第10話『不穏な音』(脚本)
〇シックなバー
みか「浮かない顔して、どうしたのさ?」
安全型地雷系エナ「ふれてん行きてえって思ってさ」
みか「行きゃいいじゃん」
安全型地雷系エナ「でも、ルティエルさんを前にすると 緊張しちゃってさ」
みか「へえ」
店長ワール「あんた達、話してる暇あるなら 呼び込みしてきなさい」
安全型地雷系エナ「はい! すみません」
みか「分かりました」
店長ワール「あとエナさ」
安全型地雷系エナ「はい」
店長ワール「ライバル店に行ってるわけ?」
店長ワール「そういうの辞めなさいよ」
安全型地雷系エナ「でも、それは個人の自由ですよね?」
みか(店長に絡まれてかわいそー)
店長ワール「口答えすんな」
店長ワール「オーナーに言って クビにしてもらっていいんだよ?」
安全型地雷系エナ「それは困ります」
店長ワール「だったら、言うこと分かるよね?」
安全型地雷系エナ「分かりました」
安全型地雷系エナ(オーナーに気に入られてるからって 調子に乗って!)
店長ワール「それでいいのよ」
〇メイド喫茶
月「そういえば、最近エナさん来ませんね」
ルティエル「ホントにね。どうしたんだろ」
月「何かあったんですかね」
〇電器街
安全型地雷系エナ「コンカフェいかがっすか」
安全型地雷系エナ「40分3000円でーす」
月「お久しぶりでーす」
安全型地雷系エナ「あ、月ちゃん」
月「最近、来ないから心配してたんですよね」
安全型地雷系エナ「本当は行きたいんだけどさ」
月「何かあったんですか?」
「ほら、サボってないで配る」
安全型地雷系エナ「店長」
店長ワール「ちょっと目を離すとすぐサボる」
安全型地雷系エナ「別にサボってたわけじゃ・・・・・・」
店長ワール「あなた、もしかして ふれてんのキャストさん?」
月「はい! 月って言います!」
店長ワール「私、ブラッディヴァンパイアの店長 ”ワール”です」
店長ワール「よろしくね」
月「よろしくお願いします」
安全型地雷系エナ(この人、外面はいいのね)
店長ワール「おたく、最近繁盛してるみたいね」
店長ワール「羨ましいわ」
月「ありがとうございます」
店長ワール「どんな手段使ってるのか 今度聞いてみたいわ」
店長ワール「やっぱり、色仕掛けとか?」
安全型地雷系エナ(うわー、遠回しに嫌味言ってるよ)
月「キャストがみんな 普通に楽しんでやってるだけです」
店長ワール「あ、そうなの。いいわね」
安全型地雷系エナ(さすが、月ちゃん 店長の嫌味なんてまったく通じない)
店長ワール「エナ、何笑ってるのよ」
店長ワール「帰るわよ」
安全型地雷系エナ「はーい」
店長ワール「月さん、またね」
安全型地雷系エナ「またね」
月「また!」
月「んー、きな臭い感じがしますね」
〇シックなバー
安全型地雷系エナ「そろそろあがりまーす」
店長ワール「エナ、ちょっと待ちなさい」
安全型地雷系エナ「あ、はい」
店長ワール「オーナーが話あるって」
成金オーナー横島「エナ、お前、最近個人の売り上げが 下がってるみてえだな?」
安全型地雷系エナ「はい。すみません」
成金オーナー横島「もっと客を呼び込んでこい」
成金オーナー横島「あと色仕掛けでボトルを入れさせるんだ」
店長ワール「そうよそうよ」
安全型地雷系エナ「はい」
店長ワール「あんた、ビジュアルしか 取り柄がないんだから努力しなさい」
安全型地雷系エナ「分かりました」
成金オーナー横島「もっと頭使えよ」
「ははははは」
〇電器街
安全型地雷系エナ「はあぁ」
安全型地雷系エナ「前はもっと楽しかったのになぁ」
「エナさん」
安全型地雷系エナ「えっ?」
月「今お帰りですか?」
安全型地雷系エナ「うん」
月「どこかで一緒にお食事なんてどうです?」
安全型地雷系エナ「うん、いいけど」
安全型地雷系エナ(思わず、返事しちゃった)
〇シックなカフェ
月「最近、お店に来ないから ルティエルさん心配してますよ」
安全型地雷系エナ「ルティエルさんが!?」
月「はい」
安全型地雷系エナ「そっかそっか、ルティエルさんが」
月(エナさん、嬉しそう)
安全型地雷系エナ「・・・・・・」
安全型地雷系エナ「・・・・・・」
月「・・・・・・」
月「何か隠してますね?」
安全型地雷系エナ「えっ?」
月「その顔を見れば分かりますよ」
月「良かったら教えてくれませんか」
安全型地雷系エナ「実はさ」
安全型地雷系エナ「ライバルのふれてんに 行くことを禁止されてるの」
月「でも、それって個人の自由ですよね」
安全型地雷系エナ「そうなんだけど」
安全型地雷系エナ「オーナーが変わっちゃってさ」
安全型地雷系エナ「それが酷いやつでね」
安全型地雷系エナ「その小判鮫の店長が、調子乗っちゃってるの」
