第4話 校内鬼ごっこ~開戦~(脚本)
〇教室
放送の声「__時間となりました」
放送の声「みなさんは各教室ごとにある教卓の前に集まってください。一分後、ゲームを開始します」
神埼 千春(かんざき ちはる)「教卓・・・?」
里河 渼白(りかわ みしろ)「そっか~、千春は初めてだから分かんないよね」
里河 渼白(りかわ みしろ)「あたしたち以外にも、違う教室に連れて来られてる人たちがいてね__」
里河 渼白(りかわ みしろ)「ゲームってのは、教室ごと、つまりクラスごとで争うって意味なの」
神埼 千春(かんざき ちはる)「えっ__」
里河 渼白(りかわ みしろ)「そのための作戦!大丈夫、千春ならできる!あたしたちなら、勝てるから!」
神埼 千春(かんざき ちはる)「里河さん・・・」
堺 将𠮷(さかい まさよし)「時間みたいだ。みんな、教卓を囲んで手を」
桜井 えりか(さくらい えりか)「うん!」
里河 渼白(りかわ みしろ)「あたしたちも」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「うん🎵」
里河 渼白(りかわ みしろ)「千春、はいっ」
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・っ、うん!」
神埼 千春(かんざき ちはる)(あったかい手・・・。なんだか、落ち着けるな・・・)
里河 渼白(りかわ みしろ)「今日も目指すは~」
「完全勝利~!!」
〇草原
神埼 千春(かんざき ちはる)「ん・・・」
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・って、ここ、どこ?」
「__はる・・・千春、聞こえる?」
神埼 千春(かんざき ちはる)「えっ、だっ、誰!? それに、どこから声が聞こえて・・・?」
里河 渼白の声「あたしだよ!ゲーム内に転移したから、みんなに連絡してるの!」
神埼 千春(かんざき ちはる)「り、里河、さん・・・?」
神埼 千春(かんざき ちはる)(これって、聞いてもいい感じだよね)
神埼 千春(かんざき ちはる)「あの、校内鬼ごっこなのに、なんでわたしたち外にいるのかな・・・?」
里河 渼白の声「うーん、なんで、っていうのは分からないけど、あたしたちを教室に連れてきた連中は__」
里河 渼白の声「他の学校内を知られたくないんじゃない? これも、校内だけど幻影か何かで草原にしてる、みたいな」
里河 渼白の声「これまでのゲームも、全部場所の転移があって、あたしも校内を見たことはないから」
神埼 千春(かんざき ちはる)(そっか、そういう意図もあるんだ・・・ なら、この草原を調べれば、何か元の世界に戻れる手がかりが見つかる・・・?)
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・・・・」
里河 渼白の声「千春、あんまり連中のことに踏み込んじゃだめだよ。あいつら、あたしたちのことなんていつでもどうにでもできるんだから」
神埼 千春(かんざき ちはる)「えっ・・・? 里河さん、それってどういう__」
アナウンス「もうすぐゲームが始まります。 鬼は赤、逃げる側は青のバンダナが腕に出現しますので、自分がどちらか確かめてください」
里河 渼白の声「じゃ、転移中に練った作戦通りにね! 同じ色のバンダナをしてても、他教室の人なら油断しないこと!」
里河 渼白の声「それと、この会話は傍受されるから、ゲーム中はあんまり使えないから! 千春、みんなも!お互い頑張ろう!」
神埼 千春(かんざき ちはる)「里河さん・・・!」
プツン。
神埼 千春(かんざき ちはる)「切れちゃった・・・」
神埼 千春(かんざき ちはる)(連中はわたしたちをどうにでもできる、ってどういうことだったんだろう・・・?)
神埼 千春(かんざき ちはる)(でも__)
神埼 千春(かんざき ちはる)「今はそんなこと気にせず、精一杯頑張らなきゃ!せっかく堺くんが考えてくれた作戦があるんだから!」
神埼 千春(かんざき ちはる)(バンダナが奪われたら脱落、 タッチされたらバンダナが入れ替わる)
神埼 千春(かんざき ちはる)(最終的な鬼と逃げる側の数、多い方が勝ちで__)
神埼 千春(かんざき ちはる)(最初の振り分け関係なく、最後に自分が身に付けてるバンダナの色のチームが自分の所属)
神埼 千春(かんざき ちはる)(つまり、クラス内でバンダナの交換が可能)
神埼 千春(かんざき ちはる)(でも、近づいてきてる相手はタッチか奪おうとしてるかの判断が付かないから難しいよね)
神埼 千春(かんざき ちはる)(・・・わたしたちは、出会った相手からバンダナを奪って、全員逃げる側__ つまり、青色に揃えるって作戦)
神埼 千春(かんざき ちはる)「てことはまず、青の人を探さないと・・・」
神埼 千春(かんざき ちはる)「わたし、赤__ 鬼になっちゃったみたいだから」
〇草原
