オージュ・ウォゲは邂逅する

東龍ほフク

5/オージュ・ウォゲと飲酒体験〜ナキュ編〜(脚本)

オージュ・ウォゲは邂逅する

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〇古い本
  「偉大なる売れっ子クレイジー作家」である
  アググ・リシュケは
  ピューブリカ社での宴席で酒をしこたま
  呑まされ、急性アルコール中毒で死亡。
  故に、この世界の
  現小説家・小説好きの大半が
  禁酒するか、もしくは酒嫌いになった。
  勿論、この2人も例外ではない ──
  ── はずだったが?

〇おしゃれな居間
エルム・ナキュ「ねぇ、オージュ」
オージュ・ウォゲ「なにさ」
エルム・ナキュ「お酒を飲む実験に 付き合ってくれない?」
オージュ・ウォゲ「にゃ?!」
オージュ・ウォゲ「さささ酒を飲むなんて、どどどどどうした?」
エルム・ナキュ「いつかさ、無理にでも お偉方に 飲ませられる日が来るかもしれない‥‥‥」
エルム・ナキュ「間違って、知らずに飲んじゃう事も あるかもしれない‥‥‥」
エルム・ナキュ「そういう時の為にも、事前に1回は 飲んでおいたほうがいいかなって」
エルム・ナキュ「酔ったら、自分はどんな風になるのか‥‥‥ 体は大丈夫なのだろうか‥‥‥と」
オージュ・ウォゲ「な、なるほど」
エルム・ナキュ「ついでに オージュも飲んでみない?  ‥‥‥っていう」
オージュ・ウォゲ「確かに、私も『酒が自分にどんな効果を もたらすのか』知らないからなぁ」
エルム・ナキュ「まず、私が飲むから その様子を 後で報告したりしてよ」
エルム・ナキュ「オージュが飲むのは、後日ね」
オージュ・ウォゲ「構わんが、その役目はニコでも よくないか?」
オージュ・ウォゲ「アイツは酒 強いから、 頼りになりそうだぞ」
エルム・ナキュ「私は泣き上戸・笑い上戸‥‥‥ はたまた、暴れるのか‥‥‥」
エルム・ナキュ「暴れるようなら、その静止を お願いしたいからニコたんでは無理でしょ?」
オージュ・ウォゲ「あぁ、なるへそ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「え? お前が暴れたら 殴ったり 魔法でぶっ飛ばしたりと何してもいいって?」
エルム・ナキュ「やめてよ! 普通に介抱してあげてよ!」

〇結婚式場前の広場

〇シックなバー
エルム・ナキュ「ふぐぅ‥‥‥」
マスター「お待たせ致しました」
テンション⤴ナキュ「やだぁ〜〜!!!!!💖 超オシャレで可愛いんですけどぉ〜?💖💖」
テンション⤴ナキュ「色、マジ キレイなんですけどぉ〜! ウヒョおおーーーい!!!!!✨✨」
オージュ・ウォゲ「帰っていい?」
エルム・ナキュ「なんで!」
オージュ・ウォゲ「恥ずかしい」
エルム・ナキュ「いてよぉ!  これからが、本番ぢゃなぁい!」
うるさいナキュ「えぇ〜?!  ジュースみたいなんですけどぉ〜?!」
ナキュ「えっ、普通に飲めるぅ〜✨✨」
オージュ・ウォゲ((コレが酔っ払うの、大丈夫かよ‥‥‥))
エルム・ナキュ「おかわり おかわり!」
マスター「はいはい」

〇結婚式場前の広場

〇シックなバー
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「オージュ」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥なんだ」
エルム・ナキュ「私、このまま『幼年向け』に 書いてていいのかな‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「は?」
エルム・ナキュ「『夢だ希望』だの、甘っちょろい事しか 子供たちに見せていないのは 無責任なような気がして」
エルム・ナキュ「もっと『絶望』も見せなきゃ いけないのでは‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「お前の作風は、それでいいと思うぞ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「こっ恥ずかしい『キラキラや夢や希望』を 素直に書けるのも 才能だろう」
オージュ・ウォゲ「誰もエルム・ナキュに『暗黒展開』を 求めていないはずだ」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「ぬぅ(?)」
オージュ・ウォゲ((ぬぅ‥‥‥?))
エルム・ナキュ「エメラ姫がさ、自力で脱出できるくせに ディヤの救助を待ったじゃない?」
エルム・ナキュ「あの展開は失敗だったと思う?」
  ※ナキュは自作品の話をしています
オージュ・ウォゲ「── あれは『ディヤが頑張るべき話』 だから、私はあれで正解だと思う」
エルム・ナキュ「一部では「エメラ姫お荷物ww」って 意見あるじゃない」
オージュ・ウォゲ「あぁ、あんな意見はなぁ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「── だから、エメラは 役立たずのフリをして正解では?」
エルム・ナキュ「にゅん(?)」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥」
オージュ・ウォゲ((どうしたんだ、コイツ‥‥‥))