安全型地雷系エナ「もし、ふれてんに行ったら 契約違反で訴えるとか言い出してさ」
月「酷いですね」
安全型地雷系エナ「前のオーナーの時は 自由にやらせてもらったんだけど」
安全型地雷系エナ「今はあまり楽しくないかな」
安全型地雷系エナ「お客に高いボトルをねだったりさ」
安全型地雷系エナ「本当はしたくないんだけど しないと怒られるし」
月「辞めたりできないんですか?」
安全型地雷系エナ「辞める?」
月「そうです」
月「嫌なら、辞めるべきです」
安全型地雷系エナ「でも・・・・・・」
月「でも、本当はコンカフェの仕事が 好きなんですよね?」
安全型地雷系エナ「うん」
月「でも、辞めた方がいいと思います」
月「そうじゃないとエナさんが壊れちゃいます」
安全型地雷系エナ「う、うん」
安全型地雷系エナ「そうね」
安全型地雷系エナ「私、言うわ」
安全型地雷系エナ「明日、直接辞めるって伝える」
月「はい」
安全型地雷系エナ「あなたって不思議な子ね」
月「そうですか?」
安全型地雷系エナ「つい何でも話しちゃう」
安全型地雷系エナ「あなたと話して楽になったわ」
安全型地雷系エナ「ありがとう」
月「いえいえ」
〇広い改札
安全型地雷系エナ「またね」
月「はい」
月「ああ言ったものの大丈夫かな」
月「心配」
〇メイド喫茶
フレン「パパ!」
フレン「お店に来る時は ちゃんと連絡してって言ってるでしょ!」
魔王「ごめんごめん」
フレン「まったくもう」
フレン「パパ、落ちぶれて腐ってていても 魔王のオーラがあるんだからね」
フレン「営業妨害よ」
魔王「言い方、ひどくない?」
フレン「これでも足りないぐらいよ」
星川天海「気立てが良い娘さんじゃないか」
魔王「ありがとう」
フレン「月ちゃんのおじいちゃんさん」
フレン「パパが変なこと言ったら 昔みたいにボコって良いですからね」
星川天海「承知した」
魔王「2人とも!」
「はははは」
〇広い厨房
あみーな「えー、上の店ってそんな感じなの?」
月「はい」
ルティエル「酷い話ね。そう言う話たまに聞くけど」
あみーな「うちのお店はノルマないから良いけど」
ルティエル「うちのオーナーが優しい人で良かった」
月「それで、エナさん困ってて」
月「2人にご相談したんです」
ルティエル「何かあった時は力になりましょう」
あみーな「うん。大切なお嬢様だからね」
月「ありがとうございます」
〇シックなバー
安全型地雷系エナ「店長」
安全型地雷系エナ「お話があるんですけどいいですか?」
店長ワール「なに?」
安全型地雷系エナ「お店を辞めさせてもらえませんか?」
店長ワール「はあ? 急に?」
店長ワール「何を言い出してるのよ」
安全型地雷系エナ「でも、辞めさせてもらえるはずですよね」
店長ワール「あんたねえ」
「いいぜ」
成金オーナー横島「辞めさせてやるよ」
店長ワール「オーナー?」
店長ワール「いいの?」
安全型地雷系エナ「いいんですか?」
安全型地雷系エナ(意外と話が分かる?)
成金オーナー横島「ただし」
成金オーナー横島「個人で1ヶ月の売り上げを100万達成しろ」
店長ワール「それは名案だわ」
成金オーナー横島「だろ?」
安全型地雷系エナ「そんなの無理に決まってるじゃないですか」
成金オーナー横島「だったら、自分の代わりを見つけてこい」
安全型地雷系エナ「それは・・・・・・」
安全型地雷系エナ(こんな店に代わりを 紹介できるわけないじゃない)
安全型地雷系エナ「でも、本当なら自分の代わりを 探す必要なんてありませんよね?」
成金オーナー横島「仕事に穴を空けるんだから 当然の義務だろ?」
成金オーナー横島「訴えたかったら好きにしろよ」
成金オーナー横島「その代わり、どうなるか分かるな?」
成金オーナー横島「こっちはお前の住所、学校まで 知ってるんだからな」
安全型地雷系エナ「分かりましたよ、続けますよ」
店長ワール「はははは」
安全型地雷系エナ(ちくしょおおお)
〇更衣室
月「さて、お給仕も終わったし帰ろう」
月「エナさん、ちゃんと言えたかな」
月「エナさんからだ」
月「もしかして、良い報告かな?」
〇モヤモヤ
助けて
〇メイド喫茶
次回予告
エナの相談に乗り
話は上手くいったと思った矢先
エナから届いたら不穏なメッセージ
果たして、月は彼女を救うことができるのか
次回『キャストは一人のために』
月「次回はみんなの力を総動員です!」
月「次回ももえもえてん!」
月「あの人たちの出番です」
流れるような展開とエナさんの感情の起伏表現、そしてこのヒキ、見ていてドキドキしてしまいました🥹 物語に射す光と影の塩梅がステキです🥰
「あの人たちの出番です」
本命:竹ちくわ殿と親馬鹿魔王様、大穴:異世界の某村で大暴れしていそうな常連客達
楽しみで仕方ないですね✨