18話 苦甘ツンデレーション(脚本)
〇教室
〜1年前〜
生徒「佐藤塩子ってめっちゃ可愛いよな」
生徒「分かる、可愛すぎて近寄れん」
佐藤塩子「(あはっまた褒められてる♡)」
佐藤塩子「(遠慮しないで近寄れ!私を囲え!)」
生徒「でも女子からめっちゃ嫌われてるじゃんw」
生徒「女子の反感買うの怖いからやめとこw」
佐藤塩子「(あ?)」
生徒「嫌われてるといえば藍原もだよな」
生徒「あいつも結構いけるけど」
生徒「佐藤みたいに愛嬌さえあればなー」
佐藤塩子「(あ!?)」
佐藤塩子「(なんであんなぼっちと同列にされてんだよ!)」
佐藤塩子「(絶対私の方が可愛いから!)」
バンッ
(机叩く)
佐藤塩子「ねぇ藍原さん」
佐藤塩子「明日の文化祭の看板娘役」
佐藤塩子「私と代わってくんない?」
藍原しずく「・・・・・・」
佐藤塩子「は、何睨んできてんの?」
佐藤塩子「調子乗んなよ」
佐藤塩子「お前が看板娘じゃ客減るんだよ」
藍原しずく「いや、喜んでた」
佐藤塩子「え?」
藍原しずく「嫌がらせで役押し付けられただけだから」
藍原しずく「どうせサボるつもりだった」
藍原しずく「やりたいならどうぞご勝手に」
佐藤塩子「は、何それ嫌み?」
佐藤塩子「私の方が客減るって言いたいわけ?」
藍原しずく「増えるんじゃない」
藍原しずく「あなた外見良いし」
佐藤塩子「ゑ?」
藍原しずく「じゃ、私文化祭何もしないから」
(去っていく)
佐藤塩子「な、何あいつ・・・」
佐藤塩子「クソムカつくんだけど!!」
〇カフェのレジ
影野夜月「(遂に緊張の初デートだ・・・)」
佐藤塩子「ん〜クレープ美味しい♡」
影野夜月「で、ですねー」
佐藤塩子「ほんとに美味しいね〜♡」
影野夜月「で、ですよねー」
影野夜月「(さっきからクレープ美味しいしか言ってない!)」
影野夜月「(僕は早く血が飲みたいのに!)」
佐藤塩子「ちょ、夜月くん口にクリームついてて可愛すぎw」
佐藤塩子「舐め取ってあげよっか?なんちゃって♡」
影野夜月「いや自分で取るので大丈夫です」
影野夜月「(クレープ食べるだけで終わったら時間の無駄だ)」
影野夜月「(こんな絶好のチャンスまたとないんだから)」
影野夜月「(早く仲良くならなきゃ、早く・・・)」
影野夜月「佐藤さん、何でもするって言いましたよね」
佐藤塩子「エッ!?」
佐藤塩子「い、言ったけど何?」
影野夜月「早速聞いてほしいお願いがあるんです」
影野夜月「クレープ何個でも奢るので、代わりに・・・」
佐藤塩子「言っとくけど譲渡関連は無理だよ?」
佐藤塩子「金が絡むと人って怖いし」
影野夜月「えっそんなぁ!」
影野夜月「なら僕佐藤さんにしてほしいこと何もないです!」
佐藤塩子「え、酷い・・・」
佐藤塩子「夜月くん私のこと全く友達だと思ってないんだ・・・」
影野夜月「あっ、ちが・・・!」
影野夜月「(アアア焦りすぎて余計なこと言っちゃった!!)」
