S2 第6話(31)(脚本)
〇黒
〇噴水広場
リアリナ・シャルルド・グレイ「今夜、王宮へ殿下と共に参ることはできませんか?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「な、何を言い出すのだ。 子供が見ている前ではないか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「半裸な殿下を目撃した後で、私が殿下を誘うとお思いですか?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「では、なんだ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「泊まりたいのです。殿下の離宮に全員で」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「城はホテルではないのだぞ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「聖女様とのゴシップ。 公になれば王宮が荒れますね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・しかし、今、城は警備を厳重にしているから、部外者を城に招く訳にはいかない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「近々、王妃様とお茶をする約束がございます」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「準備しよう。私邸へ招いた客人とあれば、方法がないこともない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「やはり殿下、懐が深いですわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「だが獣人の子供だけは難しい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「どうしてです?」
〇教会
明日は王妃の生誕祭だ
頭の硬い元老院の年寄りや役人が訪れる
離宮に獣人がいると知られたら、何を言われるか
〇噴水広場
リアリナ・シャルルド・グレイ「フォルダンテ領地の民は、殿下が人攫いに遭った人々をどう扱ったのか、気になっているはず」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ん?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「王太子が攫われた異国の獣人の子供を手厚く扱った」
リアリナ・シャルルド・グレイ「という美談で盛り上げた方が、民衆にもウケがよろしいかと」
リアリナ・シャルルド・グレイ「特に年配の人々には家族ものは、ウケがいい!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そう、統計データにも出ております!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「一体なんの統計だ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それは──と──でございます」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様。 垢BANされますので、その辺で」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そのために、城へと連れて行けと?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「はい。きっと多くの民が、王太子の懐の深さに胸打たれることでしょう」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「うむむ。民衆の支持は欲しいが・・・」
ミレーユ「いいと思います」
ミレーユ「殿下の人気があがれば、この国の情勢も良い方向に向かっていきますよ」
ミレーユ「ミレーユもスタンの人気が上がると嬉しい♡」
リアリナ・シャルルド・グレイ「リアリナも嬉しい♡ ですわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「う・・・うむ」
〇西洋の城
ミゲル「わあー! お城だぁ!」
ミゲル「すごい! スタンおじさん王子様だったんだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「うふふ。こんなに喜んでくれるなんて嬉しいわね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうだな。ただ・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「人数が多すぎやしないか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あら、みんなでワイワイしながらの方が楽しいじゃありませんか」
ミレーユ「そうですよね。私もお城に来るのは久しぶりなのでとてもワクワクしてます!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・・・・喜んでもらえているのなら、いいが」
リアリナ・シャルルド・グレイ(ミレーユには優しいのよね)
リアリナ・シャルルド・グレイ(最初から、聖女パワーを使えばよかった)
ミレーユ「でも私、王妃様に謁見できるドレスなんて持ってません」
ミレーユ「どうしましょう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それは大丈夫よ。私のメイドが、ミレーユの分も用意させてあるわ」
ミレーユ「そうなの?」
ミレーユ「すごいわね。まるで最初からわかっていたみたい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ま、まあグレイ家の従者はみんな優秀ってことよ」
ミレーユ「そうなのね! さすがだわ」
ルネ「・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(さすが聖女。勘が鋭いわね。気をつけよう)
スタンスラス・ブラン・エレオノール「今夜は皆をゲストとして招いてあるが」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「先に話した通りに、他国からの賓客も数多く呼んでいる」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「あまり不用意に動かれると、城を警備する兵士の手を煩わせることになりかねん」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「私邸から出ることのないように」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わかったわ!」
〇洋館の階段
スタンスラス・ブラン・エレオノール「私は王宮騎士団に、君達の滞在の旨を報告してくる」
ルネ「・・・」
〇城の廊下
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・」
「殿下!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「つい先ほど部屋から出るなと言ったばかりではないか!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「誰にも聞かれたくないことだったから追いかけてきたの」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「先ほどのミレーユの部屋のことなら誤解である」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ミートボールパスタのソースがシャツについたから、着替えていたのでしょう?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ん? 私はそう話したか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ(その言い訳は、ループで何度も聞いたんで)
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ、先ほど馬車の中でおっしゃってました」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうだったか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「殿下に至急お願いしたいことがございます」
〇城の会議室
ミゲル「もうお腹いっぱい」
ミレーユ「残さず食べてえらいわ」
ミゲル「嫌いなものなかった。えっへん!」
ミレーユ「すごいわ! ミゲル!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(うふふ。 事前にトマトを抜いてもらったからね)
リアリナ・シャルルド・グレイ(ミゲルが、笑顔になってよかった)
リアリナ・シャルルド・グレイ「さっき、私と聖女様で王妃に謁見する許可をいただいてきたの」
ミレーユ「それって、例のプレゼントのため?」
ミゲル「りありにゃ、うにゅふに・・zzz」
ミゲル「・・・・ZZZ」
ミレーユ「あらあら、ミゲルはもう眠たいみたい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私たちも部屋で休みましょう」
〇洋館の階段
テオフィル・ベフトン「そういえば先ほど、これをリアリナ様へと、ミゲル嬢より渡されました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「何かしら?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あら」
テオフィル・ベフトン「ご両親・・・、でしょうか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・」
〇西洋風のバスルーム
リアリナ・シャルルド・グレイ「ふう! まさかこんな静かな夜がやってくるなんて」
リアリナ・シャルルド・グレイ「やはり王宮の警備って、最強!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これなら、明日予定通りに婚約破棄されるところまで辿り着ける・・・zzz」
〇水中
・・・
〇黒
──
〇西洋風のバスルーム
リアリナ・シャルルド・グレイ「やめて・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「やめてええ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「はっ!! 今の・・・夢?」
「リアリナ様? 大丈夫ですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ!!」
「悲鳴が聞こえましたが」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だ、大丈夫よ・・・湯船の中で、眠ってしまったようだわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「きっと、お湯が冷めたせいね」
「では、温めましょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ねえ、テオ。 もし私がいなくなったら、あなたはどうするの?」
「どうしたのです? 突然」
リアリナ・シャルルド・グレイ「心配するだけ無駄だったわ。あなた程優秀ならどの屋敷にも引く手あまたよね」
「平気ではありません。あなたがいなければ、私は生きる意味すら失います」
「この命がある限り、リアリナ様のそばにおります」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ・・・」
「だから、そんな寂しいことはおっしゃらないでください」
リアリナ・シャルルド・グレイ(ごめんなさい・・・)
「そろそろいい湯加減でしょうか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ。ちょうどいいわ」
「では、私は戻りますね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あっ。待って!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、あの。もう少しだけ、話がしたいわ」
〇黒
──