19話 Q.死にたい?(脚本)
〇コンビニのレジ
〜一週間後〜
藍原しずく「(夜月くんずっと休んでるけど大丈夫かな)」
藍原しずく「(花園先生もまだ休んでるし)」
藍原しずく「(なんか前の学校に戻った気分)」
藍原しずく「(コンビニでトマトゼリー買って)」
藍原しずく「(私も学校サボろうかな)」
華城みくる「いらっしゃいませー」
藍原しずく「あ、みくるさんだ」
華城みくる「げっ最悪・・・」
藍原しずく「こっち被害者だけど」
華城みくる「あーはいはいこないだはごめんなさいねー(棒)」
華城みくる「シュウくん取られてあー悔しーい(棒)」
藍原しずく「悪いと思ってるなら一つお願いがある」
華城みくる「何よ、あんたも結構執念深いのね」
華城みくる「どうせ金でしょ、金やればいいんでしょ」
藍原しずく「新しいスマホ欲しい」
藍原しずく「みくるさんから動画送られてきた時」
藍原しずく「勝手にバキッて折れたから」
華城みくる「それはあんたが折ったんでしょうが」
藍原しずく「余程怒り狂った時じゃないとそんな力出ない」
華城みくる「はいはい余程怒り狂ってたのね、悪かったわよ」
華城みくる「スマホ程度すぐにあげられるわよ」
藍原しずく「流石温室育ち」
華城みくる「普通に金持ちって言いなさい」
〇更衣室
華城みくる「はい、予備用のスマホ使ってないから」
藍原しずく「んービビッドピンクか」
華城みくる「嫌ならあげないわよ」
藍原しずく「マッキーで黒に塗り潰すからいい」
華城みくる「あげたくなさすぎるわね」
藍原しずく「早速LIME引き継ぎしよ」
華城みくる「じゃあ最近シュウくんともLIMEできてなかったわけ?」
藍原しずく「うん、向こうは未読スルーしてると思ってるはず」
華城みくる「嫌われるわよ本当に」
藍原しずく「通常営業だから無問題(モーマンタイ)」
藍原しずく「あれ、写真加工アプリが沢山並んでるけど」
華城みくる「こ、これはあれよ」
華城みくる「血フレの顧客獲得する為に自撮り上げてたのよ」
藍原しずく「へぇ結構際どい写真も上げるんだね」
華城みくる「勝手に写真フォルダ漁らないでくれる!?」
華城みくる「これは血フレとは関係ないわ」
華城みくる「裏垢で、その・・・」
藍原しずく「裏垢やってるんだ」
華城みくる「悪い!?何か悪い!?」
華城みくる「えっちなお姉さん皆好きでしょ!?」
藍原しずく「限界痴女の間違いじゃない」
華城みくる「うっさい未熟なメスガキが!!」
華城みくる「そうだ、あんたも自撮りの一つくらい送ってやれば?」
華城みくる「あいつそういうの好きよ」
華城みくる「私が度々送り付ける写真も絶対保存してるし」
藍原しずく「なんで私がそんなことしなきゃいけないの」
華城みくる「え?だってあんたあいつのこと・・・」
藍原しずく「ただの友達だよ」
華城みくる「ただの友達であの距離感なわけないじゃない!!」
華城みくる「釈然としない!!ムカつく!!」
華城みくる「私の目の前でイチャついてくれた方がマシ!!」
華城みくる「ちょっとスマホ寄越しなさい!!」
藍原しずく「あー泥棒」
華城みくる「あんたなんかこうして!!」
(猫耳付ける)
華城みくる「こうして!!」
(首輪付ける)
華城みくる「こうしてやるーっ!!」
(連写)
華城みくる「そんであいつに送信っと」
華城みくる「『ご主人様の猫になりたい♡』」
華城みくる「とでもねだっておきましょうかね」
藍原しずく「何したの」
華城みくる「ふふ、善行よ♡」
藍原しずく「あとなんで猫耳と首輪持ってるの」
華城みくる「そういうプレイ好きの客がいたのよ」
藍原しずく「気の毒」
華城みくる「私も好きだからいいのよ」
藍原しずく「気の毒」
華城みくる「人の趣味は自由でしょ!?」
♪プルルル
華城みくる「あら早速電話来ちゃったみたいね?」
藍原しずく「もしもし、何」
赤城「何はこっちの台詞だろ!!」
赤城「なっなんこれ何のつもりだ!?」
赤城「お前淫乱なんだろ!?てか淫乱だろ!?」
藍原しずく「知らない、みくるさんが勝手に」
華城みくる「バカッ名前出さないの!!」
赤城「あー・・・状況は理解した」
華城みくる「サービスショットの提供に感謝しなさいよ?」
赤城「勝手に送り付けといて何だその態度は」
華城みくる「猫しずくちゃん可愛いでしょ〜?」
赤城「・・・別に」
華城みくる「うわ信じらんない!」
華城みくる「そこは嘘でも可愛いって言うもんでしょ!」
