燃え尽き、気絶した男子生徒の姿が現れる。
男子生徒「・・・・・・」
帝院令「我らの正義の勝利ですね！」
只野男志「あ、あぁ・・・うん」
帝院令「となると、残った問題は・・・」
　　令が女の子をにらむ。
女の子「・・・え？」

〇生徒会室
帝院令「というわけで、この娘は処分します」
女の子「しょぶん、って？」
　　先ほど助けた女の子が、バナナを食べながら令を見た。
只野男志「まさか・・・」
帝院令「ご安心を。 我が炎は骨まで焼き尽くします」
帝院令「証拠はいっさい残りません」
「・・・！？」
　　ボトッ・・・
　　夢來がぽとりと、バナナの皮を落とす。
只野男志（いやいやいや！ ちょっとぉ！ 倫理観！ 君の倫理観どうなってんの！？）
帝院令「我らのことが普通の人間に知られることは、沈黙の掟で禁じられています」
只野男志「た、確かに」
只野男志「パニックを避けるため、我らや闇の眷属の存在は秘匿すべきだが」
帝院令「沈黙の掟は絶対です。おわかりのはず」
只野男志（確かに、漆黒の書にそんな感じのこと書いたけどっ！）
只野男志「き、記憶を消せば良いだろう？」
帝院令「それはミストルティンの能力です」
帝院令「しかし昨夜のエンヴィーとの戦いでMP（メンタル・パワー）を使い切り、屋敷で療養しています」
只野男志「ならば、ミストルティンが回復するまで、沈黙を守らせれば」
帝院令「この娘は信用できません。 バナナで買収するにも限界があります」
女の子「・・・けんぞくさんみたいになっちゃうの？」
女の子「バナナ、もうたべられないの？」
帝院令「ああ。世界を護るためなんだ。 すぐ済むからね」
帝院令「我に宿りし、破壊と創世の・・・」
只野男志「ちょ・・・っ！ まっ！」
　　令に駆け寄ろうとした只野、バナナの皮で足を滑らせて令めがけて倒れる。
只野男志「うわっ」
　　握られた只野の拳が、体重の乗ったいいパンチとなって令の頬に炸裂する。
帝院令「ぐっ・・・デュランダル様！ なぜっ！」
只野男志（あれぇぇえ！？ えっと、えっと！ なんか、なんかそれっぽいこと！！）
只野男志「お、愚か者が！」
只野男志「１人の少女を守れずして、何が世界を護る（まもる）、だ！」
帝院令「！？」
只野男志「この少女も世界の一部！」
只野男志「それを守ることは、世界を護ることと等価と知れ！」
帝院令「なんと深遠なるお考え！ さすがはデュランダル様です！」
只野男志「・・・もうよい。この少女は我が預かる。 少女よ。君の名は？」