〇古い本
  全くもって、真顔だ‥‥‥。
  こんな長時間、コイツが
  おちゃらけないなんて‥‥‥。
  え? 飲むと『真顔になる』の?
  何それ?

〇シックなバー
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥‥なぁ、ナキュ」
エルム・ナキュ「はい」
オージュ・ウォゲ「サイン くれない?」
エルム・ナキュ「いいよ」
エルム・ナキュ「はい」
オージュ・ウォゲ「おぉ‥‥‥」
エルム・ナキュ「私のサインなんて ほしかったの?」
エルム・ナキュ「そんなもの、いつでも頼めばいいじゃない」
オージュ・ウォゲ「シラフのお前にそんな事したら、 絶対からかうし 茶化すだろ?」
エルム・ナキュ「でしょうね」
オージュ・ウォゲ「ふざけない落ち着いたお前、  めちゃくちゃ話しやすいわ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥あのさ」
オージュ・ウォゲ「ユニコーンなのに、ペガサスに 育てられるハメになって 「飛べないのヤーイ×2」って‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「何かの隠喩だったりするのか? 『星姫様シリーズ』のユニコは」
エルム・ナキュ「あ〜、あれは‥‥‥」

〇シックなバー
エルム・ナキュ「── まぁ、そう意識して書いてはいたけど」
エルム・ナキュ「作品の話も、シラフの私とは話せない?」
オージュ・ウォゲ「無理無理!  アイツ、恥ずかしがって逃げるもん!」
オージュ・ウォゲ「訊けてよかったぁ‥‥‥✨」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「書いてると、たまに背中に死んだ親父の 視線を感じるんだよね」
エルム・ナキュ「『勿体ねぇなぁ、机にしがみついてよぉ』 みたいな」
エルム・ナキュ「単に自分の罪悪感から生んだ幻か、 はたまた幽霊か、っていう」
エルム・ナキュ「オージュといると、そんな親父の視線が 消える気がするんだよね」
エルム・ナキュ「オージュの顔が怖いから、気が紛れる」
オージュ・ウォゲ「褒め言葉と捉えよう!」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「オージュ、いつ私の隣に来てくれるの?」
オージュ・ウォゲ「今、隣にいるが?」
エルム・ナキュ「そうじゃなくて」
エルム・ナキュ「早く、私の隣においでよ」
エルム・ナキュ「君なら、容易に来れるでしょう?」
エルム・ナキュ「書きなよ、文章」
エルム・ナキュ「小説」
オージュ・ウォゲ「──── !」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「いやいや、小説など書いたことがない‥‥‥」
エルム・ナキュ「じゃあ、まずは好きな作家の文体を 書き写してみるのはどうだろう」
エルム・ナキュ「絵画は模写して 学んだりするでしょう?」
エルム・ナキュ「文も同じで、そうすると 小説の流れや造りが よくわかるよ」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「私が書くもの、おまえが苦手そうなモノに なりそうだぞ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「ホラーやバッドエンドとか、さ」
エルム・ナキュ「おう、上等だ。泣かせてみろよ」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「オージュが著名な作家になったら 『コレ、私の友達です』って周りに自慢する」
エルム・ナキュ「で『私、ユルシャの家の者です』って 世間に公表する」
エルム・ナキュ「『ユルシャ、脳筋の戦闘狂じゃないです』 『文系もいます』って言いたいなぁ」
エルム・ナキュ「分家に見つかるけど 別にいいや」
エルム・ナキュ「来ても 追い返してやるよ」
オージュ・ウォゲ「なんか、私すら知らない 『家庭の事情』を言い出した‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「まぁ、考えてみる‥‥‥うん」
オージュ・ウォゲ「寝やがった‥‥‥」

〇シックなバー
エルム・ナキュ「オージュ、いつ私の隣に来てくれるの?」
エルム・ナキュ「早く 私の隣においでよ」
  それ は
  “今の私”は お前の隣に
  立てていない、という事か?
  対等ではない、と?
  ‥‥‥‥‥‥

