吸血鬼との共存を頑張ろう

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20話 A.生きたい(脚本)

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〇ダイニング(食事なし)
赤城「ハァ、ハァ・・・」
赤城「ハァ・・・」
赤城「俺のHPと給料を返してくれないか!?!?」
藍原しずく「どんまい」
華城みくる「単純なシュウくん、私は好きよ」
赤城「加害者に慰められても余計ダメージなんだよなぁ!!」
赤城「で、夜月の自殺を止めろって?」
藍原しずく「お願いシュウさぁん♡」
華城みくる「あなたにしか頼めないの〜♡」
赤城「フフ・・・俺に任せろ!」
華城みくる「ほんと使い勝手良いわー」
赤城「夜月、大丈夫か?」
赤城「いや大丈夫じゃないからこうなってるんだろうが」
赤城「もうちょっと落ち着かないか?」
影野夜月「近寄らないで下さい」
影野夜月「あなたみたいなのが仲間だと思われたくないので」
赤城「ハ、ハハ・・・」
赤城「好きに死ねばいいんじゃないか?」
華城みくる「こんの無能!!」
赤城「いやほんとに」
赤城「髪ボロボロで部屋ぐちゃぐちゃだし」
赤城「こんなに辛いなら楽にしてやった方が」
華城みくる「は、本気で言ってんの?」
赤城「本気で死のうとしてる奴は」
赤城「本気で止めたって聞かないぞ」
華城みくる「そんな止める前から決めつけたって・・・」
赤城「それくらいの覚悟がないと止められないってことだ」
赤城「ただ問題は『死にたい』が」
赤城「『生きたい』の意味であるかどうかだ」
赤城「夜月、お前の死にたいはどっちだ?」
影野夜月「!」
影野夜月「そ、それは・・・」
華城みくる「『生きたい』でしょ」
華城みくる「だってこないだ買ったひじきおにぎり」
華城みくる「机に起きっぱなしじゃない」
華城みくる「死にたいならとっくに捨ててるんじゃないかしら」
影野夜月「捨てる余裕もなかっただけです!」
華城みくる「じゃあ今食べなさい」
影野夜月「え?でもこれ消費期限一週間過ぎて・・・」
華城みくる「食べて腹ぶっ壊しなさい」
華城みくる「我が社の大事な商品捨てるなんて許さないわよ」
藍原しずく「ただのバイトだけどね」
華城みくる「腹ぶっ壊した状態でも尚死にたいと思うなら」
華城みくる「その時はもう止めないわ」
赤城「なるほど、良い考えだ」
赤城「体調が悪いと逆に治りたい」
赤城「つまり生きたいと思うものだからな」
華城みくる「さぁ早く」
影野夜月「う、うぅ・・・」
影野夜月「酷い、揃って僕のこと虐めて・・・」
影野夜月「僕は本当に死にたいと思って・・・」
影野夜月「思って・・・」
  ボトッ(おにぎり落とす)
影野夜月「思えなかった・・・」
影野夜月「死ねなかった・・・」
影野夜月「僕、どうしても生きたいみたいです・・・」
華城みくる「ふふ、素直でよろしい」
赤城「よく頑張ったな夜月」
藍原しずく「えらいえらい」
華城みくる「じゃあここからは私に任せて」
華城みくる「あんた達は帰っていいわよ」
赤城「は?追い返すの早すぎだろ」
藍原しずく「帰ろ、シュウさん」
赤城「てかお前学校はどうした?」
藍原しずく「どうでもいい」
藍原しずく「友達を救う方が大事」
藍原しずく「シュウさんもそうでしょ」
赤城「・・・そうかもな」

