白鳥の歌

Reika

限りなく黒に近い白(脚本)

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〇新橋駅前
和泉玲「笹本さん!お久しぶりです」
和泉玲「あれ?今日はスーツじゃないんですね」
笹本蓮「・・・・・・交番勤務になったんだ」
小雀音羽「あの、お二人は?」
和泉玲「え?ああ。この人は笹本蓮さん!」
和泉玲「俺の親父の相棒だった人」
笹本蓮「どうも、はじめまして」
笹本蓮「えっと・・・音羽?さん」
小雀音羽「・・・・・・」
小雀音羽「笹本さん。知らないふりしなくていいです」
和泉玲「おいおい、知らないふりってなんだよ〜!」
和泉玲「初対面だろ?」
笹本蓮「はぁ──」
笹本蓮「ちょっと一時間ぐらい潰せる?」
笹本蓮「後でおじさんとお茶しよう」
和泉玲「笹本・・・さん?」

〇レトロ喫茶
笹本蓮「ごめんね、誘拐みたいになって」
小雀音羽「いえ、大丈夫です」
和泉玲「あのさ、なんで音羽ちゃんは知ってんの?」
小雀音羽「だって、笹本さんって私の事件の担当者でしょう?」
和泉玲「えっ・・・」
笹本蓮「──なんだ。知ってたのか」
小雀音羽「ええ。私、この事件の調査をしておりますので」
笹本蓮「調査?」
小雀音羽「はい」
小雀音羽「こちらの和泉さんといっしょに調査をしてるのです。関係ありそうな事件を片っ端から調べて」
和泉玲「そうそう!音羽ちゃんすげ〜んだよ!!」
笹本蓮「そうか」
和泉玲「なんかさ沢山調べてて、バラバラの事件もおんなじ犯人じゃないかって」
笹本蓮「ん?」
小雀音羽「シッ言い過ぎよ」
笹本蓮「例えば?」
小雀音羽「「西山歌姫殺人事件」とか「下村町通り魔事件」とか」
笹本蓮「どんなとこが共通してると思ったの」
小雀音羽「元があり得ないほどの善人。急に思考が変わった」
笹本蓮「これだけ?」
小雀音羽「ある人物との接触で変わったかもしれない」
笹本蓮「ある人物はわかったのかい?」
小雀音羽「いえ・・・それは」
笹本蓮「しかしまあ、よく元の性格までわかったな」
和泉玲「だって音羽ちゃんの部屋の捜査資料?なんかすごいんだよ」
和泉玲「三好って人とも協力してくれて」
笹本蓮「三好!?」
笹本蓮「三好を三好慶次を知っているのか」
和泉玲「どうしたの笹本さん」
笹本蓮「知ってるも何もないか」
笹本蓮「音羽さんにとってはお父さんの友人か」
  笹本はボソボソと俯きながら言った
小雀音羽「何かありましたか」
笹本蓮「もう、三好とは関わらない方がいい」
和泉玲「なんで」
笹本蓮「あいつは・・・あいつは「限りなく黒に近い白」だからな」
和泉玲「まってまって!展開がわかんねえんだけど」
笹本蓮「そういえば、音羽さん。思い出したのか?」
笹本蓮「あの日のこと」
小雀音羽「・・・」
和泉玲「あの日・・・?」
笹本蓮「君の・・・家族が殺された日のこと」

〇豪華な客間
  私の記憶は、楽しかった誕生日パーティーで止まっている
A「音羽ちゃんたんじょうび、おめでとう!」
白鳥音羽「ありがとう!」
  プレゼントとか机に並んだ食事とか
  どれをとっても最高の1日だった

〇黒
  こんな時間は長く続かなかった。
  みんなが帰った後、玄関が鳴ってお母さんは廊下に出た
  次に聞こえたのは悲鳴
  お父さんのこわばった顔。私には何もわからなかった
白鳥昌仁「音羽、隠れて」
白鳥昌仁「この人の言うこと、よく聞くんだよ」
●●「行こう」
  これ以上のことは覚えてない
  次に目が覚めたのは、病院だった