〇結婚式場前の広場

〇公園のベンチ
エルム・ナキュ「‥‥‥‥ん」
オージュ・ウォゲ「おはよう」
エルム・ナキュ「オージュの顔面アップで起床!!!!!」
エルム・ナキュ「何で公園で? オージュのひざ枕?」
オージュ・ウォゲ「家に連れ帰ろうとしたのだが、 お前 普通に重いから無理でさ」
オージュ・ウォゲ「あきらめて ちょっと休憩してた」
エルム・ナキュ「私、重くないもん!」
オージュ・ウォゲ「自分の身長を考えろや、ド阿呆」
エルム・ナキュ「‥‥‥で、何故に ひざ枕?」
エルム・ナキュ「ベンチに適当に寝かせとけば いいのに‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「── 売れっ子作家様の頭部を 固い所に 無造作に置く事が はばかられただけた」
エルム・ナキュ「え、あぅ‥‥‥はい」
オージュ・ウォゲ「中身が詰まってなくて軽かったから、 あと何時間でも ひざ枕やれたぞ」
エルム・ナキュ「ひどぉい!!!!!」
エルム・ナキュ「で?」
エルム・ナキュ「お酒を飲んだ私は、どんな感じだったの‥‥‥?」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥担当のカノジョとだけ、飲みに行け」
エルム・ナキュ「?」
オージュ・ウォゲ「『他の人が見たら引くけど、彼女が見たら  惚れ直す』と思うような酔い方してたぉ」
エルム・ナキュ「ぜ、全然わかんない‥‥‥」
オージュ・ウォゲ((『真顔で真面目でカッコよくて  話しやすかった』なんて教えるの、  シャクすぎる‥‥‥))
オージュ・ウォゲ((その事を絶対 教えたくないし、それに‥‥‥))
オージュ・ウォゲ((真顔のカッコいいコイツの姿を 他の女に  見せるの マズイ気がするんだよな‥‥))
オージュ・ウォゲ((あの女は好かんが、不貞行為で  ナキュとモメる姿は見たくない))
オージュ・ウォゲ「いいな?  あの銭ゲバ彼女とだけ、飲みに行け」
エルム・ナキュ「ヒトの彼女をdisるの、おやめって!」

〇空
  ── 数日後。

〇商店街の飲食店
編集担当「ちょっと アンタ」
編集担当「‥‥‥ナキュ先生が、酔っ払うと どうなるか知ってた?」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「え? 何ソレ 面白そう〜」
編集担当「う、打ち合わせ後にあの人と 初めて 飲みに行ったんだけど‥‥‥」
編集担当「か、カカカカッコよかったぁ‥‥‥ ////」
オージュ・ウォゲ「へぇー」
編集担当「真顔で、余裕たっぷりで‥‥‥」
編集担当「打ち合わせが 超やりやすかった!」
オージュ・ウォゲ「へぇー」
編集担当「アンタ、ナキュ先生と付き合い長いのに 先生が酒でこうなるの 知らなかったの?」
オージュ・ウォゲ「んーんー? 知らなかったぁ〜」
オージュ・ウォゲ「アググの事があるから酒飲まないはずの アイツが、お前の前でだけ飲んだなんてなぁ」
オージュ・ウォゲ「ヒューヒュー😙😚」
編集担当「うるさいっ! からかうなっ!」

〇シックなバー
  ‥‥‥‥
  「隣に来い」が、頭から離れない。

次のエピソード:【番外】5.5/「Q.今もそうなの?」

コメント

  • 分家???分家????!!!!
    というか、まずナキュキュのお家(ですよね?)で駄弁ってる様が大変おいしゅうございました……いや、もう全部おいしい……なんだこの可愛い話……🙏🙏🙏
    サインほしかったの、あなた正にマモマモと同類みたいな……仲良くなれるのでは😁
    膝枕しといてあのdisりはもう愛としか略。最後の切ない顔よぉ……ひぃ…目指すんですか、ここから文書き目指すんですか先生…健気うぅう…🙈

  • なんですかこの尊みで溢れた回は!!!!
    真面目ナキュ…酔うとおちゃらけなくなる…そんな冗談みたいな酔い方あるかーい!って本当に酔っ払ってあぁなって記憶無かったの凄過ぎるwwwえ、今もそうなのかなナキュナキュ(笑)え、次回オジュ先生の番あるですか飲酒www
    何にしても1秒も欠かさずオジュ先生が可愛すぎてどうしましょうね!?(笑)

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