エピソード2 新たなる運命 (脚本)
〇神殿の広間
テイレシアースの予言により、破滅フラグを知ったペンテウス(山田匠)。
しかし、テイレシアースから新たなフラグ、「不死」というキーワードはあります。
これが破滅フラグ回避のヒントになるのではないかと、ペンテウス(山田匠)は考えます。
ペンテウス「不死か・・・」
ペンテウス「ありがとう、テイレシアース、今日は宮殿で休んでください」
テイレシアース「ありがとうございます」
「ではテイレシアース様、ご案内しますね」
テイレシアース「かたじけない」
テイレシアースは、使用人の案内によりどこかに行きました。
ペンテウス「ふう、さて、これからどうしたもんか?」
ペンテウス「それより・・・」
ペンテウス「おーい、誰かいないか・・・」
「はい、何でしょうかペンテウス様?」
ペンテウス「俺の部屋はどこにあるんだ?」
「え?」
使用人は不審そうな顔をしました。
ペンテウス「(まずいな・・・)」
「・・・」
ペンテウス「いや、ごめん、実は忙しすぎて、自分の部屋を忘れていたんで、遂・・・」
ベンテウスは何とか言い逃れをしようとします。
「わかりました、ではご案内しますね」
ペンテウス「(ふう・・・何とか助かった)」
ペンテウスは、使用人の案内により、ペンテウスの部屋まで案内しました。
〇宮殿の部屋
ペンテウスはようやく、ペンテウスの部屋に着きました。
「では、私はこれで失礼します」
ペンテウス「ありがとう」
「!!」
ペンテウス「え、どうした? 俺の顔に何かついていますか?」
「いいえ、何でもありません。 ただ、突然のことで驚いていました」
ペンテウス「そうか・・・」
「陛下が私に対して、お礼を言うなんて珍しいなと思っていました」
ペンテウス「そ、そうか・・・」
ペンテウス「お前もゆっくりして休んでおけよな」
「は、はい・・・ 失礼します」
使用人は少し驚いて、少し去っていった。
ペンテウス「あれ、俺やりすぎちゃったかな?」
ベンテウスも少々違和感を感じました。
ペンテウス「まあ、いっか!」
ペンテウス「それよりも俺の破滅フラグをまとめないとな」
ペンテウス「どこかに紙とかペンとかないかな?」
ペンテウスは、部屋にある、全てを調べました。
葦ペンとパピルスが置いてありました。
ペンテウス「よかった、この時代にもペンと紙があるんだな・・・」
ペンテウス「でも書きにくいな。このペン」
ペンテウス「少し下書きだけでも練習しようかな」
ペンテウスは下書きに、試しに日本語の「あ」を書きました。
ペンテウス「なんとか書き方が分かったぞ」
ペンテウス「それじゃあ」
ペンテウスは、まず、この世界がギリシャ神話の世界であることがわかり。
物語の時系列をまず書きました。
ペンテウス「確かディオニュソスが、この国テーバイに来るはずなんだな」
ペンテウス「その上・・・俺の母親と姉妹が、催眠術のような何かによって・・・」
ペンテウス「?」
ペンテウス「母親と2人の姉妹?」
ペンテウス「そういえば、母親と2人の姉妹に会ってないな?」
ペンテウスは気がつきました。
自分は1度その家族と会っていなかったことに。
ペンテウス「明日会ってみるかな・・・」
ペンテウスは複雑な気持ちになりました。
何せ相手は、ペンテウスの家族、実際この体の人物はどのような人格だったのかわからなかった。
ペンテウス「そういえばペンテウスって、神々に対して不敬なことをする性格をしているから」
ペンテウス「多分粗暴な性格の男だとわかるんだけどな・・・」
ペンテウス「はあ・・・」
ペンテウスはこの体の人物が、どのような人なのか、それは神話上の情報が出てこなかった。
そこへ・・・
オクラソス「・・・」
ペンテウス「・・・?」
見知らぬ男の子が入ってきました?
