漆黒のデュランダル伝説 ~ただの中二病の俺が勇者に祭りあげられてしまった件~

ウロジ太郎

第1章第1節 『我が名は"漆黒のデュランダル"』(脚本)

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〇黒
  1万2千年前のムー大陸の英雄
  漆黒のデュランダル
  彼は呪われた力を持った忌み子であったが、
  正義の心に目覚め、世界を滅ぼさんと企む、闇の勢力との聖戦に身を投じた。
  戦いは熾烈を極めた。
  世界は壊滅の危機に瀕し、
  ムー大陸は海中に没したが──
  デュランダルの封印されし力の解放により、闇の勢力は駆逐され、聖戦は終わった
  ・・・かに思われた。

〇学生寮
  終わりなき聖戦(インフィニティ・クルセイド)は、現代で再び始まろうとしている。

〇学生の一人部屋
  薄暗い部屋に、引越会社の段ボールが積まれている。
  只野男志(ただの だんし)は一心不乱に、ボロボロのノートにペンを走らせていた。
只野男志「かくして、デュランダルの新たな闘争が幕をあけるのであった!」
  勢いよくノートを閉じる。
  ノートの表紙にはとげとげしい文字で
  「デュランダル~漆黒の書~」と書かれ「DURANDAL DarknessKulten」とルビが振ってある。
  ピシャーン!
  雷が鳴る。
只野男志「闇の勢力(ダークパワーズ)め。 気づいたか」
只野男志「この我、漆黒の(シュヴァルツ)デュランダルが転生したことに・・・!」
  そこに黒猫が駆けこんでくる。
黒猫「にゃーっ!」
只野男志「フッ。どうした。大邪竜ヨルムンガンド。 我に力を封じられし、我が使い魔よ」
ヨルムンガンド「にゃーっ! にゃーっ!」
只野男志「痛! 噛むな! わかった、カリカリあげるから!」
只野男志「ギャーッ! ひっかくな! 爪が目にぃ!」

〇大きな木のある校舎

〇教室
  「只野男志」と書かれた黒板の前に、デュランダルのコスプレをしたままの只野が立っている。
  横に立っている女教師、布津野教子(ふつの きょうこ)は動揺を隠せない。
布津野教子「き、今日から皆さんのお友達になる、て、転校生の只野男志くん・・・です」
只野男志「違うな。それは今生での仮の名!」
  自分の名前に×をつけ“漆黒のデュランダル”と書き殴る。
只野男志「真の名はデュランダル! 1万2千年前のムー大陸の戦士!」
只野男志「集え! 現代に転生し、我と共に戦う運命の戦士(ドゥーム・チャンピオン)たちよ!」
只野男志(決まったぁ! ・・・どうだ!?)
女子生徒「うわぁ・・・」
男子生徒「強烈・・・」

〇教室
  どん引きの生徒たち。
  しかし、涼やかな美少年、帝院令(みかどいん れい)と
  清楚な美少女、帝院霧乃(みかどいん きりの)は目配せをして、うなずきあう。
帝院令「ついに来たか。この時が」
帝院霧乃「ええ。お兄様」

〇大きな木のある校舎

〇教室
  只野は1人であんパンを食べていた。
  ちらりと、女子グループを見やる。

〇教室
女子生徒「・・・こっち見た!」
女子生徒「しっ! 無視よ、無視!」

〇教室
只野男志(・・・おかしい。なぜだ)
只野男志(カッコよすぎて、萎縮させちゃったかな? フフフ)
  そこに茶髪で垢抜けた格好の男子、有住盛(ありずみ さかる)が、にやにや笑いながら現れる。
有住盛「ちーっす! キミ、カックイイね!」
  横にいた有住の友人、宇土野衆(うどの しゅう)も爆笑している。
宇土野衆「ぎゃはは! 有住、勇者すぎんだろ! 本当に行ったし!」
只野男志(め、面倒なのが絡んできた!)
只野男志「わ・・・我に関わるな。去れ」
有住盛「あ? なんだって?」
只野男志「力なき者よ。我に関われば、死ぬぞ」
有住盛「死ぬ? やっべ。俺今脅されてる!? 殺害予告じゃん! 殺されるゥ~~!」
宇土野衆「ぎゃはは! おまわりさーん!」
  ガシッ
  有住が只野の胸ぐらを掴む。
有住盛「やってみろよ! 中二野郎!」
只野男志「よ、よせ。我に封じられし、漆黒の力を覚醒させたいのか!」
只野男志「・・・愚か者め!」
有住盛「ンだと! コラァ!」
  何を、くだらないことをしている

