読切(脚本)
〇市街地の交差点
5年前、この市道で『沢田えりな』21歳は何者かによって犯人に轢き殺されてしまいました。
目撃者もおらず、犯人は未だ逃走中です。
遺族や友人の方々は、今でも犯人に対する怒りを見せております。
〇白
──5年後──
〇コンビニ
小森翔「やっぱ、新しい車はサイコーだぜ」
新車を購入した小森翔は、納車されたピカピカの車に終始ご機嫌だった。
小森翔「この車にかなりお金使っちまったから、大事に乗んねーとな」
小森翔「ドライブレコーダーも取り付けたし、あの時みたいな事は起こさない様にしないと」
「よしっ、新車で軽く走ってくるか!」
ギアを入れ、俺はコンビニの駐車場を出た。
〇車内
「座り心地もいいし、何もかもが完璧だぜ」
「だって、車には相当こだわったもんな、 オプションとかも色々付けたし」
「もしもし?・・・えっ、今?」
「丁度、新車が来たからよぉ。軽く走ってた所だったぜ」
「何?今から見せに来いって?分かったよ。この俺の自慢の車見せてやるよ」
小森は通話を切り、スピードを上げた。
──その時
「『強い衝撃を検知しました。30秒後に録画を停止します』」
小森翔「ちっ、何が強い衝撃音だよ」
俺は舌打ちをし、再度ドライブレコーダーの録画を再開し始めた。
〇住宅地の坂道
友人とのドライブを終え、小森は自宅へ帰っていた。すると──
〇車内
「『強い衝撃を検知しました』」
朝と同じ場所で、ドライブレコーダーが鳴った。
〇市街地の交差点
車を止め、道路を見つめる──。
小森翔「別に何もねーじゃん」
俺は車に乗り、家路を急いだ。
〇黒
だが、次の日もそのまた次の日も、
ドライブレコーダーは同じ場所で
衝撃を検知し続ける──。
小森は一度、車屋に行きドライブレコーダーを見てもらった。
〇商業ビル
「・・・うーん、特に異常は無さそうですけどねぇ」
「大体、お客様これ取り付けたの最近ですよね?このドラレコも最新のものですし──」
「そんなに気になるなら、別のにします?もっと良いドラレコありますよ?」
「いや、大丈夫。今付けてるドラレコも高いやつだから」
「そうですか。じゃあまた、何かありましたらお越し下さい」
俺は車屋を後にした。
〇黒
〇市街地の交差点
帰り道、小森は何となく現象が起きる市道に来ていた。
アスファルトを足で確認する。
小森翔「平坦な道にしか見えねぇけどな・・・」
そう呟くと、俺はこの場から車で去って行った。
〇居酒屋のカウンター
そして──半年後の6月14日 AM6時
〇街中の道路
小森は前日、友人と酒を飲み、明け方車で家に帰っていた。
いつも通り、慣れた道を眠気とアルコールが入っていた状態で運転していた。
〇市街地の交差点
例の市道に差し掛かる。
「・・・ん?あそこにあんな大きな盛り上がりあったっけ──?」
虚ろな目で、その盛り上がりを見付け加速する。
その時──
その盛り上がりが、段々倒れた人の形へと変わっていった。
「やべっ・・・!!」
俺は慌てて、ハンドルの向きを変えた。
「『強い衝撃を検知しました。30秒後に録画を停止します』」
〇市街地の交差点
──明け方、こちらの市道で交通事故が
発生しました。
運転していた男性は、搬送先の病院で死亡が確認されています──。