プロフェティック・ドリーム

坂道月兎

#18 早乙女失踪(脚本)

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〇シックなリビング
  家政婦の須藤さんが、俺たちを家に上げて説明してくれた。
須藤茂子「最近、お友だちができたからか楽しそうにしていることが増えて・・・」
須藤茂子「・・・私も嬉しく思っていたところなんですけど」
八神直志「いつからいなくなったんですか?」
須藤茂子「昨日の夕方に塾に出かけて、そのまま帰ってきていないんです」
須藤茂子「坊ちゃんが外泊することなんて今までなかったのに」
百瀬涼平「連絡もないんですか?」
須藤茂子「ええ。旦那様は放っておけというんですが」
  須藤さんは本当に早乙女を心配しているようで、落ち着かない様子で時計をチラチラとみている。
八神直志「確かに心配ですよね。 オレたちも心当たり当たってみます」
八神直志「もし早乙女が帰ってきたら、連絡もらえますか?」
須藤茂子「ええ、もちろんです」

〇事務所
  早乙女の所在が分からないままではまずい。俺たちはその足で、探偵事務所に向かった。
  事情を話すと、兄と生方さんも早乙女の捜索を手伝ってくれることになった。
百瀬哲平「それにしても、なんで急にいなくなったんだ?」
八神直志「全然わからないんです。お手伝いさんも特に変わったことはなかったって言ってて」
八神直志「お手伝いさんも特に変わったことはなかったって言ってて」
笹島アリス「私も何も気づかなかった」
花ノ木結衣「アリスちゃんが気づかなかったってことは、早乙女くん本人の意思じゃないのかも」
百瀬哲平「誘拐とか?」
生方千尋「確かに早乙女家はかなりの資産家だけど、小学生ならともかく、高校生男子を誘拐するっていうのはリスクが高いと思うけどね」
百瀬哲平「けど、そのリスクを冒しても手に入れたいものがあった場合はわからないよな」
生方千尋「確かに。こういう場合、少しでも可能性があるなら調べてみた方がいい。色んなケースを考えて動いてみよう」
  早乙女に一体何があったんだろう・・・。
  最近の早乙女は以前よりも明るく、俺たちに対しても気持ちをオープンにしてくれたたように思う。
  アリスも違和感を感じなかったというんだから、俺たちを欺いていたとも思えない。
  正夢の中で、悲痛な声を上げた早乙女の姿を思い浮かべる。

〇低層ビルの屋上
早乙女雄星「僕じゃない。ちがうんだ・・・」

〇事務所
  ひどく辛そうだった。
  結衣のことはもちろん救いたい。でも、新しく友だちになった早乙女のことも助けたい。切実にそう思った。
  早乙女の捜索は兄と生方さんに任せ、俺はもう一度、今度はアリスと共に正夢を見てみることにした。

〇応接室
  いつも通り、言霊も使って入眠する。
  ところが──。
百瀬涼平「・・・!?」
笹島アリス「・・・!!」
  眠りに入るその瞬間、弾かれるような感覚があり、無理やりに覚醒させられた。
百瀬涼平「なんだ、今の・・・!?」
花ノ木結衣「どうしたの、りょうくん、アリスちゃん」
  結衣が駆け寄ってくる。
  アリスも同じような感覚があったようで驚いたように目を見開いている。
八神直志「何があったんだよ?」
笹島アリス「わからない、夢に入ろうとしたら、引き戻された」
百瀬涼平「はじめてだ、こんなこと・・・」
八神直志「とりあえず、一回仕切り直したらどうだ?」
  そう言われ、俺とアリスは起き上がった。
笹島アリス「涼平・・・ちょっと無理しすぎ」
百瀬涼平「いや、そんなことないだろ」
笹島アリス「ある。正夢に入れないのも、それが原因」
百瀬涼平「・・・・・・」
  心当たりがないわけではなかった。
  夢を見なければと言う思いと、夢を見るのが怖いという葛藤・・・正直言うと、精神的にはかなり疲れていた。
百瀬涼平(だけど、そんなこと言ってられないだろ)
笹島アリス「涼平の気持ちはわかるけど、焦ってもいいことはない」
  アリスがきっぱりと言い、結衣も頷いた。
花ノ木結衣「そうだよ、りょうくん。少しお休みしよう」
  俺は事務所の壁にかかっているカレンダーを見る。
  いつの間にか、クリスマスまであと1ヶ月を切ってしまっている。
百瀬涼平「ダメだ、時間がないんだ。 何とかして正夢を見ないと・・・」
八神直志「落ち着けよ、涼平。 哲平さんたちが早乙女を探してくれてる」
百瀬涼平「わかってる。でも、確信が欲しいんだ」
  八神が悪いわけじゃないのに、なぜか俺たちは剣呑な雰囲気になってしまった。
花ノ木結衣「今日は帰ろ、りょうくん」
  結衣は明るくそう言った。
百瀬涼平「え? でも・・・」
花ノ木結衣「りょうくんは、ゆっくり寝た方がいいよ」
笹島アリス「うん、結衣の言う通り」
八神直志「そうだな。今日は解散するか」
  もう少し粘りたい気持ちはあったが、半ば結衣に無理やり引きずられるようにして俺は自宅に戻った。

〇男の子の一人部屋
  結衣を部屋まで送ってから帰るつもりだったが、なぜか結衣は俺の部屋までついてきた。
百瀬涼平「どうしたんだ? 何か話でもあるのか?」
花ノ木結衣「ちがうよ。ちゃんとりょうくんが寝るか監督しに来たの」
百瀬涼平「何言ってるんだよ、ちゃんと寝るって」
  結衣は腕を組んで首を振る。

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