Xヒーロー

語り部

第103話 賢きアニュレ(薬指)(脚本)

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〇簡素な部屋
  2004年 神奈川県 変化武器専用集合住宅 炉郷荘 飛鮫の自室
  私が目覚めた日。困惑する私にパパは話してくれた。
  目覚めてくれてありがとう。名前はあるか?あれば教えてくれると嬉しいよ
  名前?私は絶世剣デュランダルだぞ?そう思ったし、それを伝えた。でもパパは···
  それじゃまるで『物だ』。私は君を『人』として接したいんだ。
  初めてだった。多分···変化武器成り立てなら誰もが通ったのだと思う
  『名前を聞かれる』なんて事は。だから皆縁のある人物の名前をつける。私もそうした
シャルル「カール···カール・シャルルマーニュ」
  カール?うーん···お菓子の名前であるから呼びずらいな···シャルルマーニュだと長いし···
  ··· ··· ···よし!君は今日から『シャルル』だ。嫌なら言ってくれ
  不思議な気持ちだった。勝手に決められた名前で呼ばれるなんて今まで何度もあったのに
  パパに呼ばれると···とても嬉しい気持ちが湧き上がった。
  そして月日は流れたある日、パパが死んだ。その日ランスロットに呼ばれ
  パパの遺言を聞かせてもらった

〇アパートのベランダ
ランスロット「シャルル、お父様の遺言だ。読むぞ···」
  シャルル、私の子供達の一人···辛い思いをさせたね···どうかパパを許して欲しい
  お前はママと一緒にいる時間が好きだったね。ママも先は長くないから···今のうちに思い出を作っておきなさい
  それと···お前は『力をセーブする癖がある』。仲間の危機の時には一歩踏み出して前に出るのは頼もしいが
  その『神速』を抑えては勝てる相手にも勝てない。抑えなくていいんだよシャルル、存分に振るいなさい
  可愛い我が子シャルル、他の皆と同じようにお前のことも愛しているよ。
ランスロット「···という事だ。遺言通りお母様も長くない···今のうちに病院に行っておけ」
  不可解。錆のことで皆不安になってたのに···遺言にさえ書かないの?
  この時パパに感じたのは『怒り』以外に無かった。でも同時にこうも思った
  『自立の時だ。パパとママに頼らず、自分達で生きる方法を見つけなきゃ』
  そうして私は錆の直し方を探しながら、ママの病院に通った。今になって思うけど···
  私もゲライントと同じように『過去に囚われてる』のかな。少し···背伸びしすぎたのかな
  ··· ··· ···ママ···私をみたらどう思うかな···『自分を持ちなさい』って怒られるかな
  ··· ··· ···もう一回だけ···もう一度だけでいいから···ママにぎゅってして欲しかったな···

〇地下室
  2021年 オレゴン州 ポートランド 国立霊長類研究センター A棟 一時保管室
シャルル「ん··· ··· ···夢?」
エンチャント魔導法士「目が覚めたか。まぁ今の状況も悪夢みたいなもんだがな···どうにかできそうか?」
  シャルルが周囲を見ると大量のアナザー達に囲まれ、凪園とキングはアナザーに捕まっていた
  シャルルはゆっくり起き上がりながら、キング達の方を見ると一言
シャルル「『全部引き受ける』」
  そう言って剣を出現させ、構える
エンチャント魔導法士「全部だと!?無茶言うな、下がってろ!」
  しかしエンチャントの制止を無視し、シャルルはまるで『綱渡りでもしてるかのように』一歩一歩確かに確実に歩み始めた
  その様子を見てキングは顔を青くしていく
キング「お前···いや、そうか···考えてみればだよな。錆が直って本領発揮できる『神速のシャルル』だもんな」
キング「そりゃできるわな···『アレ』」
  キングがそう言うと、シャルルの体は光り始める。まるで『何かの魂が集まるかのように』
シャルル「『我が身に宿れ、十二の魂。我が手に宿れ十二の技。今ここにかの敵に十二の死を刻もう』」
シャルル「『歌え友よ、笑え友よ、我らカール大帝の元に集いし十二の騎士。旅の終わりに最後の戦いを』」
セルゲイ・ライノヴィッチ「警戒しろアナザー!『神速が来るぞっ!』」
  しかしその警告の終わり際に既にシャルルはセルゲイの背後を歩き、剣に着いた血を払うと
シャルル「十二神速技『ドゥーズ・プール』」
エンチャント魔導法士「なんだ今の!?い···いつの間に後ろに!」
キング「あれが始まりの変化武器の一人、シャルルの実力だ。あいつは『音より早く動いて相手を倒す』そこからつけられた異名が···」
エンチャント魔導法士「『神速』···か?なるほど···なぜ神速なのか理解できたわ」
エンチャント魔導法士「さて···頼もしい限りではあるが、あの男の能力の謎も解かんといけないぞ?どうする?」
キング「シャルル、相手の能力わかるか?お前頭いいからわかんだろ」
シャルル「···確証は無いけど、予測はできてる」
シャルル「ひとまずステファノ神父を脱出させて。話はそれから」
キング「じいさん、造形魔術でトンネル作れねェのか?」
エンチャント魔導法士「待ってろ···すぐにやってやるからな」

