バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

S2 第9話(34) (脚本)

バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

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〇黒
  「半年前──」

〇教会

〇大聖堂
パウデマル大司教「──そして、本日は聖女様がいらしてくださいました」
「聖女様ー!」
「聖女様ー」
ミレーユ「みなさん。 集まってくださりありがとうございます」
パウデマル大司教「ふふふ」

〇教会の控室
パウデマル大司教「聖女様、いえ、ミレーユ。 立派にお勤め果たせましたね」
ミレーユ「・・・大司教様。 私は大司教様に拾われた身です」
ミレーユ「お役に立てるのでしたら、いつでも」
ミレーユ「それに多くの人々を救う機会が得られて、とても嬉しいです」
パウデマル大司教「この国には、まだまだ聖女様の力が必要な人で溢れている」
パウデマル大司教「神から授けられたその力を使い、これからも多くの人々を救わねばなりません」
ミレーユ「精一杯、役目を果たします」
パウデマル大司教「わたくしも聖女様の活躍のためとあれば、いくらでも尽力いたしますぞ」
ミレーユ「あの。パウデマル大司教様・・・」
ミレーユ「ここ最近、民の間で伝染病が流行っているとか、聞いたのです」
ミレーユ「なんでもその病は罹ると肉が腐り、悪魔のような形相になるとか」
パウデマル大司教「悪魔のような形相・・・ではありません」
パウデマル大司教「人間を悪魔に変化させるのです」
ミレーユ「その病は人を悪魔に変えるのですか?」
パウデマル大司教「病と言われているのは、Frutti del diavolo のことです」
  フルッティ・ディ・ディアボロ
ミレーユ「フルッティ・ディ・ディアボロ。それは悪魔の果実と呼ばれている・・・あの?」
パウデマル大司教「ええ。人の心を蝕み、悪魔そのものに変化させる悪魔の呪いが刻まれた果実」
パウデマル大司教「そして、このエレオノール王国に勝利をもたらした忌まわしい兵器です」
ミレーユ「ですがそれは戦後封印されたとか」

〇炎
パウデマル大司教「確かに前国王により悪魔の果実が成る大樹は燃やされました」

〇教会の控室
ミレーユ「では、今あるのは一体」
パウデマル大司教「種が残っていたのでしょう」
パウデマル大司教「何者かが育て、そして悪魔の果実を広めている」
ミレーユ「なんという恐ろしいことを・・・」
ミレーユ「でしたら早く大樹を見つけなければ」
ミレーユ「国王に、何か手を打っていただかなくては」
パウデマル大司教「ミレーユ、落ち着きなさい」
ミレーユ「ですが、悪魔の果実がこのまま広まれば、多くの人が犠牲になります」
パウデマル大司教「国はすでに動いております」
ミレーユ「・・・そうなのですか?」
パウデマル大司教「わが教会からも、国王より命を受け、聖水を提供することとなりました」
パウデマル大司教「聖水を飲むことで悪魔となる進度を遅くする効果があるそうです」
ミレーユ「では私も聖水を作るお手伝いをしなくては」
パウデマル大司教「聖女様には、もっと大事なお仕事が」
ミレーユ「なんです?」
パウデマル大司教「悪魔を殺す、聖剣作りです」
ミレーユ「聖剣ですか?」

〇炎
  他国では戦争が終わった今もなお、悪魔の果実を食べた人間が生き残っている
  悪魔を殺すには聖剣で首を切り落とさなくてはならない。そのため
  他国では悪魔に変わった人間を排除する、デビルハンターという職業がございます

〇教会の控室
パウデマル大司教「しかしこの国は昨今まで悪魔は存在していなかった」
パウデマル大司教「そのため悪魔に関する対策が遅れております」
パウデマル大司教「今後はこの国でも聖女様の力を使い、他国のように聖剣を作りたいのです」
ミレーユ「わかりました。聖剣づくり、お手伝いいたしましょう」
パウデマル大司教「おお!  これで多くの民が救えます」

