第6話(脚本)
〇センター街
世界は広い
その中で 人と人が出会い
友だちになるのは
あたりまえのように感じるが
実は奇跡的な確率らしい
学校や勤務先という限られた世界という
前提があったとしても
全員と仲良くするなんて無い
それが現実だ
だから 街で知り合いと会うというのは
些細なことと思うなかれ
とっても 凄い奇跡なんだ。
そんな、偶然出会ったヨミと別れて
喫茶店に行くことにした
ライス(大森)「いいですなー 賛成ですぞー」
サチ「どこのカフェにする〜?」
ハルキ「いや、さっき ヨミとバイバイしたときに、 二人ともしたつもりだったんだけど」
ライス(大森)「我々はそんな感じは受けなかったですぞー むしろ、まだご一緒したい様な気持ちが──」
サチ「そんな気はしてた!」
ハルキ「はぁ・・・ 仕方ないね」
サチ「やった!」
ライス(大森)「それなら 美味しい食べ放題の店が──」
サチ「嫌よ カフェにしましょう」
ライス(大森)「ぐぬぬ・・・・・・」
ライス(大森)「ならば コメダで手を打ちましょうぞ」
サチ「うーん・・・ それなら・・・なしではない」
ライス(大森)「決まりですな~」
ハルキ「俺に選ぶ権利はないのな」
サチ「あ・・・」
ライス(大森)「いいじゃない いいじゃない~行きましょうぞ」
〇シックなカフェ
ハルキ「落ち込み過ぎだぞライス コメダは混んでた・・・仕方ないんだ」
ライス(大森)「ぐぬぬ・・・」
サチ「なにが、ぐぬぬよ・・・」
サチ「こんなに、ケーキ頼んで!」
ライス(大森)「足りない! 足らないのでごわす!」
ハルキ「せめて食べてから、足りないと言えよ。 食べる前に言うなって・・・」
ライス(大森)「それもそうですな・・・」
ライス(大森)「いただきまーす!」
サチ「ゆっくり食べてよね」
サチ「これで、ゆっくり話せるね」
ハルキ「そ、そうかな?」
サチ「最近は体調どう?」
ハルキ「え? あぁ・・・まぁ普通だよ でも、無理はしないようにしてるつもり」
サチ「そっか。 それならいいけどさ。 また倒れたら――嫌だから」
ライス(大森)「拙者も困りますぞ!」
ライス(大森)「ハルキ殿の歌と音楽が聴けないのは悲しいですぞ ・・・それに・・・」
ライス(大森)「今はヨミ様もいる! 二人の歌が聴けなくなったら、更に辛いのですぞ~」
ハルキ「ライス・・・」
サチ「良いこと言うじゃない」
ライス(大森)「とは言え、ハルキ殿が倒れても ヨミ様が音楽を続けてくれるなら、何一つ問題はないでござる!」
ハルキ「黙って食べてろ!」
ライス(大森)「こ、心得た!」
サチ「何を心得たんだか・・・」
サチ「でも、ほんとそう。 二人で音楽やるようになってから、めちゃくちゃ、良い感じだと思ってる」
ハルキ「ありがとう」
ハルキ「・・・でも──」
ヨミと出会ってから、たくさんの曲を作ってきた。
それでも、最近は明るい曲が書けなくなってきている──
ヨミと一緒に音楽をやるようになって、路上ライブでも稼げるようになったし、ライブも人が入るようになった。
その現実を見るたびに思うのは、自分の才能の限界――
それともヨミの才能への嫉妬なのか──
余計なことを考えないように、バイトを入れてるんだ。
ムリをしてるのか?
でも、動かないと──
よくない
よくない・・・気持ちを切り替えろ
サチ「でも?」
ハルキ「――でも じゃなかった それなら・・・それならだ」
ハルキ「今度のライブもヨミと二人で盛り上げるから楽しみにしててくれよ」
サチ「うん!」
ライス(大森)「楽しみですぞ~」
サチ「え? ・・・食べ終えたの?」
ライス(大森)「なかなか美味かった~」
ライス(大森)「次は何を頼もうか――迷いますなぁ パンケーキにするか、チーズケーキか、ティラミスもありますぞ」
ハルキ「せめて、まだ食べてないのにしてくれ あと・・・」
ハルキ「ここの支払いは、奢るつもりもないし、割り勘にするつもりもないからな」
ライス(大森)「ええぇぇ!」
サチ「あたりまえでしょ・・・」
つづく
ケーキを食べまくってご満悦なライス。
それとは対照的に、ヨミのずば抜けた才能から焦っているハルキ。
次のタイトルは「転機」との事なので、不穏な予感がしますね。