エピソード6(脚本)
「イヤ・・・」
女学生「・・・この鈴の音ってなによ・・・」
チリィィィ・・・・ン──
女学生「こわいよ・・・こわいよー・・・」
お父さんとお母さんに電話がつながらない
この番号は電波の届かない所にあるか電源が入っておりません
最期の電話の後、電子マネーにお金が送金されてきた
それを最後に
二人に連絡がつかなくなった
しばらくは学校に通っていたが
起きても誰も居ない
帰って来ても真っ暗な家
徐々に落ち込んでいくのを感じた
そして先月から私は不登校となった
近くの交番で捜索願の手続きをした
お父さんとお母さんの兄弟や親戚の連絡先が分からない
誰にも電話が出来ない
誰とも
話す事が出来ない
チリィィィィ・・・ンンー・・・
家だけでなく
外にいてもお店に居ても聞こえてくる
この物悲しい鈴の音
チリィィィィ・・・・・・ンンーー・・・
女学生(なんなのよ・・・この鈴の音・・・)
ふとお母さん言葉を思い出した
「鈴の音が聞こえるんだって」
おばあちゃんの言っていた鈴の音
女学生(おばあちゃんも聞こえてたのかな・・・)
チリィィィィ・・・・・・ンーー・・・
ずっと聞こえる鈴の音
頭がおかしくなりそうだ
女学生「お父さん・・・お母さん・・・早く帰って来てよ・・・」
2人を思い出すと目頭が熱くなる
女学生「こわいよ・・・こわいよぅ・・・」
女学生「う・・・うぅ・・・ぐす・・・」
女学生「わたし・・・どうしたらいいの・・・」
暗い自室でうずくまって泣いた
と
突然チャイムが鳴った
ビクリと体が驚く
女学生(誰・・・?)
宅配サービスの夕飯は済ませた
特に思い当たる事が無い
のそりと立ち上がり、玄関に向かった
チリィィィィ・・・・・・ン・・・
〇シックな玄関
玄関に降りて来た
女学生(誰だろう・・・)
恐る恐るドアに近づいて声を掛けた
女学生「・・・どちら様・・・ですか?」
──訪問者は思いがけない相手だった
夜分遅くに失礼します
女学生「え・・・あ・・・先生・・・?」
あ・・・遅くにすまん
女学生「今開けます」
ドアを開けると先生が立っていた
「ごめんな、大変な時に」
女学生「いえ・・・」
「ご両親は・・・?」
女学生「まだ・・・見つかってないみたいです」
「そうか・・・早く見つかるといいな・・・」
女学生「はい・・・」
「今日来た用件だが」
「何か、困ってる事は無いか?」
女学生「・・・はい」
安心感が身体を包む
目頭がみるみる熱くなっていき
女学生「うう・・・ぐす・・・うううう」
止められない涙が流れだした
座り込んで泣きじゃくる私
先生はそんな私に何も言わず、座って待っててくれた
・・・
女学生「すみません・・・もう・・・大丈夫です」
「きっと見つかるから大丈夫だ」
「クラス内でも何かしてあげたいって意見が多くてな」
「いきなり皆で来ると騒がしくて迷惑かと思って」
「今日はとりあえず一人で様子を見に来たんだ」
女学生「ありがとうございます・・・」
何日ぶりに顔が綻んだ
ずっと無表情で生活していたからか
頬が固くなってるのを感じる
女学生「笑うの久しぶりで・・・顔が痛いです」
女学生「はは・・・」
やや涙目になっていた先生も笑顔になる
心が温かくなる
チリィィィィ・・・・・・ン・・・
鈴の音だ
体に緊張が走る
その様子を見た先生が心配そうに
「どうかしたか?」
女学生「いえ・・・あの・・・」
女学生「鈴の音が・・・聞こえますか・・・?」
「鈴?」
先生は黙って周囲に耳を澄ました
「何も聞こえないが・・・」
女学生「そう・・・ですよね」
チリィィィィ・・・・・・ン・・・
この音は私にしか聞こえないみたいだ
だったらこれは幻聴なのかもしれない
「その、鈴の音が聞こえるのか?」
女学生「あぁ・・いえ・・・ただの気のせいかもしれません」
「・・・」
先生は少し考える素振りを見せ
「どんなに小さな事でもいい、不安を感じたら相談して良いから」
女学生「わかりました・・・」
「それと」
「迷惑じゃなければ明日も来て良いか?」
女学生「はい!お願いします」
そんな私の様子を見た先生は優しく微笑んだ
そして少し他愛のない話をして
先生は帰った
チリィィィィ・・・・・・ンンンーー・・・
そしてこの後
私の命が終わりを迎える事となる
〇豪華なリビングダイニング
先生が帰った後、リビングで記録を取った
女学生(一応何かの役に立つかもしれないし・・・)
時を遡って思い出す
友人の不可解な死──
おじいちゃん、おばあちゃんと立て続けに亡くなった
その後、お父さんとお母さんに連絡が出来なくなった事
チリィィィィ・・・・・・ンン・・・ー
気のせいかもしれないけど
何処からともなく鈴の音が、聞こえる
もしかしたら
おばあちゃんも聞いていた鈴の音かもしれない
女学生(よし・・・! 少しでもあった事をメモしておこう!)
一通り書き終わった時
チリィィィィ・・・ンンー・・・
いつもの鈴の音
そして
・・・〜・・・よい・・・・・・た・・・
女学生「え・・・?!」
・・・・・・やや〜・・・た・・・の・・・・・・か・・・ゃ・・・の〜
歌だ
女学生「なに・・・この歌・・・・・・」
何処からともなく歌が聞こえる
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