影野夜月「(こんなんだから友達できないんだ!!)」
影野夜月「(自然と血を吸わせたくなるよう仕向けるには)」
影野夜月「(まずこっちから優しくしないと!)」
影野夜月「すみません、やっぱり佐藤さんに」
影野夜月「何かしてもらうなんて申し訳なくて・・・」
影野夜月「僕が一方的に佐藤さんにご奉仕したいんです!」
ズッキューン
佐藤塩子「えぇ!?!?」
佐藤塩子「夜月くんそんなに私のことが・・・!?」
影野夜月「はい好きです!(ヤケクソ)」
影野夜月「だからクレープいっぱい奢らせて下さい!」
佐藤塩子「いやでも太っちゃうし・・・」
影野夜月「無問題(モーマンタイ)ですよ」
影野夜月「美味しいものいっぱい食べて」
影野夜月「可愛い笑顔見せて下さい☆」
バッキューン
佐藤塩子「ひょえええ!?!?」
佐藤塩子「かっ、かわ、可愛くなんて・・・」
影野夜月「あれ、自覚無かったですか?」
影野夜月「そんなところもまた可愛いですねっ☆」
佐藤塩子「この店のクレープ全部下さああい!!」
影野夜月「えっあっそれは払えないかも!?」
〇店の入口
佐藤塩子「今日はめっちゃ楽しかった〜!」
佐藤塩子「ありがとね夜月くん!」
影野夜月「あはは、いえ・・・」
影野夜月「(天音さんを真似てお世辞言ってみたけど)」
影野夜月「(与えさえすればこんなに喜ぶんだ)」
影野夜月「(単純すぎてなんだか複雑だな・・・)」
佐藤塩子「てか夜月くんがこんなにカッコイイなんて知らなかった///」
佐藤塩子「吸血鬼メイドさせた時は、その」
佐藤塩子「色々と揶揄っちゃってごめんね?」
影野夜月「いえ、揶揄われるのには慣れてるので・・・」
影野夜月「あ、その吸血鬼のことなんですが!」
佐藤塩子「ん、撮った写真見たい?」
佐藤塩子「送る為にLIME交換しよっか!?」
影野夜月「佐藤さんは吸血鬼のことどう思ってますか!?」
佐藤塩子「え、吸血鬼?」
影野夜月「はい、正直に答えて下さい!」
佐藤塩子「うーんどうって言われても」
佐藤塩子「架空の生き物について特に思うことないし」
影野夜月「もし実際にいたらですよ!」
佐藤塩子「なになに、夜月くんまで吸血鬼信じてんの?」
佐藤塩子「やっぱピュアで可愛い〜♡」
影野夜月「ぼ、僕は真剣に聞いて・・・!」
佐藤塩子「でも実際にいたら嫌だなー」
佐藤塩子「襲われたら吸血鬼になるんでしょ?」
佐藤塩子「そんなの死んでもなりたくなーい!」
影野夜月「え・・・」
佐藤塩子「そういえば藍原さん吸血鬼って噂だよ?」
佐藤塩子「陰気な感じにぴったりだよねw」
佐藤塩子「夜月くんあの子と関わるのやめときなよ」
佐藤塩子「吸血鬼にさせられちゃうかもよ〜?」
影野夜月「・・・・・・」
佐藤塩子「あれっ怖くなっちゃった?」
佐藤塩子「ごめんごめん、お詫びに」
佐藤塩子「私も何か奢るからさ・・・」
パンッ!!
