読切(脚本)
〇裁きの門
ようこそ、「魄」の世界へ
今日も「魄」の世界は血と呪いと絶望に満ちている・・・・・・のかと思いきや
今日はホワイトデー!!
バレンタインデーに何も渡していない蓮次くんには関係のないイベントのはず・・・なんだけど、
なぜか次々とプレゼントを渡される蓮次くん
蓮次(れんじ)「え?」
果たして無事にこのイベントを乗り越えることができるのか!?
蓮次(れんじ)「え?何?」
〇古めかしい和室
耀の場合
耀(よう)「蓮次様」
蓮次(れんじ)「耀?」
耀(よう)「ホワイトデーなので・・・これを」
蓮次(れんじ)「(ホワイトデー??)」
耀が差し出してきたのは、黒くてドロドロした液体が入った瓶だった。
蓮次(れんじ)「これ、なんだ?」
耀(よう)「私が作りました」
蓮次(れんじ)「(完全に毒薬の見た目・・・・・・)」
耀(よう)「ぜひ飲んでください」
蓮次(れんじ)「・・・これ、ほんとに飲むの?」
耀(よう)「もちろんです」
耀の目が、鋭さを増した。
蓮次(れんじ)「(圧がすごい・・・)」
耀(よう)「さあ、蓮次様」
蓮次は意を決して、それを飲んだ。
蓮次(れんじ)「――!!?」
ゴォォォォォォォォ!!!
蓮次(れんじ)「あ゛あああああ!!!」
蓮次(れんじ)「の、喉が!!・・・焼けて・・・があ゛あ゛っ」
耀(よう)「あ、少し唐辛子を入れすぎたかもしれません」
蓮次(れんじ)「(・・・は!?)」
蓮次(れんじ)「(少しどころじゃないだろ!!)」
蓮次(れんじ)「・・・・・・これ、どういうつもr・・・かはっ!!」
耀(よう)「蓮次様に、元気になっていただきたく」
蓮次(れんじ)「いや、死ぬわ!!」
〇岩山
烈炎の場合
烈炎「よう!蓮次!」
蓮次(れんじ)「(今度は何だ・・・)」
烈炎「これやるぜ!」
目の前に置かれたのは
丸焼きのイノシシ。
蓮次(れんじ)「・・・なんだこれ」
烈炎「イノシシだ!」
蓮次(れんじ)「見れば分かる!」
烈炎「そう怒んなって。バレタインのお返しだ!さぁ食え!」
蓮次(れんじ)「いらない!」
蓮次(れんじ)「それに、俺はバレタインに何もしてないから!!」
蓮次(れんじ)「(そもそも、バレタインって何だ!!)」
烈炎「細けぇことは気にすんなって! ホワイトデーだからな!!」
蓮次(れんじ)「(だから、ホワイトデーって何!?)」
烈炎「よし、分かった」
蓮次(れんじ)「!?」
烈炎「俺が食わせてやるよ!」
蓮次は烈炎の風の術で飛ばされ、岩にぶつかる。
蓮次(れんじ)「っ!!」
痛みで意識が飛びそうになる蓮次。
気がつくと、蔦で拘束されていた。
蓮次(れんじ)「は!?」
烈炎がイノシシを持って蓮次に近づく。
蓮次(れんじ)「馬鹿!やめろ!」
蓮次(れんじ)「俺は肉は食わない!!」
烈炎「食わねぇから毎度毎度倒れるんだろうが!!(ニヤッ)」
蓮次(れんじ)「やめろぉぉぉ!!」
蓮次(れんじ)「ん゛ん゛!!・・・っ!!」
苦しむ蓮次。
烈炎が蓮次の口にイノシシの肉を押し込み続ける。
だが、一向に飲み込む気配がない。
烈炎は諦めた。
蓮次(れんじ)「かはっ!!!」
蓮次は血を吐き、気絶した。
〇岩の洞窟
黒訝の場合
黒訝(くろが)「蓮次!!!」
蓮次(れんじ)「(・・・嫌な予感)」
黒訝(くろが)「ほら・・・」
蓮次(れんじ)「(え?)」
黒訝が差し出したのは・・・
黒い羽根。
蓮次(れんじ)「これ、まさか、お前の・・・」
黒訝(くろが)「ああ」
蓮次(れんじ)「(羽根って。これ渡していいやつなのか?)」
黒訝(くろが)「守りになる」
蓮次(れんじ)「だけど・・・」
黒訝(くろが)「・・・嫌なのか?」
蓮次(れんじ)「嫌・・・とかじゃなくて・・・」
黒訝(くろが)「蓮次・・・」
蓮次(れんじ)「・・・ありがとう」
黒訝(くろが)「調子に乗んなよ!!」
蓮次(れんじ)「(え?怒るの?そんな雰囲気じゃなかったよね??え?)」
黒訝(くろが)「ふんっ」
蓮次(れんじ)「(・・・情緒不安定か?)」
〇屋敷の大広間
蓮次(れんじ)「ふぅ・・・。今日は一体、何なんだ」
朱炎の場合
朱炎(しゅえん)「・・・蓮次」
蓮次(れんじ)「!?」
蓮次(れんじ)「・・・まさか」
朱炎(しゅえん)「受け取れ」
蓮次(れんじ)「・・・えっと」
蓮次(れんじ)「(・・・ちょっと待て)」
蓮次(れんじ)「(いらないとか言えないやつ!!)」
朱炎が差し出したのは
真っ黒な箱。
蓮次(れんじ)「(・・・絶対、なんか、やばいやつ)」
朱炎(しゅえん)「開けろ」
蓮次は恐る恐る、箱を開けた。
蓮次(れんじ)「!?」
蓮次(れんじ)「(これは・・・)」
中には刀が入っていた。
朱炎(しゅえん)「・・・守り刀だ」
蓮次の胸に、温かなものが湧き上がってくる。
朱炎(しゅえん)「持っておけばお前を守る」
蓮次(れんじ)「何から・・・」
朱炎(しゅえん)「・・・私からだ」
蓮次(れんじ)「お前かよ!!!!」
朱炎(しゅえん)「・・・蓮次」
蓮次(れんじ)「(あ、これ、やばいやつ・・・)」
朱炎は一瞬にして蓮次を捕らえた。
そして、いつものように・・・
鬼の力を、蓮次の胸に流し込む。
蓮次(れんじ)「待っ!!・・・ちょっ!!」
蓮次(れんじ)「ああああああっ!!!!!!」
蓮次は気絶した。
刀は役に立たなかった。