エピソード27(脚本)
〇宿舎
〇宿舎の部屋
ギャロップ「こっちだな」
チャド「いえ、こちらでしょう」
ギャロップ「いーや、こっちだ」
チャド「それはどうでしょうか?」
「・・・・・・」
ギャロップ「おい、ガキ。お前の意見はどっちだ?」
ケイト「・・・・・・」
ギャロップ「おい、聞いてんのか」
チャド「ちょっと、ケイトさん」
チャドがケイトの肩を揺する。
ケイト「え、あ、うん・・・」
ギャロップ「今日回った中で唯一案内されなかった棟が2つある」
ギャロップ「おそらく、そのどっちかがGHの幹部達のいる棟だ」
チャド「その中にあるビリーさんの部屋をうまく見つけ出し・・・」
チャド「この録音機を仕掛ける、と」
チャド「問題はビリーさんの部屋がどこにあるかが分からないことです」
ギャロップ「チャド。 お前はあのビリーって野郎と仲いいんだろ? うまく聞き出せねーのか?」
チャド「・・・挑戦はしてみましょう」
チャド「ただし、なかなか用心深い人です。 うまくいくかは保証できかねます」
ギャロップ「明日中に聞けるか?」
チャド「明日ですか?」
ギャロップ「そうだ。 仕掛けるならビリーって野郎がログアウトしてからがいいだろ?」
ギャロップ「明日は金曜だから俺が夜間も稼働できる」
ケイト「・・・・・・」
ギャロップ「おいガキ。 俺とお前はチャドがビリーって野郎の部屋にいく為に──」
ケイト「また・・・駄目だったんだ」
ギャロップ「あ?」
ケイト「僕、身体を限界まで強くしたのに。 それでも、また友達が殺されちゃった・・・」
ギャロップ「だからその件はさっきも話したろ。 この世界には死という概念はねえんだ」
チャド「ギャロップさんの言う通りです。 死んでも現実に戻るだけのことですよ」
ケイト「そんなの関係ないよ」
ケイト「死ぬ時の苦しみは本物と変わらないんでしょ? 2人も、クリスの悲鳴を聞いただろ?」
チャド「それはまあ、そうですが」
ギャロップ「ふん。 今頃は現実世界で風呂でも入ってるだろうよ」
ケイト「そんなはずない。クリスはβ版のギアなんだ。痛みを忘れることはできないんだよ」
ギャロップ「あーそうかよ。そりゃ可哀そうだな。 だったら早く現実に戻って慰めてやれよ。 クリスとはリアルの友達なんだろ?」
ケイト「そうだ!」
ケイト「早く現実に戻ろう」
ギャロップ「・・・・・・」
チャド「もういい時間ですね。 今日の所はここまでにしておきましょうか」
録音機をポケットにしまうチャド。
ギャロップ「おいお前。勘違いすんなよ」
ケイト「?」
ギャロップ「俺らにだって、クリスに恩の一つや二つはあんだ。 悔しくないわけねーだろ」
チャド「ケイトさん・・・クリスさんの分まで、頑張りましょう」
チャド「そして、確実に作戦を成功させましょう。 それが、クリスさんが望むことです」
ケイト「・・・・・・」
〇城門の下(ログスポットあり)
ギャロップ「ID000325623のギャロップだ。 ログアウトしたい」
門番が電子ブックから出た光をクリスに当てる。
ピッ
門番「通ってよし」
門番「お前たちもか?」
ケイト「うん」
電子ブックの光をケイトにあてる。
ピッ
門番「通ってよし」
続いてチャドにあてる。
ピピピッ
ケイト「どうしたの?」
チャド「私ですか?」
門番「そこで待て」
電子ブックを操作し始める門番。
ギャロップ「おいおい。勘弁してくれよ。 仕事に遅れちまうぜ」
門番「お前たちは行ってよい」
ギャロップ「悪いけど俺は先に行くぜ。 朝礼の一言の当番なんでな」
チャド「ええ、どうぞ。また明日」
ギャロップがログスポットを通る。
ギャロップ「Hi HIMAHAN-Z」
ギャロップの前にホログラムが現れる。
ギャロップ「じゃあな」
チャド「ケイトさんもお先にどうぞ」
ケイト「僕も・・・クリスが心配だから行くね」
ケイトもログスポットを通る。
ケイト「Hi HIMAHAN-Z」
ケイトの前にホログラムが現れる。
ケイト「チャド、大丈夫?」
チャド「まあ、何とかなるでしょう。お構いなく」
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