オクラソス「父上・・・あの?」
ペンテウス「えっと・・・君は?」
オクラソス「・・・」
男の子は怯えていた様子でした・・・
ペンテウス「あの・・・大丈夫か?」
オクラソス「・・・?」
ペンテウス「すまない・・・」
オクラソス「・・・」
ペンテウス「すまないが・・・お名前は?」
オクラソス「お・・・オクラソスです」
ペンテウス「・・・」
オクラソス「父親あの・・・どうして僕を相手にしてくれないんですか?」
ペンテウス「え?」
ペンテウス「(父上?)」
ペンテウス「(そういえば、ペンテウスにも息子がいたんだな・・・)」
ペンテウス「こっちに来て話を聞かせてくれないかな?」
男の子を怯えていた様子であった。
ペンテウス「すまない嫌だったら、離れても構わないが・・・」
オクラソス「いいえ、大丈夫です」
ペンテウス「よかった。こっちに来て話を聞かせてくれないかな?」
オクラソス「は、はい」
オクラソスはペンテウスの近くに来ました。
ペンテウス「もう一度聞いてもいいかな?」
ペンテウス「君の父親の名前は?」
オクラソス「ペンテウス・・・」
ペンテウス「母親の名前は?」
オクラソス「父親が教えてくれないから、わからない」
ペンテウス「そうか・・・」
ペンテウス「(そういえばペンテウスの妻って誰なんだろう?)」
ペンテウス「(そういえば、ギリシャ神話の血縁関係上の表を見てなかったな。まいったな・・・)」
ベンテウスは困惑しました、この体の人物の妻は誰なのかと・・・
ペンテウス「とにかくこっちにおいで!」
オクラソス「!!」
オクラソスは、なぜか一歩下がりました。
ペンテウス「どうしたの?」
オクラソス「いや、いつもはこんなに声をかけてくれなかったのに、つい驚いたから」
ペンテウス「そうか・・・」
ペンテウス「嫌だったら離れても構わないぞ・・・」
オクラソス「ううん、近くに行きます・・・」
オクラソスは、ペンテウスの近くに来ました。
ペンテウス「辛かっただろう・・・」
ペンテウスはオクラソスの頭を撫でました。
オクラソス「!!」
すると、オクラソスは驚いておりました。
オクラソス「なぜ撫でるんですか?」
ペンテウス「いや、お前がかわいそうだったから、遂・・・」
オクラソス「そうですか・・・今まで父上が、なかなか私のことを相手にしていなかったから寂しかった・・・」
ペンテウス「そうか・・・」
ペンテウス「こっち来い、ハグしてやる!!」
オクラソス「うん・・・」
ペンテウスがオクラソスを抱いた瞬間、オクラソスは泣きました。
オクラソス「うわ──ん!!」
ペンテウス「辛かったんだね、ごめんよ」
オクラソス「う、うん・・・」
ペンテウスが、オクラソスを抱きしめると。
転生前の過去の自分を思い出した。
これが親子の暖かさであることを。
ペンテウス「今日は俺と一緒に寝ようか!」
オクラソス「う、うん!!」
ペンテウス「(ペンテウスのやつ、よくもまあ自分の息子をこんだけ寂しがっておいて、ほったらかしやがって・・・)」
ペンテウス「(この体の人物が粗暴な性格であることは、ようやくわかった。)」
ペンテウス「(今度は、俺がこの子を寂しがらないよう守らないとな。)」
ペンテウスはオクラソスを強く抱きしめます。
〇宮殿の部屋
翌朝
オクラソス「父上、起きて起きて!」
ペンテウス「ん──後5分・・・」
オクラソス「ねえ、起きてってば!」
ペンテウス「ん?おはよう・・・」
オクラソス「おはよう父上!」
ペンテウス「(もう朝か・・・あれ?)」
ペンテウス「(そうか、俺はあっちの世界ではもう死んでるんだな)」
ペンテウス「(てっきり、寝た後、元の世界に戻るかなと思った・・・)」
