天使の悪戯~ワンルームに響く歌~

貴志砂印

第二話(脚本)

天使の悪戯~ワンルームに響く歌~

貴志砂印

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〇SHIBUYA109
ヨミ「あーし、元・天使だから」
アンジュ「えええええ!!」
  想像もしてなかった言葉に、わたしは恥ずかしいほど大きな声を上げた。
  
  しかし、この声は誰にも聞かれることはない──はず
ヨミ「リアクション大きすぎだし」
  なのに、今はハッキリと伝わっている。
  
  というか、もう天使だから見えない、聞かれないというのは、通用しないのだ。
ヨミ「でも、あーししか聞こえてないから、騒いでも大丈夫か」
アンジュ「なんか、想像してなかったことがおきて・・・どうしていいのか」
ヨミ「そりゃ、そうだよね」
ヨミ「でも、まぁ、いーんじゃない? 別に見えてないからって、変なことしてたわけじゃないんだし」
アンジュ「へ、変なことなんかしてません」
ヨミ「だから、ラッキーだよって話」
アンジュ「はぁ・・・ラッキーですかね?」
ヨミ「そうだよ。 あーしなんか、見えないことを良いことに、おならも、ゲップもお構い無しだよ。 鼻もほじれる」
アンジュ「多少は、気にした方が良さそうですが・・・そ、そんな悪いことしてたんですか・・・ 天使なのに・・・」
ヨミ「性格なのかもね。 所謂、『堕天使気質』ってやつ? ってか、実際に堕ちてるから気質じゃないか」
アンジュ「それ、笑って良いのか──」
ヨミ「良いんだよ ウケるっしょ」
アンジュ「・・・あはは・・・」
アンジュ「ふふふ・・・」
ヨミ「どうした?」
アンジュ「・・・なんか・・・お話ししてるなって・・・」
ヨミ「そりゃね。 見えてるし、会話もできてるわけだし」
ヨミ「あ・・・ もしかして──」
ヨミ「友達いないタイプ・・・?」
アンジュ「いますよ!」
アンジュ「だけど、こうして人間とお話し・・・ ずっと、話してみたかった人とお話しって嬉しいなって・・・」
アンジュ「今まで見てるだけだったから そう思ったら、嬉しくて」
ヨミ「そっか」
ヨミ「その気持ちは何となくわかる!」
ヨミ「人間って言っても・・・ あーしの場合は、ちょっと違うかもだけど」
アンジュ「でも、楽しいです!」
ヨミ「そしたらさーー ちょっと着いてきて!」
アンジュ「わっ!」
  わたしの手を掴もうと伸ばしたヨミさんの手は、わたしをすり抜けた
ヨミ「ありゃ、さすがに見えても、触るのは無理だったか」
アンジュ「そうみたいですね」
ヨミ「まぁいいや。 着いてきてよ――ってか」
ヨミ「あぁ・・・」
ヨミ「あーし・・・ これって、めっちゃ大きな声で独り言してる様に見えてるか──」
ヨミ「ウケる」
  あっけらかんとしてるヨミさん。
  ずっと、お話ししたかった人。
  そんなヨミさんに言われるがまま、わたしたちは移動することになる。
  
  ・・・・・・つづく

次のエピソード:第三話

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