あの空を掴みたい!/帰ってきたあの2人(脚本)
〇大きい研究施設
セミの声が響くある夏の日、エンジェレンジャーの3人は自分たちの研究施設の前で待ち合わせた。
姫原愛奈「ごめーん、暑い中待たせちゃって。大丈夫?荷物は・・・大丈夫そうだね」
早島二見「問題ないわ。三菜も大丈夫そうだし」
光原三菜「私も大丈夫です。ではそろそろ行きましょうか」
姫原愛奈「ええ、行きましょう。二見さん、三菜さん」
早島二見「そうね。それと愛奈、もう私たちのことをさん付けしなくていいわよ。もう戦隊同士で親友だし」
光原三菜「そうですよ、愛奈。無理に改まったいい方しなくていいですよ」
姫原愛奈「へへっ、分かったわ。三菜、二見。さ、行こう!」
〇遊園地の全景
3人がやってきたのは、人通りの多い都会から少々離れた遊園地。
都会からはやや遠いが、親子連れでにぎわう場所である。カップルや同性グループでくる客も多い。
その中でエンジェレンジャーの3人は遊園地を一望できるレストエリアに来ていた。
姫原愛奈「ふう、いい眺めね~」
早島二見「そうよね~、こういうところを訪れるっていうのもあまりなかったから新鮮な感じがするわ」
光原三菜「私もこういうところを訪れたことがなかったのでいい機会ですね。ありがとうございます、愛奈」
姫原愛奈「喜んでもらえて何よりだわ。そうだ!今思ったんだけどさ、あの空に手を伸ばしたら届きそうじゃない?」
この愛奈の一言に反応して、3人は空に手を伸ばすと・・・
〇空
確かに手が届きそうなぐらいになっていた。
(!!この感覚・・・間違いない!)
決心をしたがごとく、こう言った。
「私たちはきっと、あの空を掴んでみせる!」
(・・・よし!)
と、決心したその直後──
姫原愛奈「あ、ちょっと席外すね」
早島二見「どう、三菜?気持ちいいよね、こういういい景色を見ると」
光原三菜「そうですね。あ、愛奈が戻ってきましたよ」
姫原愛奈「お待たせ、施設外での変身の実験のための場所が確保できたわ。行くよ」
「はい オッケー」
〇近未来の開発室
3人が来たのは遊園地から少し行ったところにある施設である。もちろん、いつもの研究施設とは別である。
そこには巨大モニターや大型ビジョンがドンと用意されていて、いつもの施設の外での変身テストにはもってこいの環境だ。
姫原愛奈「今日はいつもの施設の外での変身テストだけど、それに加えて1人でやれるエンジェルパワーのチャージ法もやってみましょう」
姫原愛奈「私が見本を見せるから見ててね!」
姫原愛奈「エンジェルブレス、セット!」
愛奈はエンジェルブレスを左腕に着けると腕を×字に交差させてコマンドを言った。
姫原愛奈「エンジェルパワー、オン!」
そういった後、愛奈は右腕→左腕の順に腕を伸ばすと両腕を翼のように動かした。そして数回動かした後チャージコマンドを言った。
姫原愛奈「エンジェルパワー、ブレイズアップ!」
姫原愛奈「ふう、こんな感じよ。二見、三菜、どう?イメージはついた?」
光原三菜「なるほど・・・そういう感じですね。分かりました、やってみましょう!」
早島二見「これさ、最後のフレーズは3人別々になるの?」
姫原愛奈「そうだよ。そこだけは気をつけてね」
早島二見「ということは最後のフレーズ、私の場合は『スノーアップ』で・・・」
光原三菜「私の場合は『トパーズアップ』となるわけですね」
姫原愛奈「そういうこと!よろしくね!」
早島二見「オッケー!やるよ、三菜!」
光原三菜「はい!」
「エンジェルブレス、セット!!」
「エンジェルパワー、オン!」
2人は愛奈が行ったモーションと同じモーションをした。そして・・・
早島二見「エンジェルパワー、スノーアップ!」
光原三菜「エンジェルパワー、トパーズアップ!」
早島二見「お、チャージできたみたいね」
光原三菜「ですね。良かった・・・」
姫原愛奈「よし、2人共チャージできたみたいね」
姫原愛奈「!そうだ、今回の変身はこういうのでやってみない?」
愛奈は今回の変身の仕方を説明した。
早島二見「へ~、そういうのあるんだ!ていうか、知らなかったよ、そのパターン」
姫原愛奈「2人と会う前、研究のために見ていた動画でそういうのがあったから、いつか3人やってみたいと思っていたの。どう?」
光原三菜「なるほど・・・やってみましょう!」
姫原愛奈「──行くよ!」
「ええ!」
3人は変身していない今の状態で名乗りをした。