ペンテウスは残念そうに思っていました。
そこへ・・・
謎の女性が現れました。
アガウエー「!!」
すると彼女は驚いていました。
アガウエー「これはどういうこと?」
ペンテウス「あ、あのこれは・・・」
ペンテウスは突然の女性の登場により、驚いていました。
オクラソス「あ、アガヴエーおばあ様!!」
オクラソスは、アガヴエーおばあ様と呼ぶ人物に抱きしめました。
アガウエー「おっと!!」
アガヴエーも少し困惑した様子でした。
オクラソス「あのね・・・あのね・・・」
オクラソスはアガヴエーという女性に、これまでのペンテウスことを話した。
アガウエー「そうなの・・・」
オクラソス「じゃあ僕、部屋に戻るね・・・」
オクラソス「それじゃあね、父上!」
ペンテウス「あ、ああ・・・」
オクラソスは、そのままどこかに行きました。
ペンテウス「・・・」
アガウエー「・・・」
2人の間には沈黙がおこる
アガウエー「ペンテウス、どういう風の吹き回し」
ペンテウス「いや、あのこれは・・・」
アガウエー「傲慢なあなたが、今までオクラソスをほったらかしにしていたはずなのに」
アガウエー「なのに何故親子2人でベッドの横に寝ていたの?」
ペンテウス「そ、それは・・・」
ペンテウスは何とか言い訳をした。
ペンテウス「あの子が寂しかったから抱いただけだ・・・」
アガウエー「そ、そう・・・」
ペンテウス「・・・」
ペンテウスは黙っていました。
アガウエー「あなたは今まで、スパルトイのエキーオーンのように傲慢で神々に対して不敬なことをしている性格を受け継いでいるのよ」
アガウエー「あなたはいつも、妻を娶ったものの、オクラソスが生まれた後、あなたは自分の妻を相手にせず愛さず、傲慢な行いによって」
アガウエー「彼女はどこかに逃げたのよ」
ペンテウス「!!」
アガウエー「その上、あなたは逃げた妻を追いかけず、ただ政治的な行いや、神々に対して不敬な行いばかりをしているのよ」
アガウエー「そして、自分の息子ですら、目を向けてくれなかった」
アガウエー「それなのに、急に優しくなって、あなた、おかしいわ」
ペンテウス「・・・」
ペンテウスは、この体の人物が相当、家庭の中で問題を起こしている人物であることがわかり。
さらに、ギリシャ神話の通りに、神々に対しても不敬な行いをしている人物であることは分かった。
ペンテウス「そうか・・・」
ペンテウスは自分は中身は、山田匠なのに、なぜかやってない罪の罪悪感を感じ始めていた。
ペンテウス「(くそ、ペンテウスの野郎、相当なクズだったな。)」
ペンテウス「(でも実際は、俺の中身は別人であり、この体も別人、まるで罪をなすりつけられた気分だよ。)」
ペンテウスは複雑な思いを抱きました。
アガウエー「母としてはあなたのことを気にかけていたけど」
ペンテウス「ごめんなさい・・・」
アガウエー「!!」
ペンテウス「母上に対して、これまでの行い反省します」
ペンテウス「今まですみませんでした」
アガウエー「・・・」
2人の間に沈黙が続いていた。
アガウエー「あなたの気持ちはわかりました」
アガウエー「私も申し訳ないことをした」
アガウエー「勝手にあなたの父上の性格のことを決めつけてしまって」
ペンテウス「いえ、あなたのせいではありません」
ペンテウス「俺が今までやってきた行いは許されるべきではないことは分かっています」
アガウエー「いいのよ」
ペンテウス「・・・」
アガウエー「・・・」
2人の間に、穏やかな雰囲気に包まれました。
ペンテウス「これまでのことは反省し、神々に対して、また、人々や家族に対しても謝罪します」