〇病室のベッド
「ちゃん。・・・音羽ちゃん」
白鳥音羽「──ん?」
和泉吾郎「はじめまして、音羽ちゃん」
白鳥音羽「おじさん、だあれ?」
和泉吾郎「おじさんはね、和泉って言うんだ」
白鳥音羽「いずみおじさん?」
和泉吾郎「そうだよ」
  目が覚めて、初めて見た人は和泉という男だった。
  そうね、和泉さん。あなたのお父様よ
白鳥音羽「ねぇねぇいずみさん」
和泉吾郎「なんだい?」
白鳥音羽「お父様とお母様はどこ?」
和泉吾郎「・・・・・・」
白鳥音羽「なんで、病院にいるの?」
和泉吾郎「・・・音羽ちゃん」
白鳥音羽「なぁに?」
和泉吾郎「今から、辛いことをいうよ」
白鳥音羽「ん?」
和泉吾郎「君のお母さんとお父さんは死んだんだ」
白鳥音羽「えっ──」
和泉吾郎「覚えてないかい?君の誕生日の日のこと」
白鳥音羽「なんで?お父様とお母様は?」
白鳥音羽「なんで?死んじゃったなんて、嘘でしょ?」
白鳥音羽「ねぇ、おじさん。ねぇってば!」
和泉吾郎「・・・ごめん」
白鳥音羽「ねぇ」
白鳥音羽「ねぇ・・・なんで」
白鳥音羽「なんで」

〇レトロ喫茶
小雀音羽「その後、警察の人が来たり検査をしたりしてね」
小雀音羽「ストレスというか、ショックで事件当時の記憶がないらしいわ」
「・・・・・・」
小雀音羽「──だから」
小雀音羽「だから私は探してるのよ」
和泉玲「黒幕を?」
小雀音羽「ええ」
笹本蓮「しかし、なんで五十嵐だと思わなかったんだ?」
和泉玲「五十嵐?」
笹本蓮「白鳥邸一家殺傷事件の犯人とされた男だよ」
和泉玲「あー」
小雀音羽「匿名である日、手紙が来たの」
笹本蓮「手紙」
小雀音羽「五十嵐からの謝罪文だった」
小雀音羽「よくある謝罪文よ。『君の幸せを壊してしまって申し訳ない』捨ててしまおうと思った」
小雀音羽「けど、最後の一行が気になったの」
和泉玲「何が書いてあったの?」
小雀音羽「『悪魔は人間の顔をしている』」
和泉玲「なんか・・・前に似たこと言ったよね」
小雀音羽「ええ」
笹本蓮「で、なんで五十嵐じゃないかもって?」
小雀音羽「気になった私は、事件当時の新聞とか雑誌とかを読みまくった」

〇女の子の一人部屋
小雀音羽「わぁ・・・」
小雀音羽「やっぱたくさん書かれてる」
  『悲報 天使のピアニスト 死亡』
  『白鳥事件 犯人確定か』
  もちろん中には、嘘だってものもあった
小雀音羽「あれ?おかしい」
小雀音羽「私、なんで助かったの?」
  調べれば調べるほど、現場が異常だってことがわかった
小雀音羽「なんで、あの人が私を助けてるの」
小雀音羽「五十嵐が私を助ける意味なんてないじゃない」
小雀音羽「だってこんなにお父様のことが好きだったなら、私も殺されるはず」
小雀音羽「うっ」

〇清潔な浴室
白鳥音羽「くる、し・・・な・・・で?」
白鳥音羽「◼️◼️◼️」

〇女の子の一人部屋
小雀音羽「はっ!」
小雀音羽「・・・・・・」
小雀音羽「なんで、わかんないのよ」
小雀音羽「あんな細い手で私の首を?」
小雀音羽「この手は違かった・・・もっと」
小雀音羽「はぁ・・・はぁ・・・」
  あの日、あの時、絶対にもう一人いた
  五十嵐じゃない、他の誰か

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