(平手打ち)
佐藤塩子「痛っ!?」
佐藤塩子「な、なん・・・!?」
影野夜月「吸血鬼のこと何も知らないくせに!!」
影野夜月「勝手に嫌がるなんて最低ですよ!!」
影野夜月「ここにいる僕だって・・・!!」
影野夜月「僕、だって・・・」
影野夜月「(あぁ、ここまで言われておいて)」
影野夜月「(吸血鬼だと堂々と言えないなんて)」
影野夜月「(なんて惨めで情けないんだろう)」
影野夜月「(僕が本当の自己紹介をできる日は)」
影野夜月「(本当の友達を作れる日は)」
影野夜月「(一生ないのかもしれない・・・)」
影野夜月「あなたなんか友達じゃないですから」
影野夜月「二度と関わらないで下さい、さようなら」
佐藤塩子「よ、夜月くん・・・」
取り巻き「はぁ?何あれ」
取り巻き「うちらの塩子ちゃんに何してくれてんの?」
取り巻き「絶対ただじゃ済まさないから」
〇学校脇の道
〜翌日〜
影野夜月「ア、ァ、ァ・・・」
藍原しずく「夜月くんおはよう」
影野夜月「アヘァッ!?」
影野夜月「お、はよ、です・・・」
藍原しずく「何バグってるの」
影野夜月「今日、謝らなきゃ、いけなくて」
影野夜月「こないだ、佐藤さんと、遊んだ時」
影野夜月「ビンッ・・・」
影野夜月「ビンタ食らわせた件についてえええ!!」
影野夜月「うわあああん!!」
(顔を覆う)
藍原しずく「へぇビンタか、なかなかやるね」
影野夜月「これ暴力事件です!!僕犯罪者です!!」
影野夜月「ほんとは学校じゃなく交番に行くべきでええ!!」
藍原しずく「どうせ塩子ちゃんが失礼な言動したんでしょ」
藍原しずく「塩子ちゃんは殴ってもいい人間だからセーフ」
影野夜月「そんな人間この世にいません!!」
藍原しずく「私が前教えたみたいに」
藍原しずく「責められても「知らない」で突き通したら」
影野夜月「それは人間失格です!!」
藍原しずく「人じゃないけどね」
影野夜月「そうです、人じゃないからこんなことをしてしまったんです」
影野夜月「人ならちゃんと友達できてたかもしれないのに・・・」
影野夜月「いや、それは言い訳ですね」
影野夜月「僕自身が駄目なんです、全部僕のせいで・・・」
藍原しずく「自分を責めても何にもならないし」
藍原しずく「開き直った方が友達できるんじゃない」
藍原しずく「だってポジティブって開き直るってことでしょ?」
影野夜月「違うと思いますが・・・」
影野夜月「とにかく謝罪しまくります」
影野夜月「何せ謝罪が特技なので!」
藍原しずく「本当に反省してる?」
〇教室
ガラガラッ
影野夜月「ささ佐藤さん!!」
影野夜月「昨日は誠に申し訳・・・!!」
生徒「うーわ来たよw」
生徒「謝って済むと思ってんの?」
影野夜月「(あ、皆にも噂が広まって・・・)」
取り巻き「うちらの大事な塩子ちゃん」
取り巻き「今日体調不良で休むってさ!」
取り巻き「どうしてくれんの?」
影野夜月「ご、ごめんなさ・・・」
取り巻き「てか塩子ちゃんに吸血鬼の話執拗にしてたけど」
取り巻き「まさか吸血鬼なんじゃなぁい?」
生徒「なら暴力的なのも納得いくわw」
生徒「ヤバ、怖ぇ〜w」
取り巻き「ねぇそうなの?そうなんでしょ?」
ガシャンッ
(しずくが机蹴り飛ばす)
藍原しずく「うるさい」
藍原しずく「寄って集っていじめて恥ずかしくないの?」
藍原しずく「暴力的なのはあなたたちの方だよ」
藍原しずく「言葉の暴力で吸血鬼のことどれだけ傷付けてるか分かってる?」
藍原しずく「(まぁ私も人のこと言えないけど)」
藍原しずく「(でもシュウさんとはちゃんと仲良しだもん)」
取り巻き「うぇ〜吸血鬼のこと庇ってる!」
生徒「やっぱお前ら吸血鬼なんだ!」
影野夜月「う、あ・・・」
影野夜月「あああああ!!」
(逃走)
