読切(脚本)
〇広い改札
コウル「う・・・ん・・・?」
コウル「ここは・・・駅!?」
コウル「ということは、現実世界!?」
コウル。
とある異世界に飛ばされた現代人である。
コウル「でもなんでいきなり現実世界に・・・」
コウル「そ、そうだ! エイリーンは?」
エイリーン。
異世界でのコウルのパートナー。
コウル「エイリーンもいるかもしれない。 探してみよう!」
コウルは駅を駆けようとするがーー。
コウル「ここ、なに駅だ・・・?」
コウルは回りを探して、駅名を確認する。
コウル「渋谷・・・」
コウル「渋谷ー!?」
コウルは現代人あるが、
あいにく渋谷には疎かった。
コウル「とにかく探そう!」
コウルは走り出す。
しかし数分走ると・・・。
コウル「全く道がわからない・・・」
コウルはただ立ち尽くす。
コウル「そうだ、念を送ってみよう!」
〇広い改札
一方同じ頃・・・。
エイリーン「うん・・・?」
エイリーン「ここは・・・」
エイリーンは回りを見渡す。
エイリーン「この景色。 もしかしてここは・・・ コウルの世界?」
(エイリーン、聞こえる!?)
エイリーン「コウル・・・?」
(よかった。通じた。 こっちでも念は通じるんだね)
エイリーン(はい、それは大丈夫です)
(今、どこにいるかわかる?)
エイリーン「えっと・・・」
エイリーンは回りを確認する。
エイリーン「しぶや・・・と書いてあります」
(よかった。エイリーンも渋谷だった!)
(いや・・・よくない・・・のかな?)
エイリーン(どうしてです?)
(広いんだよ・・・。迷路みたいに)
コウルは渋谷や新宿などを説明する。
エイリーン(大変なんですね・・・)
(とにかくなにか、目印を決めよう)
(そうだ、ハチ公にしよう!)
エイリーン(ハチ公・・・?)
(有名な、犬の像だよ。すぐわかる)
エイリーン(わかりました。そこを目指します)
エイリーンも駅を走り始める。
〇広い改札
コウル「エイリーンと話せた。 あとは・・・」
コウルもハチ公を探して走り出す。
コウル「まずは駅を出ないと・・・」
しかし、しばらく歩くも
コウルは一向に進まなかった。
コウル「あれえ・・・?」
(コウル、聞こえますか?)
コウル(エイリーン?)
(犬の像の前に着きました)
コウル「早っ!?」
コウルの驚きは、無意識に口に出ていた。
(これも私の能力です)
(案内もできますよ?)
コウル(お願い・・・)
コウルは諦めて、
エイリーンに助力を求めるのであった。
〇ハチ公前
コウル「ふう、やっとついた・・・」
コウルは無事に渋谷駅を出る。
コウル「エイリーンは・・・」
コウル「あ!」
コウルの視線の先、ハチ公の前には。
不良「よう、お嬢ちゃん。珍しい服装だね~。 どこ出身? この後予定ある?」
エイリーン「は、はあ・・・」
エイリーンは珍しがられ、
ナンパされたりしていた。
エイリーン「私、待ってる人がいるので・・・」
不良「ええ~? いいじゃん、少しだけ」
コウル「エイリーンから離れろ!」
エイリーン「あ、コウル!」
不良「ちっ」
コウル「大丈夫? 何もされなかった?」
エイリーン「ええ、話しかけられただけですから」
コウル(それが心配なんだけど・・・)
コウル「それより、ありがとう。 なんとかこれたよ」
エイリーン「ええ。よかったです」
コウル「でも、なんで現実世界にこれたのかな?」
エイリーン「それは・・・わかりませんね」
その時だった。
コウル「ハチ公から光が・・・?」
エイリーン「いえ、コウル。これは──」
コウルの後ろから半透明の犬が現れる。
コウル「子犬、いつの間に?」
エイリーン「コウルが連れてきたんですよ」
コウル「え?」
半透明の子犬は、吸い込まれるように
ハチ公の像に入っていく。
コウル「いったい何が・・・」
エイリーン「迷える子犬の魂。 それをコウルが解放したんです」
渋谷駅に迷い込んだ子犬の魂。
それはコウルに付いてきて、
同じ犬のハチ公の元へ旅立ったのであった。
コウル「よく、わからないけど・・・」
エイリーン「はい。これで終わったはずですよ」
コウル「あ・・・」
エイリーン「戻りましょう、あっちの世界に」
コウルとエイリーンは、
回りからは気づかれず、
何もなかったように消えていく。
これは1日だけの、
渋谷で起きた奇跡の物語。
一日だけ異世界に…ってなんだかおもしろいですね。
彼についてきた犬といい、何か必然的なものがあったんでしょうね。
たしかにその服だと目立つかもしれません。笑
私も初めて東京に行った時、異世界のように感じました。
田舎物なので、電車の数…改札の多さ…びっくりしたことでいっぱいです!
恐らく今渋谷に行っても、スマホなしでハチ公像に辿り着ける自信がないです…笑
1日だけ異世界から移動してきたけど、何か大事な使命があったんでしょう。しかも、ハチ公前に移動したのも、半透明の子犬を助けるためだったのかな?