花姫様と最強の冷徹騎士様

ちゅるちゅるめん

おやすみなさい(脚本)

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〇上官の部屋
  翌日、そのセイルージを返すと共に国王に”それ”から感じるミルェーツの件について話すため2人を呼び出した
ゼルベイク「珍しいね、アル君から僕たちを呼び出すだなんて」
アレグラット「お忙しいのは承知の上です。ですが、それ以上に伝えなければならないことがあり、お呼び出しした次第にございます」
ノンヴィティエス「じゃあ早速本題に入ろうか」
アレグラット「まずはノンヴィティエス様、これを」
ノンヴィティエス「これは・・・!!」
ゼルベイク「セイルージだね、ただ少し枯れているような・・・」
アレグラット「これは昨日お2人の結婚についてのお話を聞いてすぐ、ダルメリヤス様から預かったものです」
アレグラット「ダルメリヤス様がノンヴィティエス様とお話した際にこれを忘れていかれたので、返して差しあげて欲しいと」
ゼルベイク「なるほど。そしてノンヴィティエス君、それは例の時に摘んだ物でいいかな?」
ノンヴィティエス「はい、間違いありません。これはたしかに僕の失くしていたものです」
ゼルベイク「アレグレット君。これを返す為だけに使用人でさえ部屋から出す必要は無いはずだ。そして君はその事を重々承知しているだろう」
ゼルベイク「・・・やつのことかな」
アレグラット「はい、このセイルージから、かつてない程にやつの気配を感じました」
「・・・!」
ノンヴィティエス「それは・・・また不思議な話だ」
ゼルベイク「いや、むしろわかりやすい。この事が判明したのはあちらで婚約発表をしたすぐの事だ」
ゼルベイク「やつはあちりで婚約発表を正式に行うまで、2人の婚約を知らなかったのではないだろうか?」
アレグラット「それに加え、それはシャイローゼ様の名前の由来となったセイルージ」
アレグラット「そしてそれはシャイローゼ様の婚約者であるノンヴィティエス様の私物・・・」
ゼルベイク「ノンヴィティエス君。君はもしかしたら、いや、彼に命を狙われているのだろう」
ノンヴィティエス「その、ようですね。あまり実感が湧かないのですが・・・」
ゼルベイク「・・・聡明な君のことだ。誰が怪しいかは、君の中では検討が着いているのだろう」
  言いたくない。認めたくない。あの人は違うと、根拠がなくとも叫びたい
ゼルベイク「・・・ダルメリヤスをしばらくの間謹慎させるよ。どうもタイミングが怪しすぎるんだ」
アレグラット「・・・」
ノンヴィティエス「この花を、僕はほぼ毎日持ち歩いていました。そしてやつの気配を、あの子と話す前は感じなかったんだろう?アレグラット」
アレグラット「はい。その通りでございます」
ゼルベイク「・・・結婚式は今から半年だ。1ヶ月の間あの子を監視し、何も無ければ謹慎は解こう」
ノンヴィティエス「何も無いと、ただの偶然だと信じたいのだけれどね・・・」
ゼルベイク「信じるための監視だ。もちろん、僕だってあの子の兄弟だ。だがやつの能力が厄介だからね・・・」
ゼルベイク「今からダルメリヤスを呼ぶ。2人は、下がって休んでてくれ」

〇貴族の部屋
ダルメリアス「僕の部屋で1か月間の謹慎。これを命令された時はかなり驚きましたし、悲しくなりました」
ダルメリアス「ですが、アレグラット様が一緒に着いてきてくれて大分ホッとしました」
ダルメリアス「ありがとうございます。誤解を解いて、必ずや姉の結婚式にアレグラット様と参列します」
アレグラット「申し訳ありません。僕が、あいつの正体を早く突き止められていれば・・・」
ダルメリアス「・・・まだ僕を信用してくださるのですね。とても嬉しいです」
ダルメリアス「知ってのとおり、本当は、あなたと姉上に結婚して欲しかった。僕の願いは、ただそれだけなのに」
ダルメリアス「──僕はあなたに姉上の、砂漠の王子になって欲しかった」
アレグラット「砂漠の王子・・・?あの童話ですか?」
ダルメリアス「・・・口が滑りましたね。気にしないでください」
ダルメリアス「さて、これ以上話していてはアレグレット様が怪しまれてしまいます。また1ヶ月後に会いましょう」
アレグラット「はい、必ずやまた1ヶ月後に」

〇城の会議室
  1ヶ月が経てばダルメリヤス様が謹慎を解かれ、それに合わせて結婚式の準備が進められていた
  会議1回目
ゼルベイク「結婚式の招待客のリストだ。この中で問題のある人物とその対策について練ろう」
ゼルベイク「〇〇公爵は南採掘場を抑えているお方ですが、自分の息子をシャイローゼ様に婿入れさせようとしていたようです」
蝶ケ夜蒼「ならば、まだ未婚約の女性がいる家の方をお呼びいたしましょう。国益のある婚約をしていただければこちらにも利益がありますわ」
ノンヴィティエス「〇〇嬢は学園に恋人がいらっしゃられるようでした。そちらの方と縁談が進んでいるようですので、こちらは却下ですね」
  1時間後
ゼルベイク「次は当日の食事についてだ。重要人物の食の嗜好や、アレルギーを調べよう」
ノンヴィティエス「〇〇夫人は下戸のようです。酔い鳥などに口をつけられた場合はかなり危険かと」
蝶ケ夜蒼「ですが、隣国の国王はお酒を好まれております。うちの国の酔い鳥を好まれているとお聞きしましたわ」