取り巻き「あー責任放棄かよ!」
藍原しずく「(今までで一番腹が立ってる)」
藍原しずく「(皆殺しにしたい)」
藍原しずく「(でも殺したところで何も変わらない)」
藍原しずく「(この人たちの方がよっぽど“鬼”だ)」
ガラガラッ
佐藤塩子「ちょっ何の騒ぎ?」
佐藤塩子「朝っぱらからうるさいんだけど」
取り巻き「あれ、塩子ちゃん休むんじゃ・・・」
佐藤塩子「サボろうかと思ったけどやめた」
佐藤塩子「夜月くんとちゃんと話したくて」
藍原しずく「(・・・塩子ちゃん)」
藍原しずく「(この人は意外と分かってくれるかもしれない)」
藍原しずく「夜月くんなら今出て行ったよ」
藍原しずく「あなたの取り巻きにボロクソに怒られて」
佐藤塩子「はぁ何してくれてんの!?」
佐藤塩子「最悪!!これだから金が絡むとろくなことになんない!!」
佐藤塩子「私夜月くん追いかけるから!」
藍原しずく「待って、今は追わない方がいい」
佐藤塩子「何だよお前関係ないだろ!」
藍原しずく「関係ある」
熱血教師「おーいお前ら席つけー」
熱血教師「花園先生が体調不良で欠席だから」
熱血教師「代わりに俺が来たぞー」
藍原しずく「チッ、よりによって今日は無能教師」
佐藤塩子「いや口悪っ」
藍原しずく「先生、私と佐藤さんも体調不良なので抜けます」
藍原しずく「ほら説明するから来て」
グイッ
佐藤塩子「え、ちょっ・・・」
〇階段の踊り場
佐藤塩子「ええええ!?」
佐藤塩子「夜月くん吸血鬼だったのかよ!!」
藍原しずく「声が大きい」
藍原しずく「本当は人が勝手にカミングアウトするのは罪なことだから」
藍原しずく「絶対他言禁止ね」
佐藤塩子「え〜興奮のあまり言いふらしちゃうかも」
藍原しずく「言ったらどうなるか・・・」
藍原しずく「分かってるよね(暗黒微笑)」
佐藤塩子「厨ニ病うざ」
佐藤塩子「夜月くんがお前なんかと仲良いの謎だったけど」
佐藤塩子「なるほど、吸血鬼同士で馴れ合ってたんだ」
藍原しずく「ううん私は吸血鬼じゃなくて」
藍原しずく「吸血鬼のパートナーがいるだけ」
佐藤塩子「はぁ?パートナー?」
藍原しずく「文化祭の時の不審者だよ」
佐藤塩子「えぇ・・・あいつ見た感じ20代後半だったじゃん」
藍原しずく「実際はもっと歳だと思う」
佐藤塩子「年の差カップルとか気持ち悪」
藍原しずく「ただの友達だよ」
佐藤塩子「余計気持ち悪いわ!!」
佐藤塩子「絶対ロリコンじゃんロリコン!!」
藍原しずく「当然のことだよ、男=ロリコンだし」
佐藤塩子「それは主語がデカすぎるけども」
佐藤塩子「お前ってクールぶってるくせに案外チョロいのな」
藍原しずく「む、シュウさんにだけだし」
佐藤塩子「うわっさん付けしてる気持ち悪!!」
藍原しずく「それ以上言ったらシュウさんに襲ってもらうよ」
佐藤塩子「ヴエェェ気持ち悪!!」
藍原しずく「この世の全てが気持ち悪く見えてそう」
佐藤塩子「そっか、吸血鬼ってマジでいたんだ」
佐藤塩子「だから夜月くんいっつも顔青白くて」
佐藤塩子「暗くて震えてて・・・」
佐藤塩子「いや私めっちゃ吸血鬼の悪口言ってたじゃん!!」
佐藤塩子「めっちゃ最低な奴じゃん!!」
藍原しずく「悪口を言っちゃいけない理由はこういうことだよ」
藍原しずく「いつどこで本人が聞いてるか分からないからね」
佐藤塩子「いやでも流石にビンタは酷くない!?」
佐藤塩子「殴った方がアウトじゃん!?」
藍原しずく「私はそうは思わない」
藍原しずく「言葉で殴られたら拳で殴っていい」
佐藤塩子「お前の倫理観は欠如しすぎてんだよ」
藍原しずく「そもそも夜月くんは滅多に人を殴らない」
藍原しずく「生き物は危険が迫ると」
藍原しずく「自分を守ろうと攻撃的になるから」
藍原しずく「よほど追い詰められてたんだろうね」