〇秘密基地のモニタールーム
  A棟 監視モニタールーム
斎王幽羅「どう···?大丈夫そう?フェード」
フェード「問題ない。よし··· ··· ···今映したぞ」
  モニターには様々な映像が映り、無論キング達の様子も見えた
  だがそれ以上にもっと恐ろしいものがそこには映っていた

〇刑務所の牢屋
  A棟 一時拘留室
鬼月冷羅「コールド・スティンガー!」
アナザー・オリジン「俺に砕けないと思ったか!?光のビート『フラッシュ・コンビネーション!』」
  冷羅の能力により空気中の水分は氷結し、この環境下で冷羅は『どこからでも』氷柱の弾丸を撃てた
  完全に冷羅のフィールドであったはずのこの環境下でも、アナザー・オリジンは『ボクシングの構え』をとり
  避けながら氷柱の弾丸を殴り壊していた
鬼月冷羅「ちっ···弾道ミサイルでも砕けないはずなんだがな···」
アナザー・オリジン「どうしたどうした!もっと来い冷羅、楽しもうぜ!」
鬼月冷羅「やりずらい···マジに『神王さんと戦ってる気分』だ···」
アナザー・オリジン「ほら来いよ冷羅!来ないならこっちから行くぞ!」
  アナザー・オリジンが構えのまま冷羅に向かって走り出すが
アナザー・オリジン「う···動けねぇ···!へっ···『氷のフジツボ』か?」
鬼月冷羅「『フロスト・バーナクル』。踏めば体外に氷が張り付き、張り付いた生物の水分を吸い取り、氷にして体外に排出する」
鬼月冷羅「本物の神王さんも突っ込んでくると思うが···偽物との違いは」
鬼月冷羅「本物の神王さんは、たとえ全身を氷に覆われても『光のビート使って突っ込んでくる』所だ」
  勝っていた。誰が見ても確実に勝利している状況だった。しかし冷羅はアナザー・オリジンに近づき
  氷の剣を作り出し、アナザー・オリジンの頭に振りかざす
  しかし、それは起こった
鬼月冷羅「チッ···やっぱり使えたか··· ··· ···『ゼウス・ナックル』」
アナザー・オリジン「悪い悪い!本調子になるまでは使いたくなかったんけど、もういいよな?」
アナザー・オリジン「さて···準備運動はこれくらいでいいだろ?お前相手に『オリュンポス・プロレス』やらないと失礼だしな」
鬼月冷羅「やらないでもらった方が俺は助かるがな。たった1発のパンチで俺の体をここまで吹き飛ばしやがって···」

〇秘密基地のモニタールーム
  A棟 監視モニタールーム
鸞「あれが···アナザー・オリジン?氷帝でも手こずるのか···」
フェード「どうする斎王、氷帝の手助けに行くか?」
斎王幽羅「··· ··· ···いや、先にキング達の方へ行こう。皆でアナザー・オリジンに挑まなきゃ」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第104話 疑念的恋

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