華城みくる「しずくちゃんこんな奴捨てた方が身の為よ?」
藍原しずく「そろそろ仕事戻ったら」
華城みくる「ほらしずくちゃん不機嫌になってる!」
華城みくる「私みたいな女もう増やさないでよね〜?」
バタン
赤城「はぁ、何なんだあのヤバ女・・・」
藍原しずく「みくるさんの言うことも一理ある」
赤城「え?」
藍原しずく「じゃあ切るね」
赤城「ちょ、待ってくれ」
藍原しずく「私可愛くないんでしょ」
藍原しずく「可愛くない人と電話してもつまらないでしょ」
赤城「むつけるスピードが瞬速だな」
赤城「みくるの前でお前のこと褒めたら」
赤城「また面倒なことになるかもしれないだろ」
赤城「あいつの情緒ジェットコースター並に不安定だから」
藍原しずく「じゃあ本当は?」
赤城「か、かっ」
赤城「可愛いんじゃ、ないか」
藍原しずく「・・・・・・」
藍原しずく「分かったにゃん」
赤城「えっ分かったって何が」
ピッ(電話切る)
藍原しずく「(よく分かった、シュウさんは)」
藍原しずく「(電話だと結構素直ってことが)」
〇コンビニのレジ
藍原しずく「(そうだ、暇だから夜月くんのお見舞い行こう)」
藍原しずく「(血の代わりになる食べ物なんてないし)」
藍原しずく「(本とかでいいか)」
藍原しずく「会計お願い」
華城みくる「はいはーい」
華城みくる「え、『絶望から脱する方法100選』って」
華城みくる「あんた今絶望してたの・・・?」
華城みくる「私から男を奪っておきながら・・・?」
藍原しずく「絶望してるのは私のクラスメイト」
藍原しずく「絶望しすぎて学校にも来ないからお見舞いに行く」
華城みくる「あら、いじめとか?」
藍原しずく「うん、吸血鬼ってだけで攻撃されて」
華城みくる「えっ吸血鬼って」
華城みくる「その子何て名前?」
藍原しずく「夜月くんだけど」
華城みくる「夜月・・・学ランについてた名札と同じ名前ね」
藍原しずく「知り合い?」
華城みくる「えぇ、ほんとに世界って狭いわね」
華城みくる「その分追いかけられるからいいけど」
華城みくる「そのお見舞い、私も行くわ」
〇ゆるやかな坂道
華城みくる「私の好みって」
華城みくる「低収入・高姿勢・高リスクなのかもしれないわ」
藍原しずく「救いようがないね」
華城みくる「だから人の趣味は自由でしょ!?」
華城みくる「あんたの好みはどうなのよ」
藍原しずく「分からない」
藍原しずく「人好きになったことないから」
華城みくる「あらまあピュアね〜」
華城みくる「ピュアすぎてめちゃくちゃにしたくなるわ〜」
藍原しずく「でも強いて言うなら」
藍原しずく「性格が面倒な人」
藍原しずく「面倒って面白いから」
華城みくる「ふーん、なかなか良い趣味してるじゃない」
藍原しずく「怒ってる?」
華城みくる「褒めてんのよ」
藍原しずく「みくるさんも嫌いじゃないよ」
藍原しずく「トップレベルで面倒だから」
華城みくる「私もあなたのこと嫌いじゃないわ」
藍原しずく「わーい」
華城みくる「大嫌いよ」
藍原しずく「うえーん」
〇綺麗な一戸建て
藍原しずく「ここが夜月くんの家か」
華城みくる「うわGPS確認してるじゃない」
藍原しずく「教室出て行った時」
藍原しずく「どこか遠くに行きそうな気がしたから」
藍原しずく「念の為背中につけておいた」
華城みくる「あんた結構友達思いなのね」
華城みくる「言動全部ズレてるけど」
藍原しずく「的を得てる方だよ」
華城みくる「ほら無自覚なやつが一番怖いのよ」
華城みくる「私は自覚あるからあんたよりマシよ」
藍原しずく「自覚あろうが直せてなければ同類だと思うけど」
華城みくる「前言撤回、あんた超絶嫌い」
ピンポーン
シーン・・・
華城みくる「出ないわね」
藍原しずく「居留守か、そうはさせない」
ピンポーン
藍原しずく「あなたは今幸せですか」
藍原しずく「この本を読めば幸せになるよ」
華城みくる「大丈夫よ怖がらないで」
華城みくる「みーんなあなたの仲間だから」
華城みくる「って余計出ないじゃないのよ」
藍原しずく「あー仲間割れだー」
夜月「仲間なんてありませんよ・・・」
藍原しずく「あ、聞いてた」
夜月「藍原さん、わざわざ来て下さってありがとうございます」
夜月「そして今までありがとうございました」
藍原しずく「今まで?」
夜月「血を吸わせてくれた時嬉しかったです」
夜月「来世はバンバン血吸えるといいなぁ・・・」
夜月「いや人間に生まれ変わった方が良いに決まってるか笑」