佐藤塩子「そ、そんな・・・」
佐藤塩子「どうしよう!!どうしたらいい!?」
佐藤塩子「私夜月くんにだけは嫌われたくない!!」
藍原しずく「夜月くんのこと好きなんだ」
佐藤塩子「好きだからこんなに焦ってんだよ!!」
藍原しずく「・・・ふぅん」
佐藤塩子「あっ鼻で笑っただろお前!」
藍原しずく「いや夜月くんを好きになる人いるんだ、と思って」
佐藤塩子「お前が一番最低だよ」
佐藤塩子「私こう見えて友達いないからさ」
藍原しずく「どう見てもいないと思うけど」
佐藤塩子「黙れ」
佐藤塩子「だから夜月くんに親近感湧いたっていうか」
佐藤塩子「本当に仲良くしたいと思えたんだ」
藍原しずく「その気持ち、謝罪と共にはっきり伝えて」
佐藤塩子「な、なんでお前に指図されなきゃいけねーんだよ」
藍原しずく「上手くいってほしいから」
藍原しずく「上手くいくには」
藍原しずく「伝えることが大事だって教えたくて」
佐藤塩子「お前・・・」
佐藤塩子「やっぱキモいわw」
藍原しずく「鞭アタック」
佐藤塩子「ギャアア冗談だって!!」
藍原しずく「あと、より誠意を見せたければ」
藍原しずく「血を吸わせるのが一番だよ」
藍原しずく「血は全てを解決するから」
佐藤塩子「え、血は嫌だ・・・」
藍原しずく「なら無理じゃない」
佐藤塩子「顔さえ良ければいけるはず!」
藍原しずく「顔が良くても血吸えなきゃ駄目だよ」
佐藤塩子「血を凌駕するほどの顔だからいける!」
藍原しずく「その自信はどこから」
佐藤塩子「お前だよ」
藍原しずく「え?」
佐藤塩子「何でもねーーーよ!!」
〇コンビニのレジ
華城みくる「(一旦吸血鬼から離れる為に)」
華城みくる「(思い切って血フレ辞めたけど)」
華城みくる「(無意識にバイト先を)」
華城みくる「(シュウくん家に近いコンビニにしちゃった!!)」
華城みくる「(ダメダメあんな奴忘れるのよ!!)」
華城みくる「(早く次の男探さなきゃ)」
華城みくる「(あいつよりイケメンで優しくて)」
華城みくる「(高身長高学歴高収入且つ)」
華城みくる「(低姿勢低依存低リスクの男・・・)」
華城みくる「(そんなの100年探しても見つかるわけないけど)」
華城みくる「(200年探したら見つかるかしら)」
華城みくる「(なんてね、その前に死ぬに決まってるけど)」
ウィーン(自動ドア開く)
華城みくる「あ、いらっしゃいませー」
影野夜月「ハァ、ハァ・・・」
影野夜月「し、死ぬ・・・」
華城みくる「えっフラフラじゃない大丈夫!?」
影野夜月「学校から走ってきたら・・・貧血になって・・・」
影野夜月「ひじきおにぎり・・・ください・・・」
華城みくる「ひじきで治るレベルの貧血じゃないわよ」
華城みくる「救急車呼ぶから」
影野夜月「だっ駄目です!!それだけは!!」
華城みくる「分かった、救急車呼べないってことは」
華城みくる「あなた吸血鬼ね」
影野夜月「エッ、いや、違・・・」
華城みくる「隠さなくていいのよ」
華城みくる「私は吸血鬼に理解のある女だから」
影野夜月「えっそうなんですか!?」
華城みくる「(救いを求める瞳)」
華城みくる「(私はいつもこれを欲してる)」
華城みくる「(やっぱりこの世に生きている以上)」
華城みくる「(吸血鬼からは目を逸らしちゃいけないのよ)」
〇更衣室
〜バックヤード〜
華城みくる「あんた吸血鬼なら」
華城みくる「輸血パックの一つくらい持ち歩いてるはずでしょ」
影野夜月「それが持ってないんです」
影野夜月「僕、輸血パックにトラウマがあって・・・」
華城みくる「はぁ?どんなトラウマよ」
影野夜月「言いづらいんですが・・・」
影野夜月「以前いじめられていた時に」
影野夜月「なんでこんな物持ってるんだ、気持ち悪いって」