〇教室
  声が聞こえた方を見ると、教室の戸口に、令と霧乃が立っていた。
  二人の背後からは後光が差している。

〇教室
只野男志(・・・うわっ。すごい美男美女!)
有住盛「生徒会長! と副会長・・・霧乃さん」
  霧乃が冷たい視線で、有住を見やる。
帝院霧乃「見下げたものですね」
有住盛「き、霧乃さん・・・ぼ、僕は、ただ、彼と仲良くなろうと思って」
帝院霧乃「品性下劣なうえに、嘘つきですか。 有住くん。あなた、最低です」
有住盛「そんな・・・き、霧乃さん・・・」
只野男志「フッ。貴様の因果が招いた結果よ」
有住盛「!? ・・・この・・・っ!」
  有住がキッと只野を睨む。
  令が只野の側にやってくる。
帝院令「すこし、生徒会室までよろしいですか」
只野男志「・・・よかろう」
只野男志(・・・え? なに? 生徒会の、会長が・・・俺に? なんで!?)

〇学校の廊下

〇生徒会室
  生徒会室
  令と霧乃が只野に向かい合う。
只野男志(俺、なにされちゃうの? いきなり退学とか・・・?)
「デュランダル様!!」
  2人が一斉にひざまづいた。
只野男志(いきなり、なにっ!?)
帝院令「お久しゅうございます。 今生での名は、帝院令」
帝院令「デュランダルの四騎士。 豪炎の(ディ・フラメ)レーヴァテインです!」
帝院霧乃「同じく、帝院霧乃。 大地の(ディ・エアデ)ミストルティンです!」
帝院霧乃「デュランダル様! 再会の日をずっと、待ち焦がれておりました!」
只野男志(・・・? あ、ご同類ってこと!?)
只野男志「フッ・・・やはりそういうことか」
帝院令「やはり、察しておられましたか!」
只野男志(・・・でも、ちょっと待てよ!?)
只野男志(豪炎の(ディ・フラメ)レーヴァテインと、大地の(ディ・エアデ)ミストルティンだって!?)

〇黒
  黒い剣士の背後の、炎の剣を持つ騎士と、白い樹木の剣をもつ女騎士の姿。

〇生徒会室
只野男志(それって、俺が漆黒の書に書いたオリジナルの設定のはずだよね!?)
只野男志(この人たち、何で知ってるの!?)
帝院霧乃「あぁ。私の、デュランダル様・・・!」
帝院令「ミストルティン、不敬だぞ!」
帝院霧乃「はっ! 申し訳ありません、デュランダル様」
帝院霧乃「私はただの1人の騎士として、あなたの剣となると誓った身!」
帝院霧乃「身勝手な貴方への想いは心の奥底に封じると・・・!」
只野男志(そんな細かい設定まで!? まさか俺の鞄から、漆黒の書を盗んだのか!?)
  鞄の中を確認する。
  「漆黒の書」は、しっかりと入っている。
只野男志(・・・。ちゃんとあるな・・・)
只野男志「・・・よ、良いのだ。 我らは共に戦う運命の戦士」
只野男志「同志である。気にするな」
「・・・はいっ!」
只野男志「さて。我は多忙である。 この続きは明日にするとしよう」
只野男志「・・・さらばだ」

〇学生寮
  只野は足早に帰路についていた。
只野男志(あの2人、どこで漆黒の書の内容を・・・?)
  目の前に宇土野が現れる。
  その体からは黒いオーラが立ちのぼっている。
宇土野衆「・・・ギギ・・・ミツケタ・・・!」
只野男志「確か、クラスの宇土野・・・くん?」
宇土野衆「デュラ・・・ンダルゥゥッ!」
  黒いオーラが宇土野の全身を包む。
  オーラが晴れると、そこには黒い異形の人影が出現していた。
只野男志「えっ! なにこれ!? CG!?」
闇の眷属「シネェェエ~~ッ!」
  異形の人影が只野に襲いかかろうとした、その瞬間──。
  突如地面から幾本もの樹の杭が生えて、その身を貫く。
  さらに、飛来した火球が命中する。
闇の眷属「グワァアアア~~ッ!?」
只野男志(え? え? えええ~~っ!?)
  只野の前に令と霧乃が走りこんでくる。
  令の手には赤い剣。
  霧乃の手には白い樹木の剣が握られている。
帝院令「デュランダル様」
帝院令「この程度の相手、あなたの手を煩わせるまでもありません!」
帝院霧乃「ここは我らにお任せを!」
  2人はそう言って剣を構える。
  令の剣からは、激しく炎が噴き出ている。
只野男志(えーっ! あの剣、本当に燃えてる!?  すっげーメラメラしてるゥ!?)

次のエピソード:第1章第2節 『俺の中二設定が現実になっている件』

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