カニカマ娘とラーメン大将(脚本)
〇SHIBUYA109
Twitter画面
アイコンがハーフモデルの顔写真のEMIのアカウント
EMIのツイート
『英語がちょっと喋れるってだけで、内定がバンバン決まっちゃった(笑)。日本の就活ちょろすぎ~』
EMIへのリプライ①
『いいなあ』
EMIのリプライ②
『就活舐めるな!!』
ラーメン大将のリプライ
『何がちょろいだよ。就活舐めるなよ』
ラーメン大将は無精ひげのラーメン屋店長の顔写真のアイコンだ。
EMIのリプライ
『はあ? ラーメン屋のオジサンが何の用ですか? 関係ないじゃないですか』
ラーメン大将のリプライ
『うるさい!! 俺も就活生なんだよ!!』
〇渋谷駅前
笹塚瑠美(何か変な人に絡まれちゃった・・・・・・)
笹塚瑠美(私の名前は笹塚瑠美。 22歳の女子大生で就活生だ。 私はカニカマだ)
笹塚瑠美(そう、本当はスケトウダラでカニではない・・・)
笹塚瑠美(渋谷を中心として活躍するモデルEMIとして、リア充ライフをツイートしているけど・・・)
笹塚瑠美(本当の私は地味で陰キャ・・・)
笹塚瑠美(EMIみたいなリア充ライフを満喫したい・・・)
〇ラーメン屋
高井戸淳「何だ? このEMIって女」
高井戸淳(僕の名前は高井戸淳。 22歳の大学生で就活中)
高井戸淳(そんな僕だがツイッターではもう一つの顔がある。それは・・・・・・)
ラーメン大将のツイート
『味噌丸渋谷店 星1.5』
『札幌本店の濃厚でコクのあるダシが全く再現できていない。クラーク博士に土下座して謝れ』
高井戸淳(ラーメン大将としてのラーメン評論家としての顔だ)
高井戸淳(歯に物を着せぬラーメン大将のツイートは一部ラーメンマニアに好評)
〇渋谷ヒカリエ
高井戸淳「ここが海江田商事だ」
高井戸淳「面接官にズバズバ言ってやる」
〇小さい会議室
男子学生「大学時代はバスケ部のキャプテンとしてチームをまとめ上げ、関東大会優勝に貢献しました」
女子学生「震災ボランティアを通じて、御社が社会福祉に熱心な企業だということを知りました。是非、御社の下で働かして下さい」
高井戸淳「ええと・・・・・・。 昔から海外を舞台に仕事をしたいなって思ってまして・・・・・・」
面接官1「でも、それはうちだけじゃなくて 他の商社でもそうだよね。何でうちなの?」
高井戸淳「あの・・・・・・。え~と・・・・・・。それは・・・・・・」
面接官2「言えないの?」
面接官2「学生時代に力を入れたことは?」
高井戸淳「ラ、ラーメン屋巡りですかね・・・・・・」
面接官1「・・・」
〇スペイン坂
EMIのツイート
『スペイン坂のお洒落なカフェでモデルの彼氏とデート』
〇ファミリーレストランの店内
笹塚瑠美(大噓。 本当はチェーン店のファミレスのドリンクバー)
笹塚瑠美「で、何?」
柴崎和弘「別れてくれない?」
笹塚瑠美「何で? 私、何か悪いことした?」
柴崎和弘「なんていうかな・・・・・・。 ぶっちゃけると瑠美って陰キャじゃん。 一緒にいても楽しくないんだよね」
柴崎和弘「それに・・・その・・・ 見ちゃったんだよ・・・」
笹塚瑠美「見たって?」
柴崎和弘「瑠美のツイート」
笹塚瑠美「えっ!? どうやって? 指紋認証のロックかけているのに・・・」
柴崎和弘「瑠美が寝ている間に・・・」
笹塚瑠美「勝手に指紋認証したってわけ!? 信じられない!!」
柴崎和弘「だって、俺と一緒にいるときもずっと スマホをいじっているから気になるじゃん」
柴崎和弘「それに信じられないのは瑠美のツイートの 内容の方だよ」
柴崎和弘「誰が『モデルの彼』なんだよ?」
柴崎和弘「そりゃあ、中学生のときに近所の床屋のカットモデルをやっていたけどさあ・・・」
柴崎和弘「あと他にも『家が松濤だ』とか」
柴崎和弘「『読モ仲間のパーティーに行きました』とか」
柴崎和弘「よくこんな嘘つけるなって思うツイートばかり」
柴崎和弘「その中でも一番笑ったのが 『私のパパってジェイソン・ステイサムに似て超イケメンなの』って奴・・・」
柴崎和弘「瑠美の父親ってあの頭の薄い・・・」
笹塚瑠美「そんなに言うんだったら、別れあげるわよ」
立ち上がり、たち去ろうとする瑠美。
柴崎和弘「ちょっと、待てよ!!」
笹塚瑠美「柴崎君・・・」
柴崎和弘「ドリンクバー代・・・」
笹塚瑠美「えっ!?」
柴崎和弘「瑠美の分のドリンクバー代貰ってない・・・」
笹塚瑠美「振った女のドリンクバー代くらい自分で払えよ!!」
瑠美、財布から取り出したドリンクバ
ー代の280円を柴崎に投げつける。
〇ラーメン屋のカウンター
ラーメン屋『豚三郎 渋谷店』
EMIのツイート
『彼氏と別れた。「別れたい」と言ったら、泣いてやがんの』
EMIのツイート
『元カレから何度も何度も電話で復縁の電話がかかってくる。でもシカト』
高井戸淳「本当に酷い女だなあ・・・」
ラーメン大将のリプライ
『お前何様?』
「へい、アブラカラメ」
高井戸の目の前にラーメン。
高井戸淳「いただきます・・・」
高井戸の隣の席から瑠美の泣き声
「へい、ニンニクヤサイマシマシアブラ カラメ」
瑠美の前に大量にトッピングされたラ
ーメン
笹塚瑠美「えええええん・・・」
高井戸淳「大丈夫ですか?」
高井戸、ポケットからハンカチを取り
だし、瑠美に手渡す。
笹塚瑠美「あ、ありがとうございます・・・」
高井戸淳「あれですね・・・。人生上手くいかないですよね」
高井戸淳「僕も内定一社も取れてないですけど・・・」
高井戸淳「あんまり落ち込まない方がいいですよ」
笹塚瑠美「そうですね」
EMIのリプライ
『私の事はどうでもいいじゃない。ラーメンでも食べておけば』
ラーメン大将のリプライ
『「ラーメンでも」の「でも」って何だよ!! ラーメン馬鹿にするな!!』
EMIのリプライ
『あら、ごめんなさい。私、ラーメン食べたことないんですよ。モデルだから炭水化物NGなんで』
ラーメン大将のリプライ
『じゃあ、ヤギみたいに一生、草でも食ってろ!! メ~~~』
これってやってる本人は楽しそうですが、なんとなくそういったアカウントはわかってしまいますよね。笑
こういった人達が思ってるほど、ネットで匿名性はないような気がします。
でも、一時の現実逃避でストレス解消になるなら…と思います。
こういう人って、意外と身近にたくさんいそうな気がします。笑
でもストレス発散、現実逃避のためならまあいいんじゃないかなあ。面白かったです。
前から言うネット弁慶ってやつもそうですよね。
攻撃されない、自分がどこの誰だかもわからない、だからこそ強気になれる…。
自分の理想の姿を…周りには見栄を張りたいものです。