バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

S2 #17話 #42話(脚本)

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〇黒

〇西洋風の部屋
テオフィル・ベフトン「あなたの身体に刻まれた呪いのことです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「呪いですって?」
テオフィル・ベフトン「私は、1年ほど前、スタン殿下からリアリナ様が狙われていることを伺いました」

〇黒
  1年程前──

〇西洋の城

〇謁見の間
テオフィル・ベフトン「テオフィル・べフトンが、殿下にご挨拶申し上げます」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「今日呼び出したのは、リアリナのことだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「聖女が国に現れてからというもの、聖女派と呼ばれる異端教徒が増えつつある」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「聖女を国母に置き、この国における教皇の力を強めるつもりのようだ」
テオフィル・ベフトン「聖女様を、国母にですか?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「国母になれば、民が宗教に傾倒し、教皇の力が強まるのは目に見えている」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「政治と宗教のパワーバランスが崩れれば、国の秩序が揺らぎかねない」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「異端教徒は宗教の色を濃くするために、」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「聖女を利用し、聖女の力を広めようとしている」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「あろうことか、聖女と私を結婚させようという動きまであるという」
テオフィル・ベフトン「しかし、殿下の婚約者はリアリナ様でございます」
テオフィル・ベフトン「グレイ侯爵家を差し置いて、聖女との結婚など、絵空事ではございませんか」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうでもないのだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ブルヴェルト家の3女が先月、病死したのを知っているか?」

〇墓地
テオフィル・ベフトン「確か流行病だったかと」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「何者かに、悪魔の果実を食べさせられたのだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「肉体を悪魔に変えるという恐ろしい毒だ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ブルヴェルト家の名誉にかけて、 死因は伏せられた」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「だが、何者かが確実に毒を盛ったのだ」
テオフィル・ベフトン「なんという・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナとの婚約が破断になった時の」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「次の婚約者候補として名が挙がったばかりに狙われたのだと、私は思っている」
テオフィル・ベフトン「では、リアリナ様も危険であると?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「既に何者かが接触しているかもしれない」

〇謁見の間
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どんな手を使ってくるのか、 私にも予想ができない」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナを守ってほしい」
テオフィル・ベフトン「このテオフィル、 身命を賭してお守りいたします」

〇立派な洋館

〇華やかな裏庭
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ、どこに行っていたの?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ちょうどよかった。 さっきね、司祭様がいらして、お茶菓子をくださったのよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「一緒に食べましょう?」
テオフィル・ベフトン「いけません! 人からもらったものを簡単に口になさらないでください」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あーあ。せっかくいただいたのに」
テオフィル・ベフトン「・・・・・・」

〇貴族の部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「ねえテオ。最近リュカが冷たいの」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この前も一緒に買い物に行きましょうと、誘ったのに断られたのよ」
テオフィル・ベフトン「リュカ様もお年頃でございますからね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうだとしても、最近はいつも教会に入り浸っていて相手にしてくれないのよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「今までは、姉様、姉様ーって、いっつも私の後ろについて歩いてきたのに!!」
テオフィル・ベフトン「そういう時は、私をお呼びください。 いつでも、どこでもご一緒いたします」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうね・・・。考えておくわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ねえ、テオ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「手を握ってて。ここ最近、酷い怖い夢ばかり見るの」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私、夢の中で何度も殺されるのよ。 すごく怖くて陰惨な夢・・・」
テオフィル・ベフトン「大丈夫です。 テオがずっと握っていてあげますので」
リアリナ・シャルルド・グレイ「眠っても、ずっとよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ずっと・・・離さないで」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・ZZZ」
テオフィル・ベフトン「・・・離しません。絶対に」
  時間がない
  このままでは、リアリナ様も同じ目に
  なんとしても、守らなければ