華城みくる「は?何言ってんの」
華城みくる「生まれ変わりなんてあるわけないでしょ」
華城みくる「死んだら無よ、無」
夜月「じゃあ今の地獄よりはマシってことですね」
華城みくる「あ?」
夜月「嬉しいなぁ、楽しみだなぁ・・・」
ブツッ(切れる)
華城みくる「・・・ヤバいわよこれ」
藍原しずく「夜月くんはいつもこうだよ」
華城みくる「いつもこうなのがおかしいのよ!!」
華城みくる「あんた知ってる?」
華城みくる「いや知るわけないか」
華城みくる「吸血鬼ってね、不老不死だから」
華城みくる「必ず自ら命を絶つのよ」
藍原しずく「え、どうやって」
華城みくる「ねぇハンマーある?」
藍原しずく「勿論あるけど、それで死ぬの?」
華城みくる「死ぬわけないから貸して」
華城みくる「病気や怪我では死なない」
華城みくる「ハンマーで何回殴っても死なない」
華城みくる「でも唯一死ねる方法がある」
華城みくる「吸血鬼は血をすぐ吸収するから」
華城みくる「腐った血、毒入りの血を飲めば」
華城みくる「いとも簡単に死ぬの」
ガシャンッ
〇ダイニング(食事なし)
影野夜月「ヒイィィ不法侵入!?」
華城みくる「ほらまさに今」
華城みくる「輸血パックに泥入れようとしてるじゃない」
藍原しずく「・・・ほんとだ」
華城みくる「ふっ、何ポカンとしてんのよ」
華城みくる「これが吸血鬼の現実よ」
華城みくる「夜月、それ捨てなさい」
影野夜月「嫌です!!絶対死ぬんです!!」
華城みくる「私も嫌、絶対死なせないんだから」
影野夜月「てかなんでここにいるんですか!?」
華城みくる「あなたを助けたいからよ」
影野夜月「助けるって何ですか!?」
影野夜月「可哀想だって見下してるんですよね!?」
影野夜月「そう思われたくなくて頑張ってきたのに!!」
華城みくる「私は同じ目線に立ってるつもり」
華城みくる「これは同情じゃなくて共感よ」
影野夜月「うるさいうるさい!!」
影野夜月「僕のこと何も分からないくせに!!」
影野夜月「人間のくせに!!」
華城みくる「あなただって人間のこと分かってるの?」
華城みくる「分かってもらう努力はしたの?」
影野夜月「え・・・」
華城みくる「分からないものが怖いのは自然なことよ」
華城みくる「私は分からないでいられるのも怖い」
藍原しずく「だから裏垢やってるんだ」
華城みくる「それも無関係とは言えないけれども!」
華城みくる「私、人間じゃなくて吸血鬼よ」
影野夜月「えっ?」
影野夜月「でも血美味しくて・・・」
華城みくる「それはハーフで人間の血の方が強いから」
影野夜月「そんなことあるんですか・・・?」
華城みくる「ほらね、あなただって決め付けてるじゃない」
影野夜月「!」
影野夜月「僕が悪いって、ことですか」
華城みくる「いやなんでそうなるのよ」
華城みくる「私は人間が一概に悪とも言えないって話を・・・」
影野夜月「ごめんなさい、死にます」
影野夜月「死なせて下さい、お願いします」
華城みくる「あーもう埒が明かないわ」
華城みくる「しずくちゃん、シュウくんに電話して」
華城みくる「落ち込み方が似ている者からの説得を試みるわ」
藍原しずく「らじゃー」
♪プルルル
赤城「今度は何だ」
赤城「今貴重な休憩中で」
華城みくる「休憩中なら抜けてこれるチャンスね」
華城みくる「もうめちゃくちゃに誘惑してやりなさい」
藍原しずく「・・・・・・」
藍原しずく「いやぁ・・・シュウさん助けてぇ・・・♡」
「!?」
赤城「声エッロ!?」
赤城「いやじゃなくてどうした!?」
藍原しずく「んぁ・・・身体熱いの・・・♡」
藍原しずく「私のトマトがはち切れそうなの・・・♡」
赤城「私のトマトって何だ!?」
華城みくる「こいつどこから声出てんのよ!?」
影野夜月「真顔で喘いでるの怖すぎます・・・!!」
華城みくる「いやツッコむ余裕あるんかい」
藍原しずく「いいから今すぐ・・・」
藍原しずく「×××の×××に来て・・・♡」
※住所
赤城「何が何だか分からんが」
赤城「とにかくエロいことだけは分かった!」
赤城「今行くから大人しくしてろ!」
ブツッ(切れる)
藍原しずく「・・・ふぅ、やり遂げた」
華城みくる「何達成感得てんのよ」
華城みくる「この程度で釣られるとか」
華城みくる「男ってほんと馬鹿ね」
影野夜月「ここにいる皆馬鹿だと思いますが・・・」
華城みくる「あんたが!!言うな!!」
影野夜月「アアア痛い死にたいいい!!」
つづく🍅