また明日(脚本)
〇美しい草原
翌日、俺たちはシャイローゼ様の結婚式のため、馬車でヘイサール王国へ向かっていた
きっと煌びやかな王宮で、煌びやかな衣装と暖かい拍手に包まれて彼女たちは結婚するのだろう
その拍手を送る1人になれただけでも、もしかしたら幸せなのかもしれない
ダルメリアス「のどかですねぇ。どこまでも続く野原が美しいです」
アレグラット「そうですね。いつ来てもここは美しいです。そういえば、ここは少し見覚えがあるな・・・」
アレグラット「・・・胡桃?」
蝶ケ夜胡桃「・・・あ、ごめんね。少しぼーっとしていたみたい」
アレグラット「大丈夫だが、ここ最近ぼーっとしてる事が多くなったよな。体調でも悪いのか?」
蝶ケ夜胡桃「ううん、体調は悪くないわ。ただいつもより思考が回らないみたい...」
アレグラット「疲れているのかもしれない。毛布はあるから、着くまで寝て休んでいてくれ」
蝶ケ夜胡桃「そうするわ。ありがとうアル」
寝息をたてる彼女の額に触れてみたが、熱は無いみたいだ。ただ前より魔力が強くなったのと、懐かしい気配を感じる
アレグラット(魔力の成長限界年齢は18だし、こっちは気にしなくていいか。ただこの気配はなんだろうか...)
アレグラット(後で胡桃に聞くのが早いか)
ダルメリアス「ふふ、2人は仲睦まじいですね。・・・僕は、思い違いをしていたのかもしれません」
ダルメリアス「僕は、貴方と姉上が幸せになるにはお2人が人生を共にすることだと思っていました」
ダルメリアス「ですが、胡桃様と共にいる時のアレグラット様は落ち着いていらっしゃる。違う道でそれぞれ幸せになることもいいのでしょう」
アレグラット「そうです。僕は胡桃と人生を共にします。シャイローゼ様はノンヴィティエス様と」
蝶ケ夜胡桃「すー・・・」
アレグラット「僕は、胡桃を幸せにします。・・・それが、僕にできる償いだから」
ダルメリアス「・・・あなたの決意、確かに受け取りました」
〇立派な洋館
モブ「ようこそおいでくださいました。本日より結婚式当日まで胡桃様、アレグラット様のお世話をさせていただきます」
モブ「どうぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
モブ「早速御三方のお部屋まで案内いたします。お荷物をお運びいたしますね」
〇洋館の階段
アレグラット「そこの君、1つ聞いてもいいか」
モブ「はい、なんなりと」
アレグラット「忙しいとはわかっているが、俺達もノンヴィティエス様とシャイローゼ様たちに挨拶したい。時間はいただけるだろうか」
モブ「そうですね・・・ですが式の3日前ですので、昼間は特にお忙しく、お時間が取れるのは恐らく夜間になるかと」
アレグラット「そうか、なら今夜か明日の夜に時間が取れるか聞いてくれ」
モブ「かしこまりました」
〇城の客室
モブ「こちらがアレグラット様のお部屋になります。なにかご不明点等ございましたらいつでもお呼びください」
アレグラット「ありがとう。荷物はそこで頼む」
モブ「かしこまりました。ではノンヴィティエス様達のお時間が取れましたらご連絡します。夕食までごゆっくりなさいませ」
アレグラット(よし、まずは結界魔法だ。防御術式を軽く組み込めば良いだろう)
アレグラット「よし、これを後は胡桃の部屋に施そう。さすがに夜間に出歩く訳にはいかないからな・・・」
〇西洋の円卓会議
モブ「俺がこの国の騎士団長だ。当日はよろしく頼むぜ」
「よろしくお願いします」
騎士「女に子供を大切な式の警護によこすだなんて・・・相手国は一体何を考えているんだ?」
騎士「とはいえ当日何かが必ず起きるわけでもあるまい。ここは大人しく従おう」
リヴェス「かなり信用されていないようですね」
琉翔「仕方がないでしょう。こちらの国では年功序列の考え方が残っているので。下手に出て従う方が良さそうです」
アンダート「特に私なんて、ものすごく失礼な目線を感じるわよ。20秒もあればここの人達なんてすぐ消せちゃうのに。失礼よね」
リヴェス(怖いな・・・流石アレグラット君のお姉さんだ)
琉翔(彼女の旦那がここにいたらと想像するだけで恐ろしいな・・・)
〇城の客室
アレグラット「胡桃、体調が安定してないのに茶会に出かけていたらしいが大丈夫か?無理していないか?」
