第98話 成果(脚本)
〇備品倉庫
2021年 イリノイ州 ケーン郡 エルジン市 旧避難シェルター 放棄された備品倉庫
フェードは凪園と鸞を使われてない倉庫に呼び、そこで一通り説明した
凪園無頼「えー、こんな狭ェーとこでやんのー?俺やだー」
鸞「まぁ凪園向きではないだろうな。というかフェード···武器がいつもより少ないな」
鸞「新しい戦い方を編み出したのか?それの実用性を俺らでテストすると?」
フェード「あぁ、だが一応言っておくが···」
フェード「『身につけてる武器は一切使わない』」
凪園無頼「はぁー!?それ舐めプじゃねー?ありえねーんだけど」
鸞「今までのフェードならそうだな···だが、今回が違うっぽいな」
鸞は周りを見ながらそう言った。トイレットペーパーの芯や使い切ったティッシュ箱、切れたであろう蛍光灯などが置かれていた
鸞「で、どうする?1vs1でいくか?」
フェード「2人同時で頼む」
そう言いながらフェードは左手は開手、右手は少しだけ指を折り曲げ、腰を落とし構えをとった
凪園は鸞と顔を見合せたあと、フェードに近づき乱雑な前蹴りを繰り出すが
フェードは凪園のひざ関節部分に掌底を当て、続いて反対の手で掌底を凪園の鳩尾に当て凪園を吹き飛ばす
凪園無頼「え、ヤバ···ねぇ鸞ヤバイよあれ」
鸞「ほう?具体的に何がやばい?」
凪園無頼「『最初の一撃だけ見えねぇんだけど』」
鸞はその一言を聞くとクナイを取り出し凪園と共にフェードを囲む
鸞「傍から見たらいつものフェードだったが···どうやら体験してみないとわからないっぽいな」
そして鸞と凪園が同時に攻撃を仕掛けるが···
凪園無頼「当たんねぇ!ヤバすぎっしょ!」
フェードはここで鸞の一突きを全身で回転しながら避け、回転の終わり際に遠心力を利用した掌底を鸞の耳に当て
後ろから襲いかかる凪園を後ろ蹴りで足止め、同時に両手の掌底で鸞を吹き飛ばし
振り向きざまに凪園に遠心力を利用した拳を凪園の顎に当て、そして肩を追突させ凪園を吹き飛ばす
鸞「なるほど···技の前に回転をかけることで威力をあげるだけでなく、技の初撃を悟られないようにする」
鸞「そこから相手の思考をコンマ1秒遅らせ、次の攻撃の対処をさせない。凪園が初撃が見えなかったのも納得だ···」
鸞「それに回転をかければ技が当たりずらくなるはずだが、こういう狭い場所だと回避する方法が限られてくる」
鸞「だから技が当たりやすいというわけか···」
フェード「鸞と凪園のこと考えてやらなかったが···本来なら凪園を最初吹き飛ばした時点で追撃できた」
そう言うとフェードは壊れたリモコンを手に取る
凪園無頼「は?まさかリモコン投げるとか言わねーよね?」
鸞「『叩きつける』んだろ?確か···棍術の戦闘方法であったな」
フェード「あぁ、それに凪園が吹っ飛んだ棚には空の瓶と汚い雑巾数枚。十分武器になる」
凪園無頼「でも広い場所で使いもんになるのー?例えばなんもねー場所とかさ」
そう言うとフェードは『だからこそ武器を携帯している。最低限な』と返す
そして斎王が部屋に入ってくると、『皆ついてきて、シャルルさんが話があるって』と3人を会議室に連れていく
〇研究機関の会議室
旧避難シェルター内部 会議室
シャルル「これより聖人会議を始める。今回の議題はルカ神父について」
斎王幽羅「ルカ神父?それって確か俺たちを案内してくれた···」
フィリポ神父「数時間前うちの諜報員1人を連れてこの場所を発ちました。行先はオレゴン州」
フィリポ神父「恐らく霊長類研究センターでしょう。さて···聖人会議の決定を破った彼のその処遇について」
フィリポ神父「如何なさいますか?シスター・カール」
斎王幽羅「え、処遇って···というか霊長類研究センターに何かあるんですか?」
鸞「資料室で見たぞ···WoOS幹部『セルゲイ・ライノヴィッチ』が居る研究所だったな」
斎王幽羅「えぇ!?じゃあアナザー・オリジンが居るっていう研究所にたった2人で!?」
斎王幽羅「助けに行こう、危険すぎるよ!」
しかし斎王の言葉を鸞は遮った
鸞「斎王、昨日も言ったが俺達は行くのに賛成しない。予言の件もあるし」
鸞「アナザー・オリジンに量産型アナザー、それにWoOS幹部が在中しているような場所だ。危険すぎる」
斎王幽羅「だからと言って『助けない理由』にはならないだろ!?昨日からずっと考えてたけどやっぱりダメだ」
斎王幽羅「たった一人で、誰にも頼られず、その命が無力に散るなんて···黙って見てられない」
鸞「ヤケになるな!落ち着いて考えろ、ルカ神父の命とお前の命は『重さが違う!』」
斎王幽羅「『命の価値は平等だッ!』皆救われるのなら救うべき命だ!」
すると会議室に異様な寒気が広がる。シャルル達3人は立ち上がり頭を下げるとそこに居たのは
鬼月冷羅「随分白熱しているな幽羅。俺も混ぜてくれよ」
鸞「っ···氷帝···お前何しにここに来た···?」
すると冷羅は自身の体から氷漬けになった男二人を排出し、目の前に出してみせた
鬼月冷羅「WoOSの諜報員だ。お前らしくないミスだなシャルル、こんな分かりやすいのを見逃すとは···」
シャルル「不覚」
鬼月冷羅「···シャルル、罰としてある事を提案する」
鬼月冷羅「俺を『ルカ神父救出に行かせろ』」
To Be Continued··· ··· ···