〇城の会議室
  会議4回目
ゼルベイク「今日は当日の警備についてだ。シャイローゼつきのアレグラットを中心に進めるぞ」
アレグラット「当日に配備する騎士の人数は3万人です。我が国からは1万人、あちらの国からは2万人の予定です」
アレグラット「うちの国は剣が主流なので城内と街の警備、あちらは魔法が栄えているようなので城外の警備中心になります」
バーズェラ「それに合わせて、我が領から100人の精鋭兵をお貸しいたします。さすればこの国の警備も損なわれないかと」
ゼルベイク「だがまだあちらに連れていっても問題のない騎士が少ないな」
アレグラット「そちらの件についてなのですが、数名推薦したい人物がおります。こちらの書類に書かれている人物でどうでしょうか」
ゼルベイク「・・・ふふ、面白い人選だ。だがこの人物を推薦するとは、君も中々の人だ」

〇屋敷の書斎
ゼシャル「お嬢様、そちらの文字はあちらの国では使いません。こちらに書かれた文章を読めなければあちらで恥をかくのはお嬢様です」
シャイローゼ「わかっているわ。いつもごめんなさいねぜシャル。ところでここの文法はどうなっているのかしら?」

〇屋敷の一室
蝶々夜胡桃「お父様から引き継ぐ物は多いわね・・・こちらはお父様に確認しなくちゃダメかも」
蝶々夜胡桃「あぁそういえば、この後はお父様と他の貴族の方たちと会合ね。急いで準備しなくちゃ」
蝶々夜胡桃「そこのあなた、この封筒をケテオメーゼ島の城之内伯爵に送ってくれるかしら?」

〇城の廊下
  結婚式の準備は着々と進み、気がつけばシャイローぜ様がヘイサール王国へ赴く前日となっていた
アレグラット(俺も明日共に向かう事になっている。剣の手入れをしたら寝よう)
アレグラット「砂漠の王子・・・」
アレグラット(心の綺麗な盗人がランプの力で惚れた王女と結婚するという物語だったか?)
アレグラット(俺の心は綺麗じゃない。そういうのはノンヴィティエス様がお似合いだ。あの方は元から王族だったけれど)
アレグラット(あの方とはこれを渡して、そして結婚式を見届けて・・・それでもう、終わろう)
アレグラット(できるかは分からないけど、ちゃんと胡桃を愛して幸せにしよう)

〇貴族の部屋
シャイローゼ「・・・」
シャイローゼ「・・・どなた?」
アレグラット「夜分遅くに申し訳ありません。アレグラットです」
シャイローゼ「あらアル!どうぞ入って」
アレグラット「失礼します」
シャイローゼ「こんばんは。久しぶりね、アル。最近はお互いに忙しくて会えなかったわね。元気そうで安心したわ」
アレグラット「シャイローゼ様もお元気そうで何よりです。突然の訪問をお許しください」
シャイローゼ「気にしないで。それで、どうしたの?」
アレグラット「・・・私が力不足なせいで、未だにミルェーツの所在や正体を掴めておりません」
アレグラット「明日以降ミルェーツがどのような動きをしてくるかわかりません。ですが私は見届けることしかできないので、これを作りました」
シャイローゼ「これは・・・?」
アレグラット「これは、ミルェーツや他の者からの攻撃魔法から守る魔道具です。私がつくりました」
アレグラット「ですが、私の魔力を込められる期間が少なかったので想定より効力が弱くなってしまいました」
アレグラット「これが効く期間は、恐らく半年が限界かと。より強い衝撃などが加わればもっと短くなる恐れが・・・」
アレグラット「ですが、持っていないよりはまだマシなはずです。肌身離さずに持っていてください」
シャイローゼ「・・・何から何まで悪いわね。あなた程感謝をしなければならない人はいないわ。 何かお礼をしたいのだけれど・・・」
アレグラット「私はあくまで、騎士としての務めを果たしているだけです」
シャイローゼ「そうだわ!王家に伝わる秘伝の魔法を教えましょう!」
アレグラット「?!王家に直接関係しない私が教えていただくのは流石に...」
シャイローゼ「アルは悪用したり、他の人に教えることは無いでしょう?」
アレグラット(信頼されてるのは嬉しいが・・・)
シャイローゼ「そのうちの1つ、”エルデー”を教えるわ」
アレグラット「エルデー...?」
シャイローゼ「ええ。エルデーは大女神様の力を1部再現したような物よ。対象者にかけられた呪いや魔法を一瞬で解けるの」
シャイローゼ「本来は呪術師の専門分野である解呪を魔法でできるようになるわ。でも魔力はかなり減るから気をつけて。アルなら心配ないかな?」
アレグラット「ま、待ってください。僕は教えていただいていいような身分の者ではありません。それに私が使いこなせるかどうか...」
シャイローゼ「..身分って、そんなに気にすることかしら」
シャイローゼ「私は身分がどうとかは気にしていないの。魔法を使ううえで身分は関係ないわ。ただあなたにお礼がしたかっただけなのよ」
アレグラット「それ、は...」
  ”身分は関係ない”
  彼女から1番聞きたくて、1番聞きたくない言葉
  仮にもしそうなら、俺は、あなたと恋をしても許されるのだろうか。なんて淡い期待を抱いてしまう
  でも、その話をしている時のあなたが、俺は1番──
アレグラット「・・・わかりました。どんな危機に堕ちいろうと、その魔法で皆を守ることを約束します」
シャイローゼ「ふふ、そう言ってもらえてよかった」
シャイローゼ「私の愛する人達を、どうか守ってね」
シャイローゼ「・・・ずっと私を守ってくれてありがとう。感謝してもしきれないわ。あなたの幸せをずっと願ってる」
シャイローぜ「おやすみなさい」

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