姫原愛奈「燃え上がる炎の愛天使、エンジェルブレイズ、姫原愛奈!」
早島二見「降り積もる雪の愛天使、エンジェルスノー、早島二見!」
光原三菜「煌く宝石の愛天使、エンジェルトパーズ、光原三菜!」
姫原愛奈「私たちの心は熱く!」
早島二見「美しく!」
光原三菜「煌く!」
姫原愛奈「私たちの想いは・・・」
「天高く!!!」
姫原愛奈「ガールズ戦隊!」
「エンジェレンジャー!!!」
ここまで言った後その場でくるりと1回転し・・・
「エンジェライズアップ!!!」
「はぁっ!!!」
〇幻想
「クロースアウト!!!」
「ヘアカラーチェンジ!!!」
「コスチューム、オン!!!」
〇近未来の開発室
「エンジェレンジャー、変身完了!最高の愛をあなたに!」
エンジェルブレイズ「おお、うまくいったみたいだな!!」
エンジェルスノー「ようし、うまくいったわね!」
エンジェルトパーズ「はい!」
3人共見事にへんしんを成功させ、嬉しそうだ。その後、色々な調整等を行ったのは言うまでもない。
〇大きい研究施設
エンジェレンジャーが施設外での変身テストを終えて帰宅していたころ、彼女たちの本拠地である研究施設にとある人物がいた。
???「へぇ、ここが後輩たちの活動拠点としているところか・・・いいところにあるじゃん」
などと言っているのはこの女だ。
蜂ノ宮美月「にひひ、久々の再会だ・・・思い切った悪戯をしてやるか・・・戦隊といえばリョナ系かな?」
蜂ノ宮美月17歳、愛奈と共に戦隊ヒロイン研究をしていた先輩だが、今年から施設外研修等のため別の施設に入っていた。
ヒロイン名はスターワスプ。文字通り蜂がモチーフのヒロインである。
プログラミングの実力はエリート級で頼れる人物ではあるが後輩にはよく悪戯をしている問題児でもある。
蜂ノ宮美月「えっと、愛奈の研究室は・・・」
蜂ノ宮美月「お、あそこか!」
〇研究施設のオフィス
蜂ノ宮美月「さぁて、どこにどんなイタズラ仕掛けようかな〜?」
懐中電灯と自前のパソコンを持ち、イタズラの場所を探す蜂ノ宮。選んだ場所は・・・
蜂ノ宮美月「きーめたっ。ここにするか!」
そこは何も置かれていない空のスペース。彼女はそこへ向かうと壁にチップのような物を貼り付け、プログラムを入力した。
蜂ノ宮美月「拘束プログラム『磔』・・・インストール」
蜂ノ宮美月「にひひ・・・後輩たちがどんなリアクションするか・・・楽しみだなぁ!」
何を仕掛けたのかを解説しよう。
壁に大の字磔拘束の場所を3つ仕掛けたのだ。一見するとただの壁だが、見えない拘束台が埋まっているのだ。
蜂ノ宮美月「頃合いを見てこのスイッチを押せば・・・いいリアクションを楽しみにしてるよ、後輩」
蜂ノ宮美月「あ、すぐバレないように変色させてカモフラージュしておくか」
〇研究施設のオフィス
翌朝、何も知らないエンジェレンジャーの3人が来た。
姫原愛奈「ふう、昨日は2人共お疲れ様。どう?その後プログラムの調整は」
早島二見「おかげさまで順調よ。施設の外での変身、気持ちよかったな~。またやりたいね」
光原三菜「そうですね~。実は私、あの後自宅でも変身してみたんです。プログラムの調整を兼ねてですが。すごく捗りましたよ」
姫原愛奈「お~、いいじゃん!自宅でやるなんてなかなかね、三菜!」
姫原愛奈「あのさ、相談なんだけど・・・」
「どうぞ。 何?」
愛奈は、蜂ノ宮が昨夜悪戯トラップを仕掛けた場所を指さした。
姫原愛奈「あのスペース、どうする?」
早島二見「あ~、あそこか・・・確かにどうするかきめていなかったわね・・・」
光原三菜「荷物置き場とかにはできないでしょうか?」
3人は空きスペースへ行った。罠があるとも知らずに・・・
姫原愛奈「ここを荷物置き場ねぇ・・・どうだろう?二見はどうしたい?」
早島二見「ここさ、個人で変身テスト等をするところにできないかしら?」
姫原愛奈「あ、それいいじゃない?三菜、どう?」
光原三菜「それはいいアイデアですね。確かに荷物置き場にしては少々大きすぎですね」
姫原愛奈「よし、それで行こう!」
「はい! ええ!」
〇黒
蜂ノ宮美月「お、来た来た・・・今だ!ポチっとな!」
蜂ノ宮がトラップを作動させた!
〇研究施設のオフィス
姫原愛奈「じゃあ、そろそろ今日の予定の確認をしましょうか」
「はい! OK!」
と、スペースを出ようとしたその時──
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