〇教会の控室
パウデマル大司教「ククク、あははは!!」
パウデマル大司教「国民のために役に立てて何より?」
パウデマル大司教「純粋で無垢な聖女は、本当に使い勝手がいい」
パウデマル大司教「聖女のおかげで、我が教団はさらに大きくなる」
パウデマル大司教「あとは聖女を王妃に置き、教団の勢力をさらに高めるだけ」
パウデマル大司教「もうすぐだ。 もうすぐ、この国は私のものになる」
御者「失礼致します」
御者「今日の報告に伺いました」
パウデマル大司教「今日はスタン王太子の御者か? リュカ殿」
リュカ・シャルルド・グレイ「王家の動向を知るには、最適の場所かと」
パウデマル大司教「ふふふ。して、王太子の動向は?」
リュカ・シャルルド・グレイ「今夜、王太子はブルヴェルト家の三女との誕生日パーティにご参加なされました」
パウデマル大司教「ブルヴェルト公爵家か。三女は、第一婚約者のリアリナ嬢よりもいくつか下であったな」
リュカ・シャルルド・グレイ「はい。御年15でございます。大司教様」
パウデマル大司教「だが、あの強欲なブルヴェルト公爵家だ」
パウデマル大司教「王太子を手に入れるためにどんな手を使ってくるか」
パウデマル大司教「順位が入れ替わる可能性がある」
パウデマル大司教「手を打っておこう」
リュカ・シャルルド・グレイ「して、どのように?」
パウデマル大司教「ブルヴェルト家は、教皇反対派だ」
パウデマル大司教「神を信じぬものには、それ相応の罰を与えねば」
リュカ・シャルルド・グレイ「また悪魔の果実を使うのですか」
パウデマル大司教「っふ、自分の娘が悪魔に取り憑かれたと思えば」
パウデマル大司教「教団に泣きつくしかあるまい」
パウデマル大司教「悪魔を抑え込む聖水は、教団の信者にしか渡さぬからな」
パウデマル大司教「あの古狸が私の足元にひれ伏し、すがりついてくるのを思うと」
パウデマル大司教「・・・ハハッ。 素晴らしい光景であるな。なあリュカよ」
リュカ・シャルルド・グレイ「・・・しかし、」
リュカ・シャルルド・グレイ「公爵家の人間を悪魔に変えたとなれば」
リュカ・シャルルド・グレイ「王室が死因の調査に乗り出す可能性もございます」
リュカ・シャルルド・グレイ「悪魔の果実の出どころが、教団であると知られたら」
リュカ・シャルルド・グレイ「教団ごと潰しにかかる可能性もございます」
パウデマル大司教「バレることはない」
パウデマル大司教「リュカ、お前が口を開かない限り問題はない」
パウデマル大司教「それとも、教団の犬にされたと王家に泣きつくか?」
リュカ・シャルルド・グレイ「だ、大司教様」
パウデマル大司教「私を裏切るか? リュカ」
リュカ・シャルルド・グレイ「そんなことは、決して致しません」
リュカ・シャルルド・グレイ「聖女様こそ、この国の新たな王妃に相応しい人物だと、心より思っております」
リュカ・シャルルド・グレイ「王家は悍ましい生物兵器を用いて、多くの命を奪ってきた」
リュカ・シャルルド・グレイ「悪しき歴史を正すべく、今こそ汚れなき聖女様率いるこの教団が、国の政権を握るべきです」
パウデマル大司教「はははは!!!!」
パウデマル大司教「心にもないことを弁舌に語ったな」
リュカ・シャルルド・グレイ「いえ! そんなことは!」
パウデマル大司教「そうであった、そうであった」
パウデマル大司教「お前が裏切れば、愛しい姉君が悪魔になるやもしれんからな」
パウデマル大司教「悪魔の果実をもつ我々が、怖いのであろう?」
リュカ・シャルルド・グレイ「い・・・いえ」
パウデマル大司教「安心しろ。お前が教団に必要である限り、貴様の姉上には手を出さぬ」
パウデマル大司教「さあ、これを持て」
パウデマル大司教「プルヴェルト家の三女を悪魔に変えるのだ」
リュカ・シャルルド・グレイ「・・・」

〇黒
  ──

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