里河 渼白(りかわ みしろ)「千春、大丈夫かな・・・?」
里河 渼白(りかわ みしろ)「今回に限って、みんながバラバラになる種目なんて・・・。 初回としては、キツくなるかもね」
里河 渼白(りかわ みしろ)「いつもはこんなことないのに。 初回の人がいるなら、協力プレイが基本じゃないの?」
里河 渼白(りかわ みしろ)(・・・”念話”を自分から使えるのは、最初にあの教室に来たあたしだけ。 千春には開始後は連絡できない、って言ったけど__)
里河 渼白(りかわ みしろ)(なるべく戦況を早く理解して、伝えながらみんなをサポートできるようにしなきゃ)
里河 渼白(りかわ みしろ)(・・・っ、誰か近くにいる)
???「・・・・・・」
里河 渼白(りかわ みしろ)(あの子は確か・・・何回かゲームで会ったことがある子)
里河 渼白(りかわ みしろ)(ゆみ、って呼ばれてたっけ。 やっぱりどの教室の子も、違う場所に振り分けられてるんだ)
雁 愛美(かり ゆみ)「一体どうしたら・・・? みんな、どこに行ってしまったの・・・」
里河 渼白(りかわ みしろ)(・・・作戦があっても、みんなが離れる可能性を視野に入れてなかったら、そううまく動ける子もいないか)
里河 渼白(りかわ みしろ)(ゆみさんはあたしと同じ青・・・。 クラスの誰かが赤だったら渡せるし、勝利のためにも、ここは奪うのが最適かも)
里河 渼白(りかわ みしろ)(ゆみさんには申し訳ないけど)
里河 渼白(りかわ みしろ)(油断してる隙に掠め取れるかな)
里河 渼白(りかわ みしろ)「ゆみさん、久しぶりだね!」
雁 愛美(かり ゆみ)「りっ、里河さん・・・!?」
雁 愛美(かり ゆみ)「お久しぶりです・・・! 誰かと会えてよかった・・・」
雁 愛美(かり ゆみ)「今回のゲーム、教室のチームで動けないなんて、過酷ですよね」
里河 渼白(りかわ みしろ)「・・・そうだね~、協力しようにもできないのが嫌だよね」
里河 渼白(りかわ みしろ)「あたしもさっきまで一人だったから、ゆみさんに会えて嬉しいよ!」
雁 愛美(かり ゆみ)「・・・・・・」
里河 渼白(りかわ みしろ)(ゆみさん・・・?)
里河 渼白(りかわ みしろ)(・・・今のうちに__)
雁 愛美(かり ゆみ)「あの・・・!」
雁 愛美(かり ゆみ)「里河さん・・・、 里河さんが差し支えなければ、ですが、どちらかのクラスメイトが見つかるまで、一緒に行動しませんか?」
里河 渼白(りかわ みしろ)(そんな提案は来るかもって思ってたけど。 でも、そうだよね)
里河 渼白(りかわ みしろ)(確かに、今敵対してバンダナを奪ったら、次のゲームからは協力関係が築けなくなる)
里河 渼白(りかわ みしろ)(個人戦以外にも、二つ以上の教室で力を合わせて挑むゲームもあるし・・・)
里河 渼白(りかわ みしろ)(信頼関係を壊すような真似は今はしなくていいか。 もうちょっと様子を見たいかも)
雁 愛美(かり ゆみ)「どう、でしょうか・・・」
里河 渼白(りかわ みしろ)「うん!いいと思う! あたしも協力したいって思ってたから」
雁 愛美(かり ゆみ)「里河さん・・・! ありがとうございます!」
里河 渼白(りかわ みしろ)「条件としては、どちらかのクラスメイトを見つけたら、片方は即座にその場を立ち去る」
里河 渼白(りかわ みしろ)「相手のクラスメイトに攻撃を加えるのも、挑発するのもなし。一度別れた後に敵対するのはOK、ってことでいい?」
雁 愛美(かり ゆみ)「・・・っ、はい。 それなら、私も異論ありません」
雁 愛美(かり ゆみ)(里河さん、すごいな・・・。 どちらにとっても不利にならない条件を即座に思い付くなんて)
里河 渼白(りかわ みしろ)(これで相手の信頼は勝ち取れた、かな? 一応敵ってことに変わりないから、警戒は怠らないように、千春たちを見つけにいかなきゃ)
里河 渼白(りかわ みしろ)(違うとは思うけど、ここで異なるクラスの誰かと協力して、寝首をかこうって魂胆だったら、結構厄介だからね)
里河 渼白(りかわ みしろ)(それに、今回のゲームは、どの教室がどう動いているかが分かりづらい)
里河 渼白(りかわ みしろ)(もしかしたら、教室の人が全員集まれないようになってるかもしれない)
里河 渼白(りかわ みしろ)(そうなってしまっていたときの対策としても、ゆみさんと協力するのは悪くない)
雁 愛美(かり ゆみ)「里河さん・・・?」
里河 渼白(りかわ みしろ)「あっ、ごめんね! ちょっと考え事してただけ。 このゲームの意図するところはなんだろう、って」
雁 愛美(かり ゆみ)「そうだったんですね」
雁 愛美(かり ゆみ)「里河さん」
雁 愛美(かり ゆみ)「・・・遠くから、複数の足音が聞こえます。 茂みに隠れて様子を見ましょう」
里河 渼白(りかわ みしろ)「・・・うん、わかった」
里河 渼白(りかわ みしろ)(この戦い、どんな形になっても、絶対クラス全員で勝利する・・・!)