影野夜月「輸血パックにこっそり泥を入れられたことがあって」
華城みくる「えっそれ大丈夫だったの!?」
影野夜月「一口で気付いて吐き出したので一命を取り留めましたが」
影野夜月「吸血鬼だとバレる為誰にも相談できませんでした」
影野夜月「それ以来何か入っていそうで」
影野夜月「生身の人間から直接吸う血しか信用できないんです」
華城みくる「ってことは長い間血飲んでないの?」
影野夜月「はい、鉄分多めの食事でギリギリ耐えてきました」
影野夜月「暴走化したり気絶したりはしますが・・・」
華城みくる「全然駄目じゃない!!」
影野夜月「だから早くパートナーや血フレを作りたいんです!」
影野夜月「でも作ろうとするほど空回って」
影野夜月「遂には学校で吸血鬼じゃないかって疑われて」
影野夜月「もう終わりです、限界です・・・」
影野夜月「死にたい・・・」
華城みくる「死んじゃ駄目よ」
華城みくる「絶対死んじゃ駄目」
影野夜月「死にたい人を止めるのって自分勝手ですよ・・・」
華城みくる「死のうとする人だって自分勝手じゃない」
華城みくる「てかそれ言ったらこの世は全部エゴよ」
華城みくる「だから私は私のエゴを通す」
華城みくる「あんたが死ぬのを絶対止める」
影野夜月「助けてもくれないのに止めないでください」
華城みくる「止めたいと思ったからには」
華城みくる「助けるしかないじゃない」
影野夜月「え、それってまさか」
影野夜月「血吸わせてくれるんですか!?」
華城みくる「まったく、私の血高いんだからね?」
影野夜月「い、いくらお支払いすれば・・・」
華城みくる「今だけ特別にタダよ」
華城みくる「ゾンビから金巻き上げられないもの」
影野夜月「ワアアありがとうございます!!」
影野夜月「まだゾンビではないですけど!」
ガブッ
影野夜月「・・・・・・ウワアアすごい!?」
影野夜月「甘すぎずフルーティな苦味があって」
影野夜月「これドンピシャで僕の好みです!!」
華城みくる「えっ、嘘」
影野夜月「嘘じゃないです、無限に飲めます!!」
華城みくる「(私の血、本当は人気なくて)」
華城みくる「(血フレも顔優先で選ばれてるだけだったから)」
華城みくる「(こんなに喜ばれたの)」
華城みくる「(こんなに嬉しいの、久々)」
華城みくる「じゃ、じゃあもっと吸っていいわよ」
影野夜月「やった〜!」
〜数分後〜
華城みくる「(しまった、つい吸われすぎた・・・)」
華城みくる「(今度はこっちがフラフラじゃない・・・)」
華城みくる「(でも人を助けるって自己犠牲だものね)」
華城みくる「(私はおにぎりで回復できるから大丈夫だわ)」
影野夜月「本当にありがとうございます!」
影野夜月「おかげでだいぶ元気になりました!」
華城みくる「どういたしまして」
華城みくる「でもこれからはどうするわけ?」
影野夜月「どう、しましょうね・・・」
華城みくる「あんた気弱だから駄目なのよ」
華城みくる「もっと堂々としてればパートナーできるわよ」
影野夜月「か、勝手なこと言わないで下さい」
華城みくる「まぁ性格が災いしてる感じあるから」
華城みくる「哀れっちゃ哀れね」
影野夜月「何ですかそれ、同情ですか?」
華城みくる「だって人助けって同情じゃない」
影野夜月「・・・吸わなきゃよかった」
華城みくる「はっ?」
影野夜月「わざわざ同情してもらってすみませんでした」
影野夜月「でも僕これからは一人で頑張りますから」
影野夜月「何も買わずに出るのは悪いので」
影野夜月「ひじきおにぎりだけ買っていきますけど」
影野夜月「もう二度とこのコンビニ来ませんから!!」
影野夜月「さようなら!!」
(走り去る)
華城みくる「な、何あいつ・・・」
華城みくる「シュウくんにそっくりじゃない!!」
つづく🍅