〇ダイニング(食事なし)
華城みくる「はい、ご褒美」
  (首晒す)
影野夜月「えっいや何度も申し訳ないです!!」
華城みくる「申し訳無さと飲みたさだったらどっちが上?」
影野夜月「・・・飲みたさです」
華城みくる「それでこそ吸血鬼よ」
  ガブッ
華城みくる「どう?血飲んだらちょっとは落ち着いた?」
影野夜月「はい、根本的な問題が何も解決してないのであれですけど」
影野夜月「僕、最近ここに越してきたのは」
影野夜月「前の高校でいじめられたのが原因なんです」
影野夜月「新天地で上手くやるぞって意気込んでたのに」
影野夜月「またいじめられそうで」
影野夜月「もうどうしようもなくて・・・」
華城みくる「いじめられたっていいじゃない」
華城みくる「いじめてくる奴には反撃するか」
華城みくる「それが面倒なら無視すればいいのよ」
影野夜月「でもそうしたら一人ぼっちに・・・」
華城みくる「家族はどうしたのよ」
影野夜月「これ以上心配させたくなくて」
影野夜月「『全てが上手くいきすぎてアオハルフィーバータイム』」
影野夜月「『血も女も選り取り見取り』」
影野夜月「『吸血鬼のてっぺんに俺はなる』って嘘ついてます・・・」
華城みくる「馬鹿ね・・・あんたらしいけれども」
華城みくる「でも友達はちゃんといるじゃない」
影野夜月「あの人たちはそこまで友達じゃなくて・・・」
華城みくる「もう友達ってことにしちゃいなさいよ」
華城みくる「そもそも皆誰といたって」
華城みくる「根本的には一人ぼっちのままなのよ」
華城みくる「全てを分かり合えるわけじゃないし」
華城みくる「突然振られたり死なれるかもしれない」
華城みくる「それでも誰といたいか」
華城みくる「誰に無償の愛を分け与えたいかよ」
華城みくる「あんたは今どうしたい?」
影野夜月「ぼ、僕は・・・」
影野夜月「・・・・・・」
影野夜月「あなたと契約したいです」
影野夜月「血が美味しいので、契約したいです」
華城みくる「あ〜んもう仕方ないわね〜」
影野夜月「なんか随分嬉しそうですね」
華城みくる「え〜そんなことないわよ〜」
影野夜月「あんまヘラヘラしない方がいいですよ」
影野夜月「周囲からショタコンだと思われるので」
華城みくる「あんただいぶ失礼ね」
華城みくる「そんなところもシュウくん似で良いわ〜♡」
  ぎゅっ
影野夜月「ギャアア離れてええ!!」

〇シックな玄関
赤城「あ〜仕事サボって真っ昼間から飲む血は格別だな〜」
藍原しずく「学校サボって昼間から飲むトマトジュースは格別〜」
赤城「お前はいつも飲んでるだろうが」
藍原しずく「学校と家ではまた違うの」
藍原しずく「・・・そういえばさっき死について」
藍原しずく「やけに熱心に話してたけど」
藍原しずく「死にたいと思ったことあるの」
赤城「ヴッ・・・」
藍原しずく「あるんだ」
赤城「ま、まぁ吸血鬼なら誰でもあるんじゃないか」
赤城「基本血不足で生きたいように生きられないからな」
赤城「それに人間はよく不老不死を羨むが」
赤城「永遠とは恐ろしいものだ」
赤城「不老が何歳のどういう健康状態で止まるか分からないし」
赤城「美味しい血が十分に飲める保証はない」
赤城「幸せは限りがあるから幸せに感じるが」
赤城「不幸には終わりがない」
赤城「だから必然的に生き地獄と化す」
藍原しずく「そういうものかな」
赤城「そういうものなんだ」
赤城「殆どはパートナーができずに死ぬか」
赤城「パートナーの後を追って死ぬ」
赤城「それらは年々増加する自殺者数の中に」
赤城「今日もしれっと加えられているだろうな」
赤城「人間として」
藍原しずく「・・・そんなの駄目」
赤城「カウントされているだけまだマシじゃないか」
赤城「吸血鬼のせいで自殺する人間だっているし」
赤城「俺の母親もそうだしな」
藍原しずく「!」
藍原しずく「そうやって重いことサラッと言う」
赤城「重くも何ともないだろ」
赤城「俺はむしろ死んでくれて清々した」
藍原しずく「虐待されてたから?」
赤城「あぁ」
赤城「俺の名前、優秀の秀って書くんだが」
赤城「『醜い』の醜の間違いだったとか平気で言うんだぞ」
赤城「もう笑うしかないだろ」
藍原しずく「・・・・・・」
赤城「いや笑ってくれ」
赤城「そんな深刻な顔されても」
藍原しずく「シュウさんのシュウは」
藍原しずく「シュウマイのシュウだよ」
赤城「なわけあるか」
藍原しずく「誰が何と言おうとシュウマイだよ」
赤城「それはそれで複雑なんだが」
藍原しずく「じゃあシュークリームにしとく?」
赤城「もういいシュウマイでいい!」
赤城「ったく・・・」
赤城「お前といると疲れる」
赤城「血吸ってるはずがすぐ腹減るし」
赤城「腰は痛いし動悸はするし・・・」
赤城「でもそれが生きてるってことなんだろうな」
藍原しずく「・・・シュウさん」
藍原しずく「私の血を吸えたから」
藍原しずく「消費期限切れの輸血パック」
藍原しずく「引き出しの奥に仕舞ったんだよね」
赤城「そうだな」
藍原しずく「私がいなくなったらまた飲むかもしれないでしょ」
赤城「そうだな」
藍原しずく「でもとりあえず今は」
藍原しずく「出会えて良かったね」
赤城「そうだな」
藍原しずく「良かったね」
赤城「そうだな」
藍原しずく「む、返事が同じだと思ったら」
藍原しずく「スマホいじってる」
赤城「いやちょっと調べ物をな・・・」
藍原しずく「大事な、話、してたのにっ」
  ポカポカ
赤城「ちょっやめてくれ!!」
赤城「今動悸が酷いから!!」
藍原しずく「病気?」
赤城「かもしれないから調べてるんだ」
藍原しずく「止めてあげよっか」
  ぴとっ(触る)
赤城「だから触るなってええ!!」