〇黒

〇神殿の門

〇けばけばしい部屋
セミラミス「おや、若い客人だね」
セミラミス「綺麗な顔をしているというのに、女に不自由しているのかい?」
テオフィル・ベフトン「私はテオフィル・ベフトン。 グレイ侯爵家の従者だ」
テオフィル・ベフトン「そなたに伺いたいことがあり、参った」
セミラミス「こういう場所では、名乗らずに楽しむものだぞ、テオフィル卿」
セミラミス「それで私に何を尋ねに来たのだ?」
テオフィル・ベフトン「“月の涙”の効能についてだ」
テオフィル・ベフトン「ひと粒飲めば、どんな屈強な魂の持ち主であろうとたちまち快楽の渦へ堕ち、」
テオフィル・ベフトン「ふた粒飲めば三日三晩、淫夢に溺れ、」
テオフィル・ベフトン「3粒飲めば、十月十日、淫魔が舞い降りる」
テオフィル・ベフトン「ただし、一度に4粒を超えて飲んではならない」
テオフィル・ベフトン「飲めば、淫魔に心臓を支配され、 彼らの道化となる」
テオフィル・ベフトン「この話は真実か?」
セミラミス「ああそうだ」
セミラミス「淫魔の作った薬には、強力な契約が発生する」
セミラミス「淫魔との契約を薬を飲んだ人間と締結するのだ。逃れる術はない」
テオフィル・ベフトン「その契約は悪魔の毒と、どちらが強い?」
セミラミス「どちらが強いか?」
セミラミス「悪魔が作る毒に強さは関係がない」
セミラミス「先に飲んだ毒が、そのものの肉体を支配する」
テオフィル・ベフトン「先に飲んだ毒が支配する?」
セミラミス「悪魔の毒も所詮は契約だ」
セミラミス「誰かと契約していたら、後から身体に入ってきた契約は無効ってことさ」
テオフィル・ベフトン「それなら! 先に月の涙を口にしておけば、他の悪魔の毒は効かないのか?」
セミラミス「そうだ」
セミラミス「貴様は淫魔の道化になりたいのか?」
テオフィル・ベフトン「その淫魔の道化とは、一体どうなるのか詳しく聞かせて欲しい」
セミラミス「フハハ! そんなことを真面目に尋ねられたのは初めてだ」
セミラミス「大体の人間は、刺激が足りずに、狂ってから心臓を差し出すものを」
セミラミス「お前は最初から4粒飲もうとしているのか?」
セミラミス「自殺したいのなら、やめたほうがいい」
セミラミス「道化になれば、永遠に死ぬことは許されぬ」
セミラミス「“無限の時”のはざまで、苦痛と快楽を味わい続けて、生きるのだ」
テオフィル・ベフトン「それは死なないということか?」
セミラミス「死なないのではない。死ねないのだ」
セミラミス「そいつは淫魔に心臓を差し出した時から」
セミラミス「オモチャになる運命だからな」
セミラミス「狂おうが、死にたいと懇願しようが関係ない。何度も同じ時間を繰り返す」
セミラミス「それが淫魔に心臓を差し出したものの運命である」

〇市場
  私は淫魔から薬を受け取り、
  リアリナ様に気づかれずに毒を盛る準備をしました

〇西洋の市場
テオフィル・ベフトン「卵と牛乳をください」

〇立派な洋館

〇広い厨房
テオフィル・ベフトン「街で買ってきました」
テオフィル・ベフトン「この材料でお菓子を作りたいのですが」
テオフィル・ベフトン「何を作ればいいでしょう?」
ルネ「でしたら、手作りクッキーはいかがでしょう?」
ルネ「お嬢様に手作りお菓子なんて、素敵なサプライズですね」
テオフィル・ベフトン「私からというのは伏せてください」
テオフィル・ベフトン「少々恥ずかしいですから」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様が美味しく召し上がる姿が見れるだけで十分ですので」
ルネ「わかりました! ではこのことは、内緒にいたしますね」
ルネ「その代わり、お嬢様が王宮へと嫁がれることになった暁には」
ルネ「私をお嬢様つきのメイドとして推していただけますか」
テオフィル・ベフトン「そういえば、ルネは未婚でしたね」
ルネ「王宮の護衛係はどの殿方も魅惑的な筋肉を」
ルネ「いえ、素晴らしい殿方ばかりだと伺っております」
ルネ「私もそろそろ嫁ぎ先を探したく存じます」
テオフィル・ベフトン「ルネのお眼鏡にかなう男性がいるかはわかりませんが、私からも推薦いたしましょう」
ルネ「可能でしたら上腕二頭筋と、三角筋が、こうもりっとなってるのが理想でして、大胸筋と大臀筋が動かせるというのも!!」

〇華やかな裏庭
リアリナ・シャルルド・グレイ「あら。今日は新しくできたパン屋で買ったスコーンのはずよね」
テオフィル・ベフトン「その予定でしたが、あのスコーンは痛んでおりましたので、こちらに」
リアリナ・シャルルド・グレイ「まあいいわ。クッキーも美味しそう!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・今日のクッキーはいつものと風味が違うのね?」
ルネ「香り付けに少々シナモンを加えてみました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうなのね。とっても美味しいわ」
テオフィル・ベフトン「紅茶用のレモンがありませんね」
ルネ「すぐお持ちいたします」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・美味しい、けど、何かしら・・頭が」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・テオ・・体が・・・・・・し」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・うう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・・・・うっ・・・」
テオフィル・ベフトン「申し訳ございません。リアリナ様」
テオフィル・ベフトン「これしかあなたを守る術がないのです」

〇黒

〇西洋風の部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「つまり私は、”月の涙”入りクッキーを食べて、」
リアリナ・シャルルド・グレイ「淫魔に心臓を奪われたってわけ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「じゃあ、私が何度もループしたのは」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオのせいだったの?」
テオフィル・ベフトン「はい。私がリアリナ様の心臓を淫魔に差し出したのです」

〇黒
  ──

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