蝶ケ夜胡桃「私は平気よ。それより聞いて!こちらの国で大きな商会の娘さんと仲良くなったの!貿易が有利になるわ〜」
アレグラット「それはいいが、体調を崩さないかが心配だ。着替えたら夕食まで一緒に休もう」
蝶ケ夜胡桃「うん、ありがとうね。最近忙しかったかし、2人でゆっくりしましょう」
メイド「失礼します。今よろしいですか?」
蝶ケ夜胡桃「どうぞ、入って」
???「失礼します」
モブ「アレグラット様、胡桃様。ノンヴィティエス様たちは明日の夕食後ならお時間を取れるとのことです。どうされますか?」
アレグラット「では明日の夕食後に案内を頼もう。ダルメリヤス様にも声をかけてくれるか」
モブ「かしこまりました。そのように伝えておきます」
モブ「失礼します」
蝶ケ夜胡桃「前夜まで時間が取れないだなんて、やっぱり忙しいのね。2人とも大丈夫かしら?」
アレグラット「2人なら大丈夫、なんて言えないが。それを確認するためにも様子を見に行こう」
蝶ケ夜胡桃「そうね。まず着替えてくるわ」
蝶ケ夜胡桃「・・・覗かないでよ?」
アレグラット「流石に覗かないよ・・・」
蝶ケ夜胡桃「あははっ、冗談よ。じゃあ少し待っててね」
アレグラット「からかわれるのには慣れないな・・・そういうところはシャイローゼ様と似ているな」
〇貴族の応接間
ノンヴィティエス「やあ皆。挨拶がこんなに遅くなってしまってすまないね。来てくれてありがとう。嬉しいよ」
アレグラット「ノンヴィティエス様が忙しいのは承知です。わざわざお時間をいただき、心より感謝申し上げます」
ダルメリアス「遅くなりましたが、この度はご結婚誠におめでとうございます」
蝶ケ夜胡桃「両国の繁栄、そして殿下とシャイローゼ様の幸せをお祈り申し上げますわ」
ノンヴィティエス「堅苦しいのは大丈夫だよ。楽にしてくれ。・・・明日からは、こうやって話せることも無くなるんだね」
蝶ケ夜胡桃「無くなるなんてことは無いわ。きっとまた会う機会が来るはずよ。手紙でのやり取りもできるしね」
ダルメリアス「そうですよ!2国の行き来が盛んになれば、不他国をもっと楽に行き来する方法が生まれるかもしれません!」
アレグラット「そういえば、ここ最近列車なるものが他国で作られているそうです。それがこちら側に導入されればきっとすぐに会えます」
ノンヴィティエス「・・・気遣ってくれてありがとう。明日失敗しないか、という不安からネガティブになっているのかもしれない」
ノンヴィティエス「でもみんなと話して少し落ち着いた。ありがとう」
ダルメリアス「こちらこそありがとうございます。・・・不躾は承知の上ですが、どうか僕の姉を幸せにしてください」
ノンヴィティエス「もちろんだ、ダルメリヤス君。僕たち2人支え合って幸せになると誓おう」
蝶ケ夜胡桃「いつかまた会えたら、その時は皆でお茶でも飲みましょう。だからたくさんいい思い出を作って、聞かせてね」
ノンヴィティエス「あぁ、任せてくれ。とびきりいいお茶とお菓子を探すから。その時は2人の話も聞かせてね」
アレグラット「シャイローゼ様つきの騎士になり約10年。お守りしてきた人が貴方のような人と結婚するなら安心して任を降りられます」
アレグラット「不躾なのは承知の上、これからはあのお方をノンヴィティエス様がどうか、守ってください」
ノンヴィティエス「君からの頼み事。引き受けたよ、アル。彼女は僕が守るから安心してくれ。これからは胡桃さんのことを守ってあげてくれよ」
蝶ケ夜胡桃「そういえばローゼがいないわね。ヴィッツ、ローゼはどこにいるの?」
ノンヴィティエス「明日の準備で疲れてしまったらしいから、もう寝かせているよ。それに、明日は朝から夜までずっと忙しいからね」
ダルメリアス「あはは・・・体力がないところが、実に姉上らしいです」
ノンヴィティエス「・・・もう10時半か。ちょっと遅くなりすぎたかな。時間が過ぎるのは本当に早い」
蝶ケ夜胡桃「本当その通りね。私も眠いせいか頭がぼーっとしてきたし、部屋に戻って休むわ」
アレグラット「部屋まで送る。すぐ着替えて湯を浴びたら寝てくれよ ではノンヴィティエス様。また明日お会いいたしましょう」
ノンヴィティエス「あぁ。また明日会おう3人とも。おやすみ。良い夢を」