〇教室
  〜後日〜
影野夜月「うぅ、入るの怖すぎる・・・」
藍原しずく「大丈夫、殴られたら殴り返すから」
影野夜月「藍原さんも含めて怖いんですよ・・・」
  ガラガラッ
取り巻き「よ、夜月くん!」
取り巻き「こないだは言い過ぎちゃってごめん!」
取り巻き「吸血鬼とか全部忘れていいから!」
影野夜月「えっあっ」
影野夜月「こちらこそお騒がせしてすみません・・・?」
藍原しずく「急に態度変えたのは塩子ちゃんのおかげだよ」
藍原しずく「夜月くんの代わりに怒ってくれたから」
影野夜月「え、佐藤さんが?」
佐藤塩子「オイ余計なこと言ってんじゃねーよ!!」
佐藤塩子「夜月くん、二人で話したいから来てもらっていい?」
影野夜月「こ、これ殺されるやつじゃ!?」
藍原しずく「復讐の始まりだ」
影野夜月「嫌だもう死にたくない!!」
佐藤塩子「私の印象下げんな!!」

〇階段の踊り場
佐藤塩子「藍原さんから聞いたよ、吸血鬼だって」
影野夜月「えええ何してくれてんですかあの人!?」
佐藤塩子「私は聞いてよかったと思ってる」
佐藤塩子「じゃなきゃ夜月くんを傷付けてることに一生気付かなかった」
佐藤塩子「ほんとにごめん!!」
  (頭を下げる)
影野夜月「佐藤さん・・・」
影野夜月「こんなに優しい人だったなんて知りませんでした・・・」
佐藤塩子「それ今まで優しくなかったってこと?」
影野夜月「吸血鬼のこともどうせ分からないだろうって決めつけてました」
影野夜月「決めつけることは傷付けることですね」
影野夜月「僕も本当にごめんなさい」
影野夜月「そしてありがとうございます」
影野夜月「吸血鬼のことバラさないでいてくれて」
影野夜月「これで楽しく学校生活が送れそうです!」
影野夜月「佐藤さんとも仲良くなれそうです!」
  ズッキューン
佐藤塩子「な、なんて良い子ッ・・・!!」
佐藤塩子「夜月くんそのことなんだけど!」
佐藤塩子「一週間考えて決めた!」
佐藤塩子「付き合う代わりに私の血吸っていいよ!!」
佐藤塩子「血とかもう全然平気だから!!」
影野夜月「え?すみません血に関しては」
影野夜月「既にパートナーが決まってまして」
佐藤塩子「パート、ナー?」
影野夜月「はい、性格に難ありなんですが」
影野夜月「それを凌駕するほど血が美味しかったので」
影野夜月「思わず契約したいって言っちゃいました」
影野夜月「僕こんなに勇気が出たのは初めてで」
影野夜月「これもあの人と出会えたおかげかなって!」
佐藤塩子「よ、よ・・・」
佐藤塩子「夜月くんのKYバカーッ!!」
  (走り去る)
影野夜月「えっ僕また何かしちゃいました!?」

〇まっすぐの廊下
佐藤塩子「ウアアンしずくー!!」
藍原しずく「よしよし、今のは夜月くんが悪い」
佐藤塩子「私と友達になれよおおお!!」
藍原しずく「それはどうかな」
佐藤塩子「ならなきゃ全部バラすからあああ!!」
藍原しずく「はいはい友達友達」
取り巻き「このクラス問題児いすぎだろ・・・」
取り巻き「うちらも含めてな」
  つづく🍅

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