アガウエー「ペンテウス」
ペンテウスは不思議なことに親子のわだかまりができているような感じがしました。
〇神殿の広間
ペンテウスが玉座に着くと、2人の女性が現れました。
アウトノエー「・・・」
イーノー「・・・」
ペンテウス「?」
ペンテウスが2人の女性を見ると、3人とも沈黙が続いていた。
そして・・・
アウトノエー「お兄様、母上から聞きましたよ、オクラソスと一緒に昨夜ベッドで横になったんだって!」
イーノー「急に優しくなって、どういう風の吹き回しかしら、お兄様?」
ペンテウス「え、えっと、それは?」
ペンテウスは戸惑っていました。
そして・・・ペンテウスは玉座から降り、2人に対して頭を下げて謝罪した。
ペンテウス「2人とも今まではすまなかった」
ペンテウス「許してくれ・・・もう二度と過ちを犯さないから・・・」
アウトノエー「!!」
イーノー「!!」
2人はペンテウスの謝罪を見て、驚いていました。
アウトノエー「頭を上げてください。お兄様」
イーノー「そうですよ、お兄様が謝るなんて珍しいですね」
ペンテウスは頭を上げてこう言った。
ペンテウス「今まで、ほったらかしにしていたこと、すまなかった」
ペンテウス「許してほしい」
アウトノエー「・・・」
イーノー「・・・」
3人の間に沈黙が続いていた。
そして・・・
アウトノエー「お兄様はこれまでやっていたことは許されることはないけど・・・」
イーノー「でもお母様から聞きましたわ、国民の人々や神々に対して謝罪するつもりですよね」
ペンテウス「そのつもりだ・・・」
アウトノエー「・・・」
イーノー「・・・」
再び沈黙は続きました。
ペンテウス「頼む、俺にチャンスをくれないか?」
2人は沈黙しました。
そして・・・
アウトノエー「わかりました、お兄様」
イーノー「お兄様の気持ちがわかりました」
ペンテウス「本当にすまない」
アウトノエー「・・・」
イーノー「・・・」
2人の姉妹から笑みが浮かべました。
アウトノエー「もういいですよ。 ありがとうございます、お兄様」
イーノー「その気持ちだけで嬉しいです、お兄様」
アウトノエー「これからも、国民のことを考えて、行動してくださいね、お兄様」
ペンテウス「ああ・・・」
こうして3人の兄妹は和解しました。
ペンテウス「えーと、2人ともお名前は・・・」
アウトノエー「もうお兄様たら、私がアウトノエー」
イーノー「私はイーノーよ、お兄様、頭の中大丈夫なの?」
ペンテウス「いや、すまない・・・はは・・・」
ペンテウス「(やばい、バレちゃったかな・・・でも名前を聞けてそれで OK だ)」
〇神殿の広間
家族と和解した、ペンテウスでしたが、ある日、突然の知らせが入った。
「ペンテウス様大変です!」
ペンテウス「どうした? 何かあったか教えてくれ?」
「それがですね、とある集団がこちらの国に向かってきてるんです」
ペンテウス「!!」
ペンテウス「とある集団とは?」
「何でもディオニソスを信奉する集団です」
ペンテウス「!!」
ペンテウス驚いていた。
まさか、まさかそんなに早く破滅フラグが来ることを。
ペンテウス「(来た──!破滅フラグが来た!)」
ペンテウス「(いよいよディオニュソスと対面する時が来たな・・・)」
ペンテウスは緊張している気分でした。
〇砂漠の基地
街の外では、ディオニュソスの集団がこちらに向かって来ています。
ディオニュソス「テーバイよ俺は戻ったぞ!」
そのディオニュソスの集団を遠くから見ているペンテウス
ペンテウス「・・・」
果たしてペンテウスは運命を変えることができるだろうか